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セブン&アイ(中)大型店再生、見えぬ道筋――改装不発、提携効果これから(ビッグBiz解剖)

[ 2018年10月3日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 三越伊勢丹ホールディングスが百貨店3店を閉鎖する。9月下旬、小売りの苦境を示すこんなニュースが流れた。セブン&アイ・ホールディングス幹部は「人ごとではない。地方や郊外はどこも厳しい」と語った。早く再生させないと同じ道から抜けられない――。

 鈴木敏文前会長が退いて2年半。井阪隆一社長は大型店を再生させるため、新しい試みを続けている。ただ、簡単には進まないのが現実だ。

 そごう・西武の西武所沢店(埼玉県所沢市)に入ると、百貨店では珍しく1階で食品を売っている。井阪氏がホールディングス社長に就いて半年後の2016年11月、地下1階だけだった食品売り場を6割広げた。

 毎日買う食品の売り場増床は集客につながったが、効果はすぐ落ちた。井阪社長は17年10月、同店の販売について「食品が館全体にプラスの影響を及ぼしている」と話したが、18年3〜8月は前年を下回った。

 同店の2〜8階は衣料品や化粧品の売り場があるが、食品に消費者を上層階まで引き込む力はない。他店にも広げられるような集客策の練り直しを迫られている。

 鈴木時代の06年、現在のそごう・西武を傘下に収めた。18年2月期に2店閉め、さらに2店を売却して現在15店ある。

 18年2月期の連結営業利益は50億円で、売上高営業利益率は1%に届かない。今春、20年2月期に営業利益130億円という目標の達成を1年遅らせると発表した。

 セブン&アイにとって百貨店とともに再生が重要なのは、グループの祖業である総合スーパー、イトーヨーカ堂だ。18年2月末で164店ある。売上高にあたる営業収益は1兆2442億円、売上高営業利益率は百貨店と同じく1%を切る。

 井阪社長は衣料品や住居関連の売り場を縮小し、テナント誘致を進める。同時に、鈴木氏の時代よりも他社との連携を進める。18年3月、小田急グループと業務提携で合意した。駅ナカの売店をセブンイレブンに変え、スーパー部門では商品の共同仕入れや人材交流を進める。4月には中国・四国の総合スーパー、イズミと業務提携した。

 鈴木氏は13年、天満屋ストアなどスーパー2社と提携した。このとき相手に出資したが、今は出資しない緩やかな提携だ。グループ売上高1兆3200億円とイオンの1・8倍あるプライベートブランドを供給する。

 総合スーパー再建につながる提携効果は現時点で、イズミとの提携で広島県福山市のイトーヨーカ堂店舗を引き継いでもらうと決めた程度だ。

 新しい事業モデルを生みだしてきたセブン&アイが総合スーパー再生にてこずる主因は消費市場の構造変化にある。衣料品なら「ユニクロ」、住居関連は「無印良品」など専門店が増え、インターネット通販も急伸中だ。ヨーカ堂幹部は「価格、品ぞろえとも対抗できていない」と認める。

 何でも置いてあるが特徴の薄れた「総合」というあり方は、成熟した消費市場の中で存在意義を問われている。実際、総合スーパーはどこも苦しい。米ウォルマートは西友を売却する方針だ。ダイエーを抱え込んだイオンも停滞している。

 創業者である伊藤雅俊名誉会長の次男、伊藤順朗取締役常務執行役員は、イズミとの提携について記者会見で「イズミの売り場づくりを学びたい」と語ったが、具体的な成果はこれからだ。祖業であることはヨーカ堂立て直しの追い風なのか、壁なのか。大型店再生の目立った成果が見えぬまま、競合は勢いを増す。時間がたつほど再生のハードルは上がっていく。

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