日経メッセ > LED NEXT STAGE > ニュース > パイフォトニクス池田貴裕さん――拡散しない照明、営業に挑む(静岡きらり人財)

日経の紙面から

パイフォトニクス池田貴裕さん――拡散しない照明、営業に挑む(静岡きらり人財)

[ 2012年2月25日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

パイフォトニクス代表取締役 池田貴裕さん

光産業創成へまず一歩

 浜松ホトニクスの社員で光産業創成大学院大学(浜松市)の卒業生である池田貴裕さん(36)は2006年、光技術関連ベンチャーのパイフォトニクス(同)を起業し代表取締役に就いた。高輝度発光ダイオード(LED)を使った特殊照明器具「ホロライト」が主力。直進性に優れ、数十メートル先でも光がほとんど拡散せずに1点を照らすことができる。高層ビルの建築照明などで注目を集めている。

 池田さんは起業前、浜ホトの最先端研究所である「中央研究所」で研究者をしていた。研究テーマはホログラムという立体的な画像を浮かび上がらせる技術。池田さんは立体的な動画を映し出す「ホログラムゴーグル」などを研究していた。大学院大に進みホログラムでの起業を目指した。

 しかし「ホロライト」では、立体画像を鮮明に浮き上がらせるために開発した光源技術だけを生かした。大学院大である夜、屋外でホロライトを照らしてみると、数百メートル先にある漆黒の山々に1点の光が映し出された。「その光の美しさに事業化の可能性を感じた」という。

 照明分野は池田さんにとって全くの未知の世界だった。機会があれば展示会に出品し、顧客の声を聞く営業活動を続けた。10センチ角程度のホロライトを何十個もつなぎあわせ「光の塔」なども演出してみたところ、思わぬ反響があった。

 建築照明の専門家が「形状が四角で、エッジの利いた光が作れる」と採用。舞台照明などの話も舞い込む。製品の傷の検査やクリーンルームのチリの検査などに有効だとの声もある。起業当初は数百万円程度だった売上高は、12年9月期は4000万円に到達するまで育ってきた。

 浜ホトはノーベル賞受賞の小柴昌俊氏が観測に使ったセンサーを開発するほど、世界的な研究に欠かせない「未知未踏」の製品を生み出してきた。だが、ホロライト拡販に奔走する池田さんは、ホログラム研究に十分な時間を割けそうにない。

 自ら「ローテク製品」と呼ぶホロライトに、池田さんはどんな「未知未踏」を追い求めているのか。この問いに「ホロライトの様々な用途を発見する毎日はまさに『光産業を創成する』という研究の重要な過程だと思っている」と答えた。

 浜ホトの昼馬輝夫会長が大学院大の開学に力を注いだのは、「光産業の創成」という未知未踏を目指すためだった。最先端研究と足元の収益の維持を両立できる起業家がいなくては、光産業は絵に描いた餅になる。

 パイフォトニクスは、現状では浜ホトの支援を受けている格好だが、「1日も早くホロライト事業を独り立ちさせたい」と池田さん。研究室から営業現場に出て、未知未踏を追いかけている。

ひとこと

 経営は難しいが、何事も「運命」だと思って受けとめている

ニュースの最新記事

PAGE TOP