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有機EL――テレビ・照明、次の本命に(投資テーマを斬る)

[ 2017年5月14日 / 日経ヴェリタス ]

 株式市場ではスマホ分野で注目されがちな有機ELだが、それだけではない。薄型テレビや照明などで用途は広がりをみせつつある。

 「長い技術の蓄積があったからこそ投入できた」。ソニー(6758)が8日、東京都内で開いた薄型テレビ「ブラビア」の新商品発表会。高木一郎執行役EVPが深い感慨をもって紹介したのは、主力の4K液晶テレビではなく、7年ぶりの再参入となる有機ELテレビだった。今年に入って中国や欧米で先行投入し、6月10日に満を持して日本市場で65型(想定価格は税抜き80万円前後)、55型(同50万円前後)を発売する。

 ソニーは2007年に世界に先駆けて有機ELテレビを発売した。しかし当時は市場に受け入れられず、10年には国内販売を終え、業務用などに注力してきた。今回はLGから調達する有機ELパネルに、自社の画像プロセッサーや画面から音を出す独自技術を加え、グローバルで戦える商品に仕上げた。調査会社のIHS Markitによると、2016年の薄型テレビにおけるソニーの世界シェア(金額ベース)は約9%で、サムスン電子、LG電子に次ぐ3位だ。有機ELテレビという新たな武器を携え、まずはシェア10%に向け、2強への楔(くさび)を打ち込もうと構える。

 有機ELテレビの成否は、今後のソニーのエレクトロニクス事業の命運を握るといっても過言ではない。4Kテレビなどを手がける「ホームエンタテインメント&サウンド部門」の18年3月期の営業利益は前期比ほぼ横ばいの580億円を見込む。薄型テレビの販売台数も前期並みの1200万台の計画だ。いたずらに台数を追わず、付加価値の高い製品で着実に利益を増やすには、液晶と有機ELの両輪でうまく稼ぐ必要がある。

 有機ELテレビは、まだテレビ市場全体の1%程度にすぎず、LG電子がその大半を握る。しかし液晶と比べて「残像感がないので映画やスポーツの視聴に適している」(ソニーの高木氏)とされ、今後はテレビ市場のけん引役になる可能性がある。ソニーだけでなく、パナソニック(6752)や東芝(6502)も今年に入って大画面の有機ELテレビを投入。日本勢も含め、競争は厳しさを増しそうだ。

 スマホやテレビに隠れて目立たないが、もう一つ、有機EL製品の次の本命として注目を集めているのは自動車の照明だ。韓国の調査会社、UBIリサーチによると、直近で100億円超の照明向け有機ELパネルの市場規模は25年に7000億円弱に拡大し、うち半分程度を車向けが占めるようになるとみている。独BMWが一部車種のブレーキランプに有機EL照明を採用したほか、独アウディも小型スポーツカー「TT」の一部モデルで導入を決めた。有機EL照明は部品の軽量化などにつながるとみられ、自動車メーカーの有機ELシフトがにわかに進んでいる。

 コニカミノルタ(4902)とパイオニア(6773)の有機EL照明事業の統合の背景にも、こうした流れがあるとみられる。車のブレーキランプなどで有機EL照明の需要が拡大していくとにらみ、両社は折半出資で会社を設立することを決めた。両社の強みを生かし、合計で数十億円規模とみられる有機EL照明の売上高を中長期で250億円に引き上げる考えだ。

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