日経メッセ > JAPAN SHOP > ニュース > 小売りの3割、営業短縮・検討、18年度小売業調査、働き方改革・人手不足で。

日経の紙面から

小売りの3割、営業短縮・検討、18年度小売業調査、働き方改革・人手不足で。

[ 2019年6月26日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 日本の小売業で店舗の営業時間を見直す動きが広がってきた。日本経済新聞社がまとめた2018年度の小売業調査によると、1年前と比べて営業時間を「短縮した」「短縮を検討」との回答は計約3割に上った。人手不足や働き方改革を背景に時短や定休日を増やす企業が増加傾向にあるためだ。成長に向けて働き手の確保や生産性の向上が焦点となっている。

 1年前と比べた店舗の営業時間を尋ねたところ、「短縮した」(19・2%)と「短縮を検討」(8・6%)が計27・8%となり、前年度よりも4・5ポイント上昇した。営業日数についても「減らした」(12・6%)と「減らす方向で検討」(3・3%)が計15・9%で6・4ポイント増えた。

 背景にあるのが人手不足と働き方改革だ。営業日数を減らす企業に複数回答で理由を聞いたところ、「従業員の働き方改善」が90・5%に上り、次いで「人手不足」が30・2%だった。

 これまで小売りチェーンは営業時間を延ばすことで、売り上げを伸ばしてきた。ただネット通販の普及で売上高の拡大が期待しにくい。人手不足が深刻化する中、従来の成長モデルが通用しにくくなっている。

正月休み多く

 首都圏の中堅スーパー、いなげやは開店時間を繰り下げるなど、17〜18年3月にかけて約60店舗で営業時間を短縮。ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス(HD)は19年度から、24時間営業店の出店計画を年100店から50店に減らす。人件費を抑えたり、ピーク時間帯の接客を強化したりして収益を確保する考えだ。

 イオン系のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス傘下のカスミは18年5月、水戸市に日曜日を定休日にした店を出店。日曜定休の店舗は現在2店舗だが、「定員以上にパート従業員の応募がある」(同社)など効果が出ている。

 マルエツは19年、商業施設内の店舗を除いたほぼ全店の290店で元日を休業にした。1月2日を休みにするスーパーも増えており、埼玉地盤のヤオコーは約40年ぶり、サミットは30年ぶりに19年から定休日に加えた。

 調査では、正社員の「勤務時間短縮を実施している」との回答が6・6ポイント増の41・0%、「休日・休暇を拡大している」とした企業は11・6ポイント増の43・3%だった。

 18年度に必要な人員が足りなかった企業は54・0%と3・0ポイント増えており、人手確保のためにも労働環境の改善が欠かせない。19年に入ってコンビニの24時間営業問題への関心が高まっており、従業員の働き方への配慮はさらに広がりそうだ。

 人手が限られるなか、IT(情報技術)の活用などによる生産性の向上や省人化も進んでいる。電子マネー決済に対応している企業は56・4%と8・5ポイント増、セルフレジの導入も31・6%と5・6ポイント増えている。

ネット通販堅調

 小売業全体では売上高の拡大が続いている。前年度と比較可能な491社の総売上高は3・8%増の68兆6160億円で、7年連続で前年度を上回った。持ち株会社などを除いた470社の店舗数も12万1208店と1・6%増えた。消費増税が10月に控えるなど逆風も吹く中、生産効率の改善は重要な課題だ。

 このうちネット通販を含む通信販売事業の総売上高は8・4%増の3兆5884億円だった。17年度調査と伸び率は同じで堅調に伸びている。

 最大の売り上げ規模のアマゾンジャパン(東京・目黒)の売上高は14・3%増の1兆5265億円と4割強を占める。同社はスーパー大手のライフコーポレーションと組みライフの店舗から生鮮品や総菜を届けるサービスを19年内に始める予定。小売り各社もネット通販で対抗策を打ち出すが、アマゾンの攻勢はさらに強まる可能性も高い。

 人手不足に伴う実店舗の運営の見直しと、拡大を続けるネット通販への対応が小売り各社に迫られている。

【表】小売業売上高トップ10
順位(前年) 社名                           売上高(億円) 
1 (1)  イオン                          85,182 
2 (2)  セブン&アイ・ホールディングス              67,912 
3 (3)  ファーストリテイリング                  21,300 
4 (4)  ヤマダ電機                        16,005 
5 (5)  アマゾンジャパン                     15,265 
6 (6)  三越伊勢丹ホールディングス                11,968 
7 (9)  パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス   9,415 
8 (7)  エイチ・ツー・オー リテイリング              9,268 
9 (8)  高島屋                           9,128 
10(10) ビックカメラ                        8,440 
(注)2018年度日本経済新聞社小売業調査より      

ニュースの最新記事

PAGE TOP