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買う気にさせるPOP職人――そうごう薬局中尾店宮野礼奈さん、短くキャッチー、客つかむ(売り場の知恵袋)

[ 2017年12月18日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 調剤薬局の来店客といえば、大半は処方箋を持つ患者。客層を広げるため、日ごろから地域の住民が健康相談に訪れる店舗づくりに取り組む動きが相次いでいる。総合メディカルが運営する群馬県高崎市の「そうごう薬局中尾店」ではプライベートブランド(PB=自主企画)商品を紹介する手づくりのPOP(店頭販促物)が「身近さ」の演出に一役買っている。

 POPづくりの担い手は登録販売者の資格を持ち、薬局事務をこなすラウンドケアスタッフの宮野礼奈さん(24)だ。宮野さんのPOPを掲げたその日から売れ行きが伸びたPBは多い。

 例えば、青魚を食べる機会が少ない人向けにドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)を配合したサプリメント。60包入り4480円というPBはその価格もあって、売れるのは1年に2、3個という商品だった。

 宮野さんのお手製POPは太くて見やすいポップ体で「もっと美味しく青魚をとろう」と呼びかけ、魚のイラストもあしらった。商品の近くに自作の魚のオブジェも並べたところ、手に取る来店客が増加。3カ月程度で10個近く売れたという。

 健康食品やサプリメントを地域住民との接点に位置付ける総合メディカルはPB「SOGO SMILE」で現在、40種類近い商品をそろえる。PB商品のPOPを対象に9月には初めての競う社内コンテストを開催。応募総数467作品の中から宮野さんのサプリメントのPOPは受賞10作品の一つに選ばれた。

 中尾店の待合スペースは40平方メートル程度。その一部に限られる物販スペースには宮野さんが水性のサインペンで仕上げた画用紙のPOPが大小約60枚も掲げられている。

 商品の入れ替えに合わせ、季節ごとにPOPも模様替え。冬本番を迎えた今はのどあめに「乾燥やイガイガに!!」、ショウガ湯に「風邪や冷え対策にも」と短くキャッチーな言葉が躍る。健康食品やサプリメントはパッケージから特徴を読み取るのが難しい。大衆薬を販売できる登録販売者の資格を生かし、分かりやすい言葉で伝えることに心を砕く。

 1枚のPOPに使う色は3、4色以内。少ないとさみしい印象になるものの、多すぎればゴチャゴチャになる。処方箋を持つ患者の気持ちを和らげるため、紅葉やクリスマスといった季節感の演出も欠かさない。幅約3メートル、高さ約2メートルという棚の中、目立たせたい商品は横3列に並べたり、季節の商品の陳列は目線の高さにそろえたりと工夫もこらす。

 大手ドラッグストアで約2年勤務した後、2016年5月に総合メディカルに入社した。ドラッグストア時代、化粧品メーカーの美容部員のPOPづくりを手伝ったことで基礎を培った。今は多い月で7〜8枚、1枚あたり15〜20分でPOPを書き上げる。

 「商品に関する知識を深めることでPOPのボキャブラリーを増やしたい」と目標を掲げる宮野さん。わかりやすいPOPが書ければ、商品が来店客の目に留まり、問い掛けられることが増えるという。POPを通じ、地域住民に親しみを持ってもらう。そんな店づくりにやりがいを感じている。(矢尾隆行)

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