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日経の紙面から

北海道地盤のコンビニ、セコマPB、羽ばたく、本州で年3割増、イオン系など続々、アイスや牛乳、道内で「お墨付き」。

[ 2018年10月31日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 北海道地盤のコンビニエンスストア、セコマが食品メーカーとしての存在感を飛躍的に高めている。プライベートブランド(PB)を含む外部販売額は200億円弱まで急成長。本州への外販売上高は3割増の勢いだ。北海道産の看板にあぐらをかかず、運営するコンビニ「セイコーマート」での販売実績に裏付けされた信頼感が他の小売業からの引き合いを呼び込む。

競合ラブコール

 東京・神田の「ウエルシア薬局」。医薬品や化粧品だけでなく、牛乳や弁当など飲食料品も取りそろえる。売り場に行くと目に付いたのが「北海道サロベツ牛乳」。手にとってよく見ると「secoma(セコマ)」のロゴが入っていた。

 同じ棚ではヨーグルトにもsecoma。隣のアイスコーナーでもソフトクリームがsecoma。PB商品の開発に積極的に取り組むウエルシアホールディングス(HD)だが、食品売り場ではセコマのPBも十分に存在感がある。ヨーグルトを購入した20代会社員の女性は「初めて見たがパッケージに北海道と書いてあり、おいしそうなので試してみたいと思った」と話した。

 イオングループのウエルシアHDがセコマの商品を仕入れるきっかけとなったのは、2012年2月に放映されたテレビ東京の番組「カンブリア宮殿」のセコマ特集だった。「自社製造している道産商品をいっぱい持っていることを知り、当時セコマ会長だった故赤尾昭彦氏にすぐ連絡した」と池野隆光会長。「北海道地盤という強みを生かし、高品質で安価な商品を作るという姿勢が他とは違う」と評価する。

 滋賀県が地盤のスーパー、平和堂は17年春からセコマにソフトクリームを製造委託し、自社のPBとして販売する。たまたま担当者同士が知り合い、試食したらソフトクリームが濃厚でおいしかったため、すぐに開発を依頼。アイスの中で売り上げが常にトップ10に入る人気商品となった。

購買データ提供

 セコマは現在、ウエルシアや平和堂のほか、関西の大手スーパーなど約150社にPBを納入する。セブン&アイ・ホールディングスが共通のライバルのイオングループとの取引もじわり拡大。同グループのコンビニ、ミニストップにはアイスや菓子、総菜を卸す。

 セコマのグループの売上高約2000億円のうち、こうしたPBを含む外部販売は200億円弱に成長。本州での外販の売上高は前年比30%増の勢いで伸びている。同社の丸谷智保社長は「セコマブランドがバイヤーに浸透してきただけではない。フリーダイヤルに顧客から『他にどこで売っているか』という照会が増え、今までにないくらい反応がある」と話す。

 20年までに200億円とした目標達成が目前に迫る中、丸谷社長は「販路拡大に取り組み、道内で眠る食材をもっと本州に広めたい」と意気込む。

 セコマのPBには2つの強みがある。1つは北海道内で自社グループが原料生産から製造・加工までほぼ一貫して手掛ける点だ。弁当・総菜、菓子、乳製品、飲料水、麺、調味料などを生産するメーカーを抱える。セコマの規模でスピーディーに、しかも多岐にわたり生産できるメーカーはなかなか見当たらない。

 もう1つの強みは、コンビニ運営が本業という点に隠れている。開発・製造した商品は道内で約1100店展開するセイコーマートですでに販売実績があるのだ。

 セコマは00年に大手コンビニに先がけ会員カードサービスを開始。会員の購買データを蓄積し、商品開発や売り上げ予測などに活用してきた。独自システムで集計・分析したデータを外販先にも提供。「ターゲット層により需要のある商品を的確に割り出してくれる」とウエルシアHD食品商品部の袴田雄也開発担当バイヤーは喜ぶ。

 セコマは実は北関東でも100店ほど店舗を展開している。道内外の物流も自社グループで内製化しており、外販でもこれが生きた。

 道内で製造した食品は茨城県の物流センターを経て取引先のセンターに納入できる。余計な物流コストをかけずにすむ。セコマ・特販本部の木地康裕本部長は「元は関東の店舗用物流だったが、この物流網がなかったらこれほどのスピードで外販事業は成長しなかったかもしれない」と話す。

 セコマは外販を本格化するため15年に東京事務所に特販本部を開設。小口配送にも対応できるよう、18年6月には茨城県に新しい配送拠点も設けた。この拠点は9月の北海道地震でも役立った。

 道内で小売り大手各社が商品供給に苦戦するなか、ウエルシアなど取引先が茨城の物流センターにいち早く商品を届けたため、地震発生から2日後には自社物流を駆使して道内各地の店に飲料や日用品を提供できた。

 セコマは約20の自治体などとも災害協定を結んでおり、全協定先に支援物資を供給できた。ネット上などで「神対応」と称賛された背景には、セコマの南下戦略の物流網の存在があったのだ。(札幌支社 光井友理)

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