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イオン、決死の脱リアル、新中計、デジタル化に5000億円、既存モデル壊す覚悟必要(ビジネスTODAY)

[ 2017年12月13日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 イオンは12日、2020年度までの新たな中期経営計画を発表した。ネット通販台頭といった環境の激変に対応し、今後3年でデジタル化などに従来の2・5倍の5千億円を投じる。決死の覚悟で脱・リアル専業を進め、米アマゾン・ドット・コムなどを迎え撃つ構えだ。議論に1年半かけた戦略は小売りの巨人をどう変えるのか。

 「店舗じゃない部分への投資の方が大きくなっていく」。12日に東京都内で開いた説明会を終えた後、イオンの岡田元也社長は記者団につぶやいた。小売業の投資は通常店が中心。それを上回る金額を電子商取引や物流に投じるのは異例のことだ。21年度以降は「(デジタル化に)さらに倍程度の投資が要る」という。

 説明会ではアマゾンの名を挙げ、「小売業が気づいていないことを教えてくれた」とも話した。ネット勢の強みを「圧倒的な便利さと価格の安さ」と分析し「彼らがやっていることに追いつかなければ」と危機感をにじませた。デジタル化では様々な事業者が出店する方式のネット通販を新たに始めるほか、既存の店舗事業でも決済の簡素化や人工知能を使った販売動向分析に取り組む。

 一方でスーパーやショッピングセンターといった実店舗も拡大する。店舗の役割は「ネットで体感、体験できないことの提供」(同社長)だ。3千平方メートル前後の新型スーパーも出店し、ディスカウント事業は現在約4千億円の売上高を1兆円程度に引き上げる。

 イオンはこの1年半ほどの間、グループの将来像について悩み続けてきた。当初は17年春に新中計公表を予定していたが、春時点では「17年は改革の方向性を確立する年」とするにとどめた。

 その後明らかにした「19年度に9・5兆円」の目標を今回、「20年度に10兆円」とわずかに更新。わざわざ計画を上書きしたのは、岡田社長が「出遅れている」と認める消費のデジタル化対応に無策でないことを訴えたいとの思いからだ。

 アマゾンの猛威に、多くの小売業が経営手法の見直しを迫られている。西日本のスーパー、イズミは10月に初めて3カ年の経営計画を公表した。山西泰明社長は「変化が早く、前年超えを目指すだけでは立ちゆかなくなる」と話す。セブン&アイ・ホールディングスは生鮮宅配でアスクルと組むなど、自前主義が強かった従来方針から外部連携にカジを切った。

 より具体的な取り組みを尋ねられ、岡田社長は「そこまで言いたくない」と言葉を濁した。この反応は「競合に知られたくない」との警戒感が強いことの裏返しだろう。

 ネットの登場以来、既存の小売業は念仏のように「次世代型の流通業を目指す」ととなえ続けてきた。だが、デジタル化を踏まえた成長モデルを確立できた流通業は世界を見渡してもほぼない。

 「これまでの延長では何もできない」と岡田社長。世界最大手の米ウォルマート・ストアーズは社名から「ストアーズ」を外すことを決めた。日本トップのイオンは地位を保てるか。既存モデルを壊す覚悟で具体的な成果を出せなければ、その保証はない。(中川雅之)

イオンの新中期経営計画の骨子
○2020年度に売上高10兆円
○IT・デジタルなどに3年で5000億円投資
○仮想現実を活用した商品提案などの導入
○仮想商店街型の通販サイト構築
○グループのスーパーを地域ごとに再編・統合
○総合スーパーの衣料や住居部門は専門会社化
○3000平方メートル規模の新型スーパーを出店
○ディスカウント事業の売上高を1兆円に

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