LED NEXT STAGE

展示会トップ
LED NEXT STAGE 2016 | 2016年3月8日(火)〜11日(金) 東京ビッグサイト

LED照明、鍾乳洞に魅惑の助っ人、コケ発生減、演出多彩に――観光客呼び戻し期待。

 鍾乳洞のライトアップに発光ダイオード(LED)照明を使う事例がじわりと増えている。岩手県の竜泉洞はパナソニック電工と組んで洞内をライトアップ。山口県にある秋芳洞も7月末に9日間の限定イベントを実施した。色彩表現の豊かさに加えて、コケの発生を抑える効果にも期待が集まる。観光客減少に歯止めをかける"一筋の光"になるのだろうか。

 日本三大鍾乳洞に数えられ、コバルトブルーの地底湖で有名な竜泉洞。足を踏み入れると、夏の日差しでほてった体が急速に冷えていく。外気との温度差は約10度。湿った空気のなかを歩き「月宮殿」にたどり着くと、天井や壁を照らす光の色が青からピンク、紫へと移ろい、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 光を演出するのは赤、青、緑のLEDを組み合わせて壁面を照らす投光器だ。白熱電球を使う従来の器具は単色しか表現できなかったが、LED投光器に変えたことで1台で1670万通りもの光を表現できるようになったという。パナソニック電工が全面協力し、白色光で照らすタイプも含め約30台のLED器具を7月下旬に導入した。

 熱や紫外線をほとんど含まないLED光の特性にも関係者の注目が集まっているようだ。竜泉洞事務所の加藤勝彦所長は「コケの発生を抑える効果を期待したい」と話す。

 照明が発する光や熱によって増えてしまう壁面のコケは景観や安全上、クレームになりがちなうえ「地道に掃除するしか策がない」のが実情。長年の課題を解決できるかもしれないと、先端産業とは縁遠そうな洞窟(どうくつ)の観光産業でにわかにLED照明への関心が高まっている。

 山口県産業技術センターが2007〜08年にかけて秋芳洞で行った実験によると、足元を照らす蛍光灯器具をLED器具に交換したところ、コケなど植物の発育を約15%抑える効果を確認できたという。

 竜泉洞がLED照明を導入してからおよそ1カ月。効果検証には時期尚早とはいえ、加藤所長は「LEDを新たな魅力と位置づけ観光客を呼び戻せれば......」と胸の内を明かす。ピーク時の1985年には47万人を超えていた観光客数は近年、20万人前後まで落ち込んでいるからだ。

 国内に100カ所近くある他の観光洞も事情は似たり寄ったりという。

 一方、秋芳洞のイベントでは「週末は1日の入場者が1万人を超え、普段の土日と比べても2倍以上」(山口県美祢市総合観光部)という実績が生まれたことから、LED照明に対する期待感も膨らんでいる。

 照明機器メーカーにとっても、新たなビジネスチャンスを得るきっかけとなりそうだ。パナソニック電工は自らが費用を負担して竜泉洞のライトアップに協力する理由について「LED照明で実績をつくり、新たな物件の需要喚起につなげるためだ」と説明する。

 洞窟に限らず、様々な事情で既存の照明が使いにくい場所は少なくないとみられる。事例を積み上げていくことによりLED照明の特性を強く訴え、新たな市場を開拓しようという試みの一環ともいえる。

 LED照明が普及期に差しかかりつつあるなか、企業や消費者の関心は見た目にわかりやすい電球形のLED照明などに集まりがちだ。だが、既存の照明を置き換えるだけでは、8000億円とされる国内照明機器市場は広がらない。寿命が長い分、市場規模の縮小を招く可能性も否定できない。「第2の洞窟」となる事例を探し、提案を繰り返す力量も問われることになりそうだ。(佐藤浩実)

関連情報一覧

メニュー

同時開催の展示会+ 展示会一覧を見る