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コンビニ限界説に挑む、シェア自転車やジム併設、生活インフラ、新機能探る。

[ 2017年12月9日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 コンビニエンスストア各社が成長の限界を打破しようと動き始めた。コンビニ全体の売上高は拡大を続けるが、既存店の客数は20カ月連続で減少し変調が目立つようになった。各社は失速を避けようとシェア自転車やスポーツジムなど異業種サービスの取り込みを図る。誕生から40年超。消費者の生活インフラとなったコンビニは、新たな機能を構築できるか。

 12月上旬、さいたま市の「セブン―イレブンさいたま加倉店」。11月末から店先に並べられたシェア自転車を、来店客の多くが物珍しそうに眺めていた。セブン―イレブン・ジャパンはシェア事業を手掛けるソフトバンクグループと提携、自転車の貸し出しや返却のついでに立ち寄る利用者を見込む。さいたま市を皮切りに18年度末までに全国都市部の1000店に5000台の自転車を配置する。

店舗で洗濯も

 ファミリーマートではコインランドリーやスポーツジムと組み合わせた店舗展開を始める。19年度末までに500店にコインランドリーを併設。ジムとの一体型店舗は今後5年で300店を展開する計画で、沢田貴司社長は「集客力をあげることが狙いだ」と話す。

 便利さを追求して伸び続けてきたコンビニの10月末の店舗数(大手8社)は約5万5千店。前年同月比で2・5%増え、全国の店舗網は約2万4千ある郵便局の2・3倍に達する。市場の伸びも続き、16年の売上高は前年比3・6%増の10兆5722億円だった。

 だがここにきて、市場の飽和を指摘する声が出てきた。沢田社長は「コンビニは間違いなく飽和している」と語る。

 売上高も店舗数も伸びながら、なぜ飽和なのか。一つの答えが既存店の伸び悩みだ。日本フランチャイズチェーン協会によると既存店客数は10月まで20カ月連続で前年を下回った。既存店全体の売上高も5カ月連続で前年を下回る。各社の新規出店で市場規模の拡大が何とか続いている構図だ。

 “飽和状態”を感じさせる数字がある。約4万8000カ所の国政選挙の投票所(16年参院選)がそれだ。投票所は人口動態に合わせて全国津々浦々に必要最低限が設置されている。そうした投票所の数をコンビニはすでに上回っているのだ。

 直営がメインのスーパーなどと違い、コンビニは各店の経営を加盟店が独立して担うフランチャイズ方式。各社は店舗経営を担うオーナーを確保し、店舗数を増やすことで伸び続けてきた。セブンは今でも年1000店超の出店を続けるが、大量出店の前提は既存店が伸びていることだ。「店を出せばもうかる」ようにみえるからこそ、オーナーを確保しやすくなる。既存店の苦戦が続けば出店のハードルが上がり、店舗網の拡大に支えられるチェーン全体の成長モデルが崩れかねない。

 セブンが東京・豊洲に1号店を開いたのが1974年5月。「大型スーパー全盛の時代にうまくいくはずがないと言われ続けてきた」。生みの親であるセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文名誉顧問は当時をこう振り返る。

 コンビニは弁当など商品の質を磨き続けるとともに、あらゆるサービスの拠点となることで客層を広げてきた。80年前後にコピー機を設置、90年前後には公共料金の収納代行を導入した。今やローソンでは公共料金などの収納代行の取扱件数が年2億件にのぼる。

 セブンは01年からATMの設置を始めた。ATMを利用するために来店した客の約8割がついで買いをするという。10年前後には住民票の写しを発行できるようにもなった。

来店客増を狙う

 「3万店のときも、4万店のときも飽和と言われてきた」(鈴木名誉顧問)が、一定周期で生じるコンビニ飽和論に対し、機能を進化させることではねのけてきた。客数の伸び悩みや人手不足、人件費の上昇などを根拠に指摘されている新たな限界論。異業種サービスという補助エンジンを増やして来店客を増やす取り組みは、こうした声を打ち破る一つの試みとなる。

 ファミマが取り込むスポーツジム市場は伸びが続く。日経MJの調査では16年度のジムなどのスポーツ施設の売上高は4040億円で、前年度比4・6%増加した。異業種サービスとコンビニに対する消費者ニーズが合致するかどうか。集客の模索は始まったばかりだ。

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