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ヒット商品番付、下期トレンド予想――感動と共感、懐にズバリ、新生、五輪へ街変わる。

[ 2018年6月6日 / 日経MJ(流通新聞) ]

復活 モンキー大きく速く キャッツ舞台も新た

 平成から新たな時代へと切り替わる2019年5月の改元まで1年を切った18年下半期。20年夏の東京五輪も控え、トレンドカレンダーには、次代の街づくりのあり方を示す商業施設や未来の暮らしの予兆を感じさせる新技術・新サービスが相次ぐ。大型ヒット商品が乏しく足元の消費が振るわないなかで、「新生」と「復活」の両面から消費者の「感動」と「共感」を呼び起こそうとしているようだ。(1面参照)

 大型施設では、東京急行電鉄が9月13日に開業する「渋谷ストリーム」(東京・渋谷)がまず挙がる。グーグル日本法人が六本木ヒルズから移転することも話題だが、清流が復活する渋谷川に注目したい。

 かつて東京は水の都だったが、高度経済成長とともに川と人々の暮らしの間に隔たりができた。世界中で水辺を生かした街づくりが進んでおり、日本橋でも覆いかぶさる首都高速道路を地下に移す構想がある。渋谷川の復活は他の街づくりにも影響を与えそうだ。

 9月25日オープンの「日本橋高島屋S.C.」(同・中央)は都内最大級の屋上庭園を設け、飲食店が多く入居する。ネットでは体験できない感動を提供できるかどうか、ショッピングセンターのあり方が問われる。大阪・ミナミの地力を生かし、訪日客を取り込んだ高島屋大阪店のように、地域ぐるみで魅力を醸し出すことが必要だ。

 6月15日に解禁される民泊も注目株だ。五輪を控え着実に市場は広がる。個人の副業の後押しや空き家、空き店舗の再生につながる可能性もある。周辺住民との騒音やゴミ出しなどのトラブルもあり、まだ質にばらつきがあるが、施設の淘汰も進む。共感を得たシェアリングエコノミーが買い物やレジャーなどに自然に溶け込んでくるだろう。

 新たな消費を切り開く予兆を感じさせる商品も2つある。1つはセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(東京・港)の家庭用の自動衣類折り畳み機「ランドロイド」。出荷が遅れていたが、いよいよ今冬に先行販売が始まる見通しだ。税別185万円の見込みで、普及価格にはほど遠いが、「家事負担の軽減」という女性の共感を呼ぶ重要なキーワードが潜んでいる。

 白黒テレビ、冷蔵庫、洗濯機の「三種の神器」は食器洗い乾燥機、掃除ロボットへと発展してきたが、女性の家事負担は相変わらず重い。共働きで世帯収入が増えても「共疲れ」で豊かさを実感できないという声を聞く。家事負担の軽減余地はまだ大きい。

 2つ目は、イスラエルに開発拠点を持つシリン・ラブズ社(スイス)が10月に発売するブロックチェーン(分散型台帳)を活用したスマホだ。価格は約1000ドルとみられ、仮想通貨の基盤技術を応用し、セキュリティーレベルが高いとされる。「情報セキュリティー」は今後の消費を考える上で重要なキーワード。決済の安全性が飛躍的に高まり、キャッシュレス社会が加速する可能性がある。

 ヒットを生み出すのが難しいなか、共感を勝ち得た往年の人気商品「復活」の動きも続く。ホンダが7月に発売するバイク「モンキー125」(39万9600円から)やSNK(大阪府吹田市)のゲーム機「ネオジオミニ」。ただし、新たなファンの共感を得る工夫も大切だ。

 劇団四季は8月、人気のミュージカル「キャッツ」を東京で上演する。首都圏で6年ぶりとなる上演のために大井町に専用の劇場を新設した。どのキャストでもクオリティーが変わらない安定感と、何度見ても飽きない感動を観客に与え続ける。その「感動力」は、小売りやサービス業にも参考となる点が多い。

 「有楽町マリオン」(東京・千代田)に冬にオープンするコニカミノルタプラネタリウム(同・豊島)のプラネタリウムも話題となりそうだ。ストレス社会にあって、星空観賞ツアーも人気を博している。

 NHKの朝の連続テレビ小説「まんぷく」についても触れたい。インスタントラーメンを生んだ日清食品の創業者、安藤百福さんと妻の仁子さんの物語だ。

 ここ数年、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝さんを描いた「マッサン」、子供服のファミリア創業者の1人、坂野惇子さんをモデルにした「べっぴんさん」など、消費関連企業を取り上げた朝ドラが目立つ。新時代にヒットを生むヒントが期待されるとともに、人々の暮らしを良くしようと常識の壁を打ち破った生きざまが共感を集めそうだ。

(編集委員 大岩佐和子)

【表】2018年下期トレンドカレンダー
時 期     名称・出来事                内 容
 6月14日  サッカーW杯ロシア大会           日本代表は6大会連続出場。
  〜                           グループリーグはコロンビア、セネガル、
 7月15日                        ポーランドと同組
 6月15日  住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行      民泊が特区以外の全国で解禁、普及に拍車
   21日  「森ビル デジタルアートミュージアム」開業 延べ床面積1万平方メートルの、光やCGを
                              ふんだんに使った体験型施設が東京・お台場に登場
 7月12日  ホンダ「モンキー125」発売        名物ミニバイクが排気量125ccで復活
   14日  「富士急ハイランド」の入園料が無料に    食事や買い物など「ちょい寄り」需要を狙う
 8月     スマホゲーム「荒野行動」と「進撃の巨人」が 若者に人気のバトルロイヤルゲームが
        コラボイベント               同じ世界観の人気漫画とコラボ
    1日  神戸に「PEANUTS HOTEL」開業  スヌーピーが登場する漫画「ピーナッツ」を
                              テーマにしたホテル
    5日〜 第100回全国高校野球選手権記念大会    夏の甲子園大会。前回の戌年の大会では
                              「ハンカチ王子」フィーバー
   11日  劇団四季「キャッツ・シアター」にて     東京・大井町に劇場を新設し、6年ぶりに首都圏で
        「キャッツ」上演開始            上演
 9月13日  「渋谷ストリーム」開業           渋谷川沿いの新たな水辺空間を「渋谷のオアシス」
                              として再開発
   14日  映画「プーと大人になった僕」公開      ディズニー映画「くまのプーさん」のその後を
                              実写映画化
   16日  安室奈美恵さんが引退            国内5大ドームツアーのほかアジアでもツアーを
                              開催
   25日  「日本橋高島屋S.C.」開業        都内最大級の屋上庭園や多数の飲食店で周辺住民の
                              取り込みを狙う
10月     「ブロックチェーンスマホ」発売       仮想通貨を安全に保管・取引できるというスマホ
    1日  朝の連続テレビ小説「まんぷく」放映開始   日清食品創業者の安藤百福氏と仁子さん夫妻の
                              半生がモデルに
11月 9日  北欧の生活を体験できる「メッツァビレッジ」 埼玉県飯能市にできる北欧風商業施設。
        開業                    19年春には隣接地に「ムーミン」の
                              テーマパークも
   16日  ゲーム「ポケットモンスター」の最新作発売  ニンテンドースイッチ向けで、
                              スマホゲーム「ポケモンGO」と連携できる
12月 1日  4K8K衛星放送開始            NHKなどによる次世代の実用放送。
                              スポーツやコンサートが鮮明な画像で見られる
冬       自動折り畳みロボ「ランドロイド」先行発売  延期されていた洗濯物の自動折り畳みロボが先行
                              発売の予定
        「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」 有楽町マリオンにできる日本初の
        開業                    複合ドームシアター施設
年内      ゲーム機「ネオジオミニ」発売        90年代に人気を博したアーケードゲーム機が
                              手のひらサイズで復活

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