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ヒットの予感――酒も眼鏡もAIがお薦め、「外すと痛い」買い物も安心(消費を斬る)

[ 2019年2月11日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 人工知能(AI)を使って消費者一人ひとりに合った商品を薦めるサービスが増えている。店頭とネット上に商品情報があふれ、無数の選択肢から選ぶことにストレスを感じる人は多い。一から自分で選びたくないが、失敗もしたくない――。そんな消費者にとってはAIが役に立つ。買い物に消極的とも言われる若者層の購買意欲を引き出す可能性もある。

 純米酒に大吟醸酒、本醸造酒、さらに辛口、甘口......。日本酒は原料米や水、産地ごとに個性が異なり、種類も多い。飲食店や酒販店で、日本酒に詳しくない消費者は酒瓶の包装や店頭販促(POP)を頼りに買うことになりがちだ。

 日本酒ベンチャーの未来酒店(東京・渋谷)が東京・代官山に開いた日本酒バー「YUMMY SAKE コレクティブ」。あまり日本酒を飲まないという東京都杉並区の男性会社員(26)は古酒を飲み、「こんなにおいしかったとは」と驚いた表情。この古酒はAIがお薦めした。「これから古酒を飲み続けると思う」。AIで隠れた好みの発見につながった。

 同店でAIが好みを判定する仕組みはこうだ。飲み比べキット(2160円)を頼むと10種類の日本酒を10ccずつ渡される。1種ずつ味を確かめ、専用ウェブサイトでおいしさを5段階で評価する。入力し終えると「スルスル」「ビュンビュン」など、12の擬態語で自分に合うタイプの日本酒を教えてくれる。

 店にそろえる約90の日本酒もこの12タイプに分類。タイプが分かると自分に合う日本酒を選びやすい。会社の同僚らと杯を傾けた30代男性は「瓶1本2千〜3千円の日本酒は買って外すと痛い。好みをずばり教えてくれて助かった」。

 眼鏡選びでも悩む人は多い。ジンズがJR上野駅構内に開いた「ジンズ・ブレイン・ラボ エキュート上野店」では、眼鏡がどれくらい似合っているかをAIが判定する鏡を3台用意した。試着用のフレームは約270種類。眼鏡をかけて前に立つと、約5秒で「85%」などと似合い度を表示する。

 同社ではスタッフが判定したデータを蓄積し、AIに学習させている。男性・女性スタッフそれぞれからの評価がわかる。テレビで知って立ち寄った千葉県柏市の男性会社員(43)は「眼鏡は軽さやデザインなど選ぶポイントが多いが、AIで絞り込むと選ぶのが楽になる」。消費者がこだわりを持つが、商品選びの判断材料が多く負担を感じる、という分野でAIが活躍している。

 SNS(交流サイト)などで情報があふれるなか、インフルエンサーや友人が薦める商品を買う消費者は少なくない。

 「消費者は自分自身や周囲に理由を説明できない買い物をリスクとして捉えている。『AIのお薦め』は選んだ理由として説明しやすく、安心できるのでは」。AIが個人に合った商品を薦める店舗が増え始めた背景について、博報堂買物研究所の山本泰士上席研究員はこう分析する。

 人手不足のなか、AIを接客に活用する店舗は今後さらに増える見通し。「AIにも親近感を持たせられるかがカギを握る」と山本氏。会話や接遇では人間のスタッフの知見も重要となる。AIと店員が二人三脚で店を切り盛りする時代が近づいている。(山田遼太郎)

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