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松江観光、夜の魅力発信、ライトアップや伝統芸能体験、訪日客、宿泊促す。

[ 2019年1月18日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 松江市は観光客の消費拡大を目指し、夜の魅力を高める事業に乗り出す。松江城天守周辺をライトアップして周遊を促すほか、神楽などの伝統芸能を気軽に体験できる仕組みをつくる。松江ゆかりの文豪、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の作品やエピソードなども活用し、後れをとっているインバウンド(訪日外国人)誘致にもつなげる。

 事業は国の地方創生推進交付金を活用し、2020年度まで実施する予定。18年度は11月補正予算で計上された2600万円を使って取り組む。15年の松江城国宝化による観光客の伸びがここにきて頭打ちになっており、新たな手法を取り入れる。

 市はすでに松江城天守などのライトアップを実施しているが、今後は城山公園内の他の場所への照明設置を進め、夜間も歩きやすくする。18年度は二の丸上の段などに発光ダイオード(LED)照明を取り付ける。19年度には松江神社周辺にも設ける予定。LED照明設置数は合計約250基を計画している。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている「佐陀神能(さだしんのう)」をはじめとする市内各地の神楽も、歴史好きや外国人向けに観光資源として活用する。夜間の定期公演化や、中心部にある宿泊施設から神楽会場までの交通手段の確保策などを検討中で、19年度の実施を目指す。

 小泉八雲関連では昨年7〜8月に松江観光協会が始めた「松江ゴーストツアー」の海外発信を強化する。八雲作品の「怪談」の舞台となった寺院などを、夜間に懐中電灯の明かりをたよりに巡る企画で、八雲のひ孫の小泉凡氏が監修した。今年は外国人をターゲットに、英語の原文を使って訪問地を解説するなどの工夫を取り入れる。

 市は今年度内をめどに八雲と妻のセツが住んだ国史跡・小泉八雲旧居を市内の所有者から購入する。隣接地にあり、すでに市が所有している小泉八雲記念館との一体的なPRがしやすくなるため、「八雲と松江との関わりを、これまで以上に発信できる条件が整った」(観光振興部)。

 一連の施策は市内での宿泊増加を後押しする目的もある。市によると、17年に市を訪れた観光客998万人のうち、宿泊客は209万人にすぎなかった。県外からの観光客1人あたりの観光消費額は宿泊なら3万2268円だが、日帰りの場合は約2割の7292円にとどまっている。

 こうした状況を受け、市は市内宿泊者を21年に250万人に増やす目標を掲げる。そのカギを握るのが、外国人観光客の受け入れ拡大だ。外国人宿泊者数は17年に約5万5000人だったが、21年には10万人に増やすことを目指す。

 昨年は松江に独自の茶文化を広めた松江藩主、松平治郷(不昧=ふまい)没後200年を記念した通年イベント「不昧公200年祭」があり、多くの観光客でにぎわった。城下町ならではの風情と文化を夜にも楽しめると国内外に広く発信できれば、にぎわいの持続に一役買いそうだ。

(松江支局長 西村正巳)

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