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ヒットの裏側――玩具なぜかにぎわう家電量販、安いネットに勝る「遊ぶ場」(消費を斬る)

[ 2017年12月10日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 もうすぐクリスマス。子供へのプレゼントを求めて家電量販店の店頭はにぎわっている。玩具市場は横ばいだが、大手家電量販の玩具売上高は最近、右肩上がりだ。インターネット通販と価格を比べると、必ずしも安いわけではない。家電を買ってたまったポイントが使えるからという理由だけでもなさそうだ。なぜ消費者は家電量販店で玩具を買うのか、探ってみた。

 東京・秋葉原のヨドバシカメラマルチメディアAkibaの玩具売り場。11月の週末、大勢の家族連れでにぎわっていた。7歳と9歳の子供を遊ばせていた40代女性は「子供は気まぐれ。店に来る前に欲しいと言っても、実物で遊ぶと気が変わるから玩具はネットでは買わない」と言い切る。

 同店の担当者は「玩具の売り上げは増加基調」という。ビックカメラも2017年8月期の玩具売上高は122億円で前の期比5%増えた。伸び率は主力のAV(音響・映像)機器を上回る。渡辺映二郎トイズ事業部長は「自分の欲しいものが分からない小さな子供向けの玩具は、実際に触ったりできる店頭のほうが強い」と強調する。

 玩具市場全体は横ばい圏。調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると16年度は6364億円で15年度比微減。テレビゲームを除いても1・4%増だ。

 家電量販店は街中の玩具店などよりも安いが、ネット通販を比べると必ずしも安くない。例えばクリスマス商戦の目玉の1つ、バンダイの「仮面ライダービルド 変身ベルト DXビルドドライバー」。12月8日時点でアマゾンのサイトでは4千円台の商品があったが、ヤマダ電機やヨドバシカメラ、ビックカメラでは5千〜6千円台だった。

 大手家電量販店は家電を買ってためたポイントを使ってもらう場として玩具売り場をつくったが、最近は店内で遊べる場を広げ、品ぞろえを充実させる店が増えている。さらにビックカメラでは11月、愛知県日進市に知育玩具に特化した新型店「ビックトイズ」を出店した。触って体験できる商品が充実しており、3歳の子供と来店した30代女性は「やはり目の前で子供に買って、と言われたら買ってしまいます」と笑う。

 「子供と一緒に店で玩具を選んで買うことはプチイベント」というのは都内在住の40代女性だ。「買ってあげたとき、遊んでいるときの子供の姿をみていると癒やされる」

 総務省の調査では6歳未満の子供がいる女性の間で、育児に携わる時間は増加傾向にある。16年調査では初めて、家事の時間を上回った。どんなに忙しくても子供との時間を大事にしたい、との思いは強まっているのだろう。

 さらに、欲しい商品はすぐに手に入れたいという意識が強いこともある。GfKが世界35カ国で実施した調査によると、「実店舗で購入すると決めるに至った理由」について、日本では「すぐに商品が手に入る」との回答が53・4%で最も多かった。日本を含む全世界平均では約3割にとどまっている。

 米国ではネット通販との競争激化で米トイザラスが経営破綻した。日本でも生活全般でのネット消費へのシフトは進むだろう。だが、こと玩具については、魅力的な売り場づくりを進めれば、伸ばす余地は大きいようだ。(花田亮輔)

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