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商業モール、駅前も淘汰、全国の一等地、相次ぐ閉鎖、競合増えて飽和感、ネット台頭「店子」減。

[ 2018年10月5日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 ショッピングセンター(SC)など商業モールの空洞化が進んでいる。店舗が増え飽和感が漂う一方、事業を支えるテナント数が急減。駅前などの好立地でも閉鎖に追い込まれている。消費の中心地として機能してきたSCだが、インターネット通販の台頭などで強みは薄れている。イオンなど大手も淘汰を見据えコト消費を強調するなど戦略転換を迫られている。

 小売店や外食店などを施設内に抱え、主にその賃料で収益を上げるのがSCのビジネスモデル。食品や日用品など自前の売り場も持つ総合スーパー(GMS)と違い、店舗スペースを貸す不動産業だ。日本ショッピングセンター協会によると、全国のSC数は2017年末に3217カ所で市場規模は約32兆円。イオン傘下のイオンモールや「ららぽーと」の三井不動産が大手で、ほかに地場企業が手がけている。

 つくばエクスプレス(TX)のつくば駅(茨城県つくば市)前に、SCの苦境を映す施設がある。30年以上にわたって営業してきた「クレオ」が18年1月、全面的に閉館になり、周辺も閑散とする。

 クレオは中核テナントだったそごう・西武の百貨店やイオンの総合スーパーが相次ぎ撤退した。

 つくば市は人口が約23万人、人口増加率は07〜17年で約16%増と市場環境は決して悪くない。それでも閉館に追い込まれたのは、周辺のSCやネット販売に顧客を奪われたためだ。子どもを連れた主婦(35)は「車で大型店に行く方が多く、閉鎖されても影響は少ない」と話す。

 9月28日、つくば市はクレオ再開業に向けて所有者の第三セクターから取得を目指す意向を明らかにした。新たに百貨店や科学教育施設などを誘致したい考えだ。同市の男性(70)は「駅前が"廃虚"のままだと行政としてもイメージが悪いのだろう」と苦笑する。

 駅前や中心市街地など一等地でのSC閉鎖は全国に広がっている。北九州市では地場百貨店が運営するSC「コレット」が、19年2月に営業を終了する予定。岡山市でもSC「ジョイフルタウン岡山」のアネックス棟が今秋に閉鎖される。

 統計で見ればSCの数自体は増加傾向にある。17年に開業したSCは48カ所で、今年も9月末までに21カ所が開業。一見活況なようだが、足元では異変が起きている。SCの根幹を支えるテナント数の急激な減少だ。

 SC向けのシステム開発を手掛けるリゾーム(岡山市)の調査では、1500平方メートル以上などの条件を満たすSCに入居する総テナント数は18年3月時点で13万8579店。1年間で約9200店、約6%減った。

 分野別ではファッション・雑貨が約4200と半数近くを占める。「ZARA」など低価格なファストファッションが普及して従来型のアパレルブランドの退店が増加。SCの集客力低下で飲食店なども撤退する負のサイクルに陥っている。

 テナントの出店数は直近データの18年6月まで9カ月連続して、退店数を下回る。リゾームの土井義孝・上席研究員は、「『歯抜け』が進み、賃料を下げたり大手小売りに広いスペースを貸し出したりするSCも増えているようだ」と話す。

 流通業界に詳しいR・B・K(リテールビジネス研究所)の飯嶋薫社長は「働き手を確保できず退店を余儀なくされているテナントも多い」と指摘する。こうした状況を端的に示すのが、JR久喜駅(埼玉県久喜市)前の6階建てSCだ。物販は1階のスーパーなど一部で、多くのテナントはフィットネスクラブや学習塾などサービス系だ。高層階には企業のオフィスも入るものの、空きスペースが目立つ。

 さらにネット通販の普及が追い打ちをかけている。米アマゾン・ドット・コムなどの品ぞろえは衣料品や家電製品、食品と年々広がり、まとめ買いもしやすい。国内の市場規模は17年に16兆円を突破。物販の集積地、SCを侵食している。

 こうした中、SC大手は物販中心の運営から、コト消費対応などに軸足を移し始めている。

 イオンモールが広島市内で4月に開業した新型SC「ジ アウトレット広島」。アウトレットや、屋内遊戯施設を主体とした。吉田昭夫社長は「淘汰が本格的に始まれば、圧倒的ナンバーワンでなければ勝ち残れない」と危機感を強める。三井不動産が9月末、名古屋市の再開発地区で開いた東海初の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」は集合住宅やスポーツ施設と一体で開発した。

 「アマゾン効果」が消費全体に与える影響が大きい米国では既に淘汰が進み始めている。郊外のSCが百貨店などの核テナントの撤退で空洞化。玩具販売のトイザラスなどSC内にも展開する大手小売りチェーンの経営破綻も続いた。

 SCの出店を巡っては、2000年代後半に地方商店街の保護を目的に郊外の大型店の出店を規制する動きが強まった。ただその後、工場跡地の再利用などを目指す各自治体が誘致を積極化した。かつて消費の主役を担ったSCだが、消費者を引き付けられる独自の付加価値を持たせなければ淘汰の波にのみ込まれる。

(河野祥平)

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