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台風計画運休、最大規模に、今夜にも上陸の恐れ、工場・店舗も休止。

[ 2019年10月12日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 大型で非常に強い台風19号が日本列島に接近し、首都圏を中心にした鉄道・航空の計画運休は過去最大規模となる見通しだ。百貨店や飲食店などは早期に臨時休業を発表し、顧客や従業員の安全を優先して企業活動をあえて止める動きが進む。地球温暖化の影響で巨大台風が日本を襲う恐れが強まるなか、休業などに伴うコストを踏まえても、リスクを避ける選択が企業に定着しつつある。

 気象庁によると、台風19号は11日午後9時現在、中心気圧935ヘクトパスカルで、八丈島の南西約440キロの海上を北北西に進んでいる。非常に強い勢力を保ったまま12日夕方から夜にかけ東海や関東に接近し、上陸する可能性がある。記録的な大雨となる恐れがある。気象庁は「大雨特別警報」を出す可能性があるとして、厳重な警戒を呼びかけている。

 安倍晋三首相は11日の台風19号に関する関係閣僚会議で、千葉県を中心に大規模停電が長引いたことを受け「台風15号の経験も踏まえ、自治体と連携して先手、先手の対策を講じてほしい」と指示。警察や消防、海上保安庁のほか、自衛隊が関東や静岡県の部隊を中心に約1万7千人の即応態勢を敷くことも表明した。

 菅原一秀経済産業相は11日夜、東京電力など電力各社に停電復旧に向けた体制の確保を要請したことを明らかにし、「東電は2万人体制で臨むと報告を受けた」と述べた。

 JR東日本は12日午前から昼にかけて順次、運転を取りやめる。東海道新幹線や私鉄各社も軒並み運休するほか航空各社も羽田、成田空港発着便を欠航する。首都圏だけでなく東日本全域で交通網が停止する見込みだ。

 計画運休の広がりに、中央大学の後藤孝夫准教授(交通経済学)は「かつては運行を続けたことで帰宅困難者が生じたり、車内に乗客を缶詰め状態にしたりすることがあった。災害が相次ぐなか利用者の理解が進み、事業者が運休を決断しやすくなった」と指摘する。

 ただ、影響は産業界全体に波及する。イトーヨーカ堂は関東や東海地方の1都7県の124店舗で12日に臨時休業する。同社が計画的に大規模休業するのは初めてだ。

 三越伊勢丹ホールディングスは三越の日本橋本店(東京・中央)や伊勢丹の新宿本店(同・新宿)など首都圏の全6店で12日は臨時休業する。いずれも「利用客と従業員の安全を確保するため」などと理由を説明する。

 国土交通省によると、甚大な被害が出た18年7月の西日本豪雨による水害被害額は1兆1580億円にのぼり、過去最大だった。18年9月の台風21号では関西国際空港が閉鎖し輸出入にも影響が出た。SMBC日興証券の宮前耕也氏は「空港に被害が出れば、貿易とインバウンド需要の両方に影響が出る。さらに停電も起きれば、日本経済には明確な悪影響が出るだろう」と話す。

 台風によるイベント中止には海外メディアから批判的な意見も上がる。

 ラグビーワールドカップ大会組織委員会がイングランド対フランスなど2試合を中止にしたことに、英高級紙スコッツマン(電子版)は「日本は小国ではないし、台風に慣れていないわけでもない」とし、他都市や別の日程で開催すべきだったと主張した。

 それでも、臨時休業といった危機対応は浸透していきそうだ。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「輸送が遮断されると、物流や移動もとまり経済損失は大きい」としながらも、「営業を続けて事故を起こす方が、企業の安全管理に対する信頼を損ない、ダメージは大きい。こうした対応が定着していくだろう」とみている。

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