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北海道発、太田精器――LEDと音で鳥獣撃退、装置、農作物や生活守る(輝く)

[ 2015年10月16日 / 日経産業新聞 ]

 金属精密加工の太田精器(北海道奈井江町、太田裕治社長)は新事業として発光ダイオード(LED)を使った機器の開発に力を入れる。中でもLED光と音で野生鳥獣を追い払う装置「モンスタービーム」は2011年の発売後、シカやクマによる農作物の食害対策に各地で導入が広がる。システム開発大手とも提携し、機能や販売体制の強化にも取り組む。

 北海道砂川市の住宅地の外れ。山林に向かい大人の身長ほどの機械が立つ。付近でヒグマが相次ぎ出没したため、市が13年にモンスタービームを設置。鳥獣を感知すると、約200メートル先まで届く点滅光と100デシベルの音で威嚇する。近くに住む80歳代の女性は「最近はクマを全く見かけなくなった。おかげで安心して暮らせる」とほほ笑む。

 モンスタービームは赤、青、黄、白のLED照明とスピーカー、赤外線センサーで構成。4種類の点滅パターンと「銃声」や「オオカミの鳴き声」など4種類の音を無作為に組み合わせるため「何度来ても慣れることはない」(太田社長)。価格は1台20万円ほど。

 同社は地元の炭鉱で機械の整備をしていた父の弘夫氏が閉山を機に独立して1980年に設立、超硬工具製造の北海道住電精密(奈井江町)から研磨作業などを受注し規模を拡大した。だが、2006年に就任した太田社長は下請け業務に依存する体質から脱却しようと最終製品の開発を模索した。

 転機は08年に訪れた。北海道の厳しい冬にも耐えられる屋外用LED照明を開発。第2弾として考案したのがモンスタービームだ。道内は野生鳥獣による被害が深刻。力になれないかと寒冷地対応LEDを基に10年春に試作品を開発。東京農業大と協力し実証実験を進め、完成にこぎつけた。

 農家や鉄道会社などに累計で約100台を販売した14年夏ごろ、日立システムズの地域子会社、北海道日立システムズ(札幌市)から協業を持ちかけられた。新事業を探していた同社はモンスタービームを自社の技術で改良し、販売網を広げようと提案。15年5月に共同で「新鳥獣害対策ソリューション」を発売した。

 「赤字続きだったLED事業が、ようやく軌道に乗ってきた」(太田社長)。農家の牛舎に入ってくるカラスの撃退装置など新製品の構想も温めている。

(札幌支社 和田大蔵)

《会社概要》
▽本  社  北海道奈井江町奈井江609の5
▽事業内容  金属精密加工、LED機器の製造販売
▽従業員数  約40人(パート・アルバイトを含む)
▽売 上 高 2億2000万円(2015年8月期)

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