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3D認識LiDAR価格破壊(下)駅で家で「光の目」活躍、ホームドア、傘も検知、安全守る(日経BP専門誌から)

[ 2017年3月17日 / 日経産業新聞 ]

日経エレクトロニクス
掃除ロボ 複雑な部屋OK

 駅のホームで危険を察知、ロボット掃除機の動きも支援――。周囲に光線を発して反射光から空間を3次元的に認識するセンサー「LiDAR(Light Detection and Ranging)」の応用範囲は広い。その特徴を生かして多くの場面で使われ始めた。

 現在の活用の中心は、建設機械、さらには工場や物流施設のAGV(無人搬送車)などファクトリーオートメーション(FA)分野の移動機、鉄道やトンネルなど社会インフラの屋外監視向けである。さらに実際の社会生活の身近なシーンでも活用が進んでいる。

 例えば、東日本旅客鉄道(JR東日本)は駅のホームに設置する安全柵「ホームドア」のセンサーとして3次元LiDARを開発、活用していることを明らかにしている。

インフラ点検

 車両出発時にホームドアと車両の間に人や荷物の存在を検知するための安全センサーとして使っている。同社は、ホームドアの設置を積極化している。このためそれにつれてLiDARの需要も拡大しそうだ。

 こうした動きを見て関連業界でも開発や販売の動きが広がる。日本信号は、ホームドア向けのLiDAR活用の需要拡大を見込んでいる。同社のLiDARは、傘やつえのような細長い物体でも十分に検知できる解像度を持つ。既に、鉄道分野の安全センサーで大きなシェアを持つという。

 道路やトンネルなどの構造物に亀裂などがないかを効率的に検知する需要も高まっている。こうした動きに対応して三菱電機は、LiDARを使った監視システムを開発した。

 同社のシステムは、自動車で走行しながら、道路や鉄道などの構造物や設備を数ミリの精度で計測し、3次元データを作成する。カメラ画像も活用し、色彩情報を加える。設計時の3次元データや過去の計測結果と比較することで、構造物の経年変化を簡易に把握できるとする。

 これ以外に、まだ顕在化されていない潜在需要が大きいとみる向きも多い。例えば、交通システム向けにLiDARを開発している日本信号のビジョナリービジネスセンターMEMS事業推進部営業企画担当の山本大樹氏は「無人で動くものならば(周囲をセンシングするセンサーとして)採用の可能性がある」とみている。

 無人で動く家電の代表格であるロボット掃除機では、米Neato Roboticsや中国ECOVACS ROBOTICSが、産業用途よりも大幅に構造を簡素にして認識精度を落とした安価なLiDARを載せた製品を販売中だ。ECOVACS ROBOTICSは「LiDARはカメラより視野を広くできる。広く複雑な形をした部屋で使う場合に有利だ。夜間など光がない環境でも利用できる」という。

タッチパネル化

 従来はあまり見られなかった用途として、人の動きを認識してユーザーインターフェースに応用しようとする提案がある。船井電機は、ディスプレーに後付けしてタッチパネル機能を付加するデバイスを開発し、1月に開催された家電見本市「CES 2017」で展示した。

 画面の表面をなぞる指の位置を捉える。駅で観光情報などを公衆向けに見せるデジタルサイネージへ応用することを同社は提案した。指の認識用とは別に、もう1つのLiDARを搭載している。人が画面の前に来たことを認識し、人が近くにいる場合などにだけ映像を流すといった使い方を想定する。

 カメラの利用が圧倒的に多いセキュリティー分野でも、カメラにはない特徴を生かしてLiDARを利用しようという動きが出ている。

 その1社がコニカミノルタだ。事業開発本部の事業推進部第3推進グループのアシスタントマネジャー、米竹淳一郎氏は「監視カメラだけでは、不審者などが不在でも誤検知することがある。LiDARを併用することでその頻度を大幅に減らせた」という。

 これまでのカメラでは、近くを横切った虫や小動物が、大きく見えるために不審者などと認識されることがあった。LiDARを使い距離画像の情報も見るようにすることで、こうした誤認識を減らせるというわけだ。

 ただし、既存のLiDARをそのまま応用すると遠方の人物などを見逃す恐れがあった。走査するレーザービームの間に、遠方ほど大きな隙間ができるためだ。

 そこで照射光にレーザーを使いながらも遠方ほど拡散するような光学機構を盛り込んだ。「現在のセキュリティーシステムの課題である誤報を減らし、警備員の負担を軽くすることで、システムの価値を向上させる」(同氏)という。LiDARの応用範囲はまだ広がっていきそうだ。普及とともに価格も下がる見通しだ。

(日経エレクトロニクス2月号 松元則雄)

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