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カスミ筑波大学店(カスミ)――完全キャッシュレスに(出来たてスポット)

[ 2018年11月7日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)傘下のカスミは10月、現金を扱わない完全キャッシュレスの店を開いた。大学構内という特殊な立地を逆手に取り、ハラル対応の食品を販売したり、日曜日を定休日にしたり「様々なことに挑戦する店」(藤田元宏社長)を目指した。実験的な取り組みも導入し、他店舗への展開も視野に入れている。

 つくばエクスプレス(TX)のつくば駅(茨城県つくば市)から車で10分弱。筑波大学の学生宿舎から徒歩1分ほどの大学構内に「カスミ筑波大学店」を開いた。

 売り場面積は800平方メートル弱の小型店だが、レジを9台も設置した。バーコードの読み取りから支払いまで、すべて来店客が行うセルフレジだ。支払いには現金が使えず、クレジットカードとイオンが発行する電子マネー「WAON」だけに対応した。

 カスミが完全キャッシュレスの店舗を出すのは初めて。同社の一般的な店舗での非現金決済の割合は3割のため、「混乱が起きないか、心配していた」(箱田直美店長)。現金が使えないことが来店客の苦情やトラブルにならないかヒヤヒヤしていたという。

 しかし、オープンしてみると無用な心配だった。セルフレジに不慣れな客が会計に手間取ることはあっても、レジ数が多いので流れが止まることはない。サービスカウンターでワオンを購入し、そのまま使う客も多く「思った以上に来店客が抵抗感なく使ってくれた」と箱田店長は話す。

 店の主要客である学生の混乱も少なかった。同大の大学院生の藤野広大さん(22)は、同店ができるまでスーパーやコンビニでは現金派。「現金が使えないと聞いた時は抵抗感があった」というが、「財布もいらないし、慣れればこっちの方が楽」と笑顔で話す。

 深刻な人手不足が続く小売業界だが、キャッシュレスは省人化対策としても有効だった。

 レジ担当の従業員が1人で済むほか、閉店後の精算作業が不要になり、「通常店よりも作業量がかなり減った」(箱田店長)。店舗の閉店時間は平日は午後9時だが、午後10時には従業員が帰宅できる。これまでは深夜まで働く必要があった。正社員は店長のみで、日中はパート・アルバイトを合わせて数人で回せる体制が整った。

 同店ではキャッシュレスのほか、モデル店として新たな試みを導入した。例えば、折り込みチラシを出さず、特売もしないEDLP(毎日安売り)の仕組みを採用。販促費を削り、全商品の価格を通常店よりも1〜2割程度下げた。

 イスラム圏からの留学生に配慮し、ハラル食品のコーナーも同社で初めて置いたほか、若い女性に人気の輸入菓子も充実させた。従業員の働き方に配慮し、日曜日は定休日にした。

 筑波大学店で実験するキャッシュレスやEDLPの取り組みがうまくいけば、今後の店舗戦略にも影響する可能性がある。ネット通販や食品を扱うドラッグストアの台頭で、スーパーの経営環境が大きく変化する中、継続的な成長を目指した模索が続く。(平嶋健人)

《店舗概要》
▽開 店 日  2018年10月1日
▽所 在 地  茨城県つくば市天久保3の1の10
▽売り場面積  768平方メートル

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