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デザイナー川上元美さん――地場産品、家具に生かす、人と環境に優しく。

[ 2017年5月17日 / 日経MJ(流通新聞) ]

 昔懐かしい竹とんぼをイメージした有機発光ダイオード(OLED)照明「TAKE−TOMBO」。川上元美さんのデザインと有機ELの産業拠点である山形県の技術の融合を、リビングデザインセンターOZONE(東京・新宿)内のショールーム「Organic LED YAMAGATA」で紹介している。

 直線的でシンプルなフォルムが美しい。薄くて軽いOLEDパネルは回転して角度が変わる。柔らかな色調の面発光の照明はまぶしさを感じさせない。発熱は少なく、水銀など有害物質を含まず紫外線も出ない。自然光に近く、人と環境に優しい次世代の照明に、日本らしさを加えた。

 「昨夏、偶然ここでOLEDを見つけ、自分がデザインした家具に合う絶好の照明ができると確信した」。パネルは30センチ角サイズ限定のため、効率よく長方形を4枚取り、2枚を使用。スケッチを進めると、すんなり竹とんぼになった。

 「若い頃は日本の伝統文化や風土から離れ、西洋文化に憧れ、世の中にないものを求めていた」。イタリアに渡り、プラスチックやプライウッドなどの素材を生かしたユニークな作風が高く評価された。しかし帰国後、オイルショック、東日本大震災など世の中の不穏な出来事を経験するうちに、「エコロジカル」「サスティナブル」など人と環境を重んじるように価値観が変わってきた。

 現在参画する「とまり木プロジェクト」が最たるものだ。東京デザインセンター(東京・品川)と草苅木工(茨城県つくば市)、日本デザインコンサルタント協会が林産業、家具産業、デザイン業の3者連携で、木材の新しい使い方や地産地消の木製品作りを始めた。

 30年にわたり日本各地の家具産業に携わってきた。「今やらなければ、という思いに駆られた」。安価な輸入材に押された地場産材にデザイン力で付加価値をつけ、地産地消の新しいビジネスづくりを目指す。

(ホームファッションコーディネーター 堀和子)

 かわかみ・もとみ 1940年兵庫県生まれ。66年東京芸術大学大学院修士修了後、伊ミラノのアンジェロ・マンジャロッティ建築事務所に。71年川上デザインルーム設立。クラフト、プロダクト、空間、環境デザインを手掛け、毎日デザイン賞など受賞多数。東京芸大などの客員教授を歴任。日本デザイン振興会会長。

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