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九州・沖縄経済特集――九州、新時代へ離陸、天神「ビッグバン」再開発、博多港ロープウエーも。

[ 2018年11月28日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 九州最大の都市、福岡市が大きく変わろうとしている。建物の高さ規制を緩和して大規模開発を推し進める「天神ビッグバン」が本格化。福岡空港も来春から完全民営化され、急増するインバウンド(訪日外国人)観光客の受け入れ体制を強化する。人口減が進む地域では、地銀2行の統合が認められ、新しい地域金融のあり方を探る。基幹の農業でも革新的な動きが広がり始めた。

 天神ビッグバンの名付け親は18日に3選を果たした高島宗一郎・福岡市長。天神上空は福岡空港(博多区)を離着陸する旅客機が行き交い、ビルの高さが制限されてきた。高島市長は国から国家戦略特区の認定を得ることで規制を緩和。市独自の緩和策も加え、老朽化したビルの建て替えを後押しする。

 目玉は中心部にある旧大名小学校跡地(約1万1800平方メートル)の再開発だ。福岡市は人口158万人という規模の割に5つ星ホテルが少なく、「富裕層の宿泊需要を取り逃がしていた」(CBRE日本法人社長の坂口英治氏)。そこで、高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン」を誘致。2022年末ごろの開業を目指す。富裕層のインバウンドも取り込む。

 福岡市は24年末までに30棟分の建て替えを目指す。現在7棟の計画が公表されているが、水面下で交渉や検討が続いているようだ。

 ただ、建て替えるにもテナントの一時移転先の確保が課題になる。福岡のオフィス空室率は2%台にまで低下し、テナントも再発のために身動きが取りづらい状況にある。

 そこでイオン九州と福岡地所は天神北部の商業施設「イオンショッパーズ福岡店」の上層階を19年夏までにオフィス用に改装する。4フロアで計1万1500平方メートルと「市内で最大規模」(福岡地所の榎本一郎社長)のオフィス受け入れ先を提供する。

 福岡市が天神や博多に次ぐ「第3の核」と位置付けるのはウオーターフロント(WF)と呼ぶ湾岸地区。外国人客を乗せて寄港するクルーズ船は3年連続で全国最多となっている。9月に2隻着岸できるように岸壁を延伸し、今後20〜30年かけてホテルや商業施設などの大型開発を計画する。

 ただインバウンドや人口の増加で、市内の渋滞は深刻化。湾岸地区から市中心部までのアクセスの悪さが課題となっている。そこで、高島市長は、JR博多駅と博多港を結ぶ「大博通り」の上にロープウエーを架設する構想を掲げる。市の有識者会議は「地下鉄やモノレールに比べ、景観や輸送力、コスト面で優れている」と評価。高島市長の3選で議論が前進する可能性がある。

 9月末、福岡市にあった九州大学の箱崎など2キャンパスを同市西区の伊都キャンパスに移転・統合する作業が完了した。箱崎キャンパス跡の敷地面積はヤフオクドーム約7個分に相当する50ヘクタールと広大。市と九大はそこで最先端のIT(情報技術)などを導入し「スマートシティ」を立ち上げる構想を描く。少子高齢化など、社会課題を解決するモデル都市にする。

 20年度にもまちづくりに関わる事業者の募集を始め、24年度以降に施設などを順次建設する計画。高島市長は「スタートアップから世界クラスの企業まで関わる実証実験の現場ができる」と強調する。

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