日経メッセ > LED NEXT STAGE > ニュース > 大日工業――自動点灯・消灯する手すり、木と照明、得意分野で融合(わが社の一押し)

日経の紙面から

大日工業――自動点灯・消灯する手すり、木と照明、得意分野で融合(わが社の一押し)

[ 2019年1月18日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 夜中に目が覚め、トイレに向かうと自動で光る――。電子基板製造の大日工業(静岡市)はそんな手すり「ははのて」を開発した。インテリアに配慮し、素材には木を使用。自動消灯のため消し忘れがなく、バッテリー併用で停電時にも使える。一般家庭や病院、ホテルなど多方面に売り込んでいる。

 手すりの直径は35〜40ミリメートル。原木を切り出した無垢(むく)材や、薄板を重ねた積層材をくりぬいて発光ダイオード(LED)照明を埋め込み、樹脂製カバーで蓋をした。床から80センチメートルの高さに設置する想定で、直下の照度は20〜40ルクスを確保できるようにした。商品名は社内で公募。「母の手のようなぬくもりを感じてほしい」との思いを込めた。

 川瀬昌之社長の義母が認知症になったのが開発のきっかけ。夜間に明かりをつけずに歩いて転倒したり、逆に照明を消し忘れたりすることが相次いだ。「勝手について消える手すりがあれば安全になるのでは」と商品化を決めた。

 照明を制御する電子基板は本業だけにお手の物。手すりは当初、樹脂で試作したが、温かみも必要と感じ、タモ材に変更した。さらに間伐材を活用しようと、静岡県産のスギやヒノキを採用することにした。

 木材は日本のインテリアに合わせやすいメリットがある半面、加工面での課題もある。天然素材のため材質にばらつきがあるうえ、スギやヒノキは手すりには軟らかすぎた。そこで建築分野に強いデザイナーに依頼。強度とデザインを両立した形状を導き出し、耐荷重約120キログラムという目標を達成した。

 商品は建物の構造に応じたオーダーメードで、一般家庭の階段の場合は十数万円(工事費を除く)から設置できるという。オプションでバッテリーや内蔵スピーカーなども取り付けられる。当面は福祉や防災の分野で重点的に売り込んでいく方針だ。

(福島悠太)

自社初の商品化
行政支援も活用

 大日工業は主に三菱電機に業務用エアコンの電子基板を納めている。OEM(相手先ブランドによる生産)などではなく、自社で開発から販売までする商品は「ははのて」が初。2013年8月に商標登録し、18年8月には特許を取得した。

 ははのての発売を機に、行政の支援策も活用した。15年2月に静岡県の経営革新計画で承認されたほか、18年5月には国の地域経済牽引事業計画でも認められた。19年1月には静岡市から中小企業技術表彰を受けた。

 今後は無線通信の導入などを通じ、「(あらゆるモノがネットにつながる)IoTへの対応を目指す」(担当者の清治博幸氏)という。

ニュースの最新記事

PAGE TOP