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良品計画、金井政明会長に聞く、フィンランドで「MUJIバス」。

[ 2019年6月3日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 「無印良品」を展開する良品計画は、フィンランドの首都ヘルシンキ市で3月にテスト走行を実施し、年内に同国の3都市で行われる自動運転のシャトルバスの実証実験に参画する。同社はバスのデザインを手がけることで「MUJI」の世界観をアピールする。今年11月には同市に北欧最大級の店舗の開業を予定。地域に根付くブランドとしての定着を目指す。フィンランドでの取り組みの狙いなどについて、金井政明会長に聞いた。

 「車のデザインがどんどん偉そうに、速そうに、高そうに変わっていく社会とはいかがなものか」と金井会長はこう投げかける。無印などがフィンランドで2020年に実用化を目指す自動運転バス「GACHA(ガチャ)」。取り組みを通じて開発競争が激化する自動運転業界に一石を投じることを狙う。極度に機能性や先進的なスタイルを打ち出すのでなく、消費者が使いやすく、居心地がいいと感じられるデザインを打ち出す。そこに「無印良品」らしさを込めたという。

 フロントやリアの区別のないデザイン、ヘッドライトとコミュニケーションスクリーンが一体となった発光ダイオード(LED)のライトベルトに込めたのは、利用者の親しみやすさだ。内装にはラウンド型のベンチシートを用いた。バスはこぢんまりとした大きさで、大量輸送の考え方とは一線を画す。

 なぜフィンランドなのか。金井会長は「自動運転の実証実験を公共交通として手がける市の計画に共感した」と話すだけでなく「文化と自然の共生でも学ぶ面が多い」として、無印として追究するテーマが近いからだという。

 良品計画は11月にMUJIの同国1号店を開業する。同社が着目するのは、1人当たりGDPの高さもさることながら、自然と調和したデザインを志向する消費者の多さだという。金井会長は「文明や経済に振り回される社会や、お金だけを追求する時代は終わらせた方がいい」といい、同国と無印良品との親和性の高さをみる。その上で、無印として自動運転車のデザインを手がけ、実験に参画することで、企業姿勢やブランドイメージへの浸透を進めようとする。

 ヘルシンキ市のヤン・ヴァパーヴオリ市長は「雪や氷の上を走る場面もある市内の環境は過酷だが、乗り越えればどの街でも使える。信頼性の高い街になるにはサスティナビリティーが重要で、無印の考え方とも似ている」と話した。

 良品計画は消費社会へのアンチテーゼを掲げ「感じ良いくらし」をテーマに商品展開を進めてきた。「『感じ良いくらし』は『感じ良い社会』に変化している」(金井会長)と、生活提案だけでなく地域社会の課題解決にもつながるビジネスに取り組もうとする。広告宣伝ではなく、車や店舗、商品を通じてフィンランドの消費者にどう感じてもらえるのか、同国での取り組みは大きな試金石になりそうだ。(勝野杏美)

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