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訪日客消費、伸び続けるか――ラオックス社長羅怡文氏、ブームから安定成長に(月曜経済観測)

[ 2019年2月11日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 春節(旧正月)の大型連休で、今年もたくさんの中国人が日本を訪れた。訪日外国人(インバウンド)消費はこれからも伸び続けるのか。ラオックスの羅怡文社長に聞いた。

 ――最近のインバウンドの動向はいかがですか。

 「訪日客の数が急激に伸びていた時期と比べると、この1年間は緩やかになったと感じている。踊り場というより、安定成長の時期に入ったとみるべきだ。日本への旅行はもはや一時的なブームではない」

 「花巻空港と上海の間で最近定期便が就航した。岩手県の高原でスキーを楽しむ中国人が増えたからだ。これまであまり利用されていなかった日本の地方のインフラが使われるようになり、過去のリゾート地が復活している。インバウンドが日本の地方の価値を再発見しているのだ」

 ――2020年の東京五輪・パラリンピックはどう影響するでしょうか。

 「競技施設の規模の問題などがあるので、五輪がインバウンドの数字に決定的に影響することはないだろう。前後の時期にそれなりに増えるだろうが、それよりも日本への観光の流れ全体のほうが重要だ」

春節との差縮む

 ――今年の旧正月の訪日客の手応えは。

 「以前は春節になると売り上げがどんと増えたが、最近はそうでもなくなった。一生懸命お金をためてやっと海外旅行に行く人が多かったが、今は生活の一部。年に何回も旅行に行く。この春節も大勢の訪日客が来たが、売り上げの山と谷の差は緩やかになった」

 ――企業はどう需要を開拓すべきでしょうか。

 「外国人と日本人を分けてビジネスを考える時代はもうすぐ終わるだろう。これほど多くの外国人が日本に住み、旅行に来るようになると、社会のグローバル化が進み、日本人のライフスタイルも変える。企業は外国人も含めた日本のマーケットにどう対応するのかを考えるべきだ」

 「変化の一つが本格的な競争社会の到来で、その結果収入の差が広がる。今の生活で満足ならそれでもいいし、能力があり努力する人はより多くの収入を得ることができる。社会が多様になり、若い人が憧れる目標ができる。訪日消費がどこまで増えるかという議論にはあまり意味がない。それよりも、社会の変化で成長率が高まる効果に期待すべきだ。企業はそうした変化に注目したほうがいい」

為替影響大きく

 ――中国の成長率の鈍化は観光に影響しませんか。

 「まったく無関係とは言えないが、インバウンドにはそれほど大きく影響しないと思う。中国は経済規模が世界2位で、中間層がすでに億人単位でいる。多少景気が失速しても、彼らのライフスタイルが変わることはない。旅行はその一部だ。景気減速よりも、為替相場が乱高下したときのほうが影響は大きい」

 「ただ中国経済そのものは2〜3年後には様々な困難に直面するだろう。米中の貿易摩擦もあるが、不動産に依存する経済体質や国有企業の債務など自らが抱える問題が大きい。解決には改革開放をさらに進めるしかない。政府もわかっているので、長期的には悲観していない」

(聞き手は編集委員 吉田忠則)

 ら・いぶん 上海生まれ。1989年に来日し、東大大学院などで学んだ。

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