日経メッセ > LED NEXT STAGE > ニュース > 子どもの視力守る明かり、バルミューダ、影が出来にくいデスクライト。

日経の紙面から

子どもの視力守る明かり、バルミューダ、影が出来にくいデスクライト。

[ 2019年1月11日 / 日経産業新聞 ]

 「体験」を届けるデザイン家電メーカーのバルミューダ(東京都武蔵野市)が、「空調」「調理」に続く第3のカテゴリーとして、「照明」に参入した。同社は2018年9月6日に子供向けデスクライト「BALMUDA The Light(バルミューダ・ザ・ライト)」を発表。10月に発売した。

 BALMUDA The Lightは、独自の光拡散技術と太陽光発光ダイオード(LED)の2つのテクノロジーを用いて開発された子供向けデスクライト。なぜ、照明カテゴリー最初の商品として子供向けデスクライトを開発したのか。

 その理由は自身の子育てにあるとバルミューダの寺尾玄社長は言う。「前かがみになってものを書く子供に対して、何度注意しても元の体勢に戻ってしまう」(寺尾氏)ことが、視力の低下につながっているのではないかと仮説を立てた。

 しかし、子供の姿勢だけが視力の低下につながっているのではなかった。もう1つの要因として目を付けたのが照明だ。従来のデスクライトは光を下方向に照射するため、子供のように前傾姿勢になると光が直接目に入る構造だったからだ。

 また、子供の頭が影になり手元が暗くなってしまうことも、視力の低下に拍車をかけていると考えられた。17年の文部科学省の発表では、小学生の裸眼視力が1.0未満の割合が過去最高の32.5%に達したという社会的な課題も明らかになっている。

 これらの課題を解決する照明の開発が始まった。新しい照明の構造を考える上で、行き着いたのが医療現場で使う「無影灯」だった。無影灯は光を直接照射するのではなく、反射板で乱反射させることで手術時に手元に影ができにくい構造になっている。医療用照明メーカーの山田医療照明(東京・千代田)に協力を求め、開発したのがライトのヘッド部分を水平にしても、光を斜めに照射できる技術「フォワードビームテクノロジー」だ。

 フォワードビームテクノロジーは光を上方向に照射し、鏡で反射することで斜めに照射する。利き手と逆方向から手元に反射することで、影のできにくい光を作り出す仕組みとなっている。さらに、自然な光に近い光を実現するために、紫色ベースの太陽光LEDを採用した。これにより目に有害とされるブルーライトのピーク波長を、一般的な白色LEDの約半分に抑えたという。目には優しく、かつ照射する対象物の色の再現度が高い光を実現した。

 開発する上では「子供向け」デザインにもかなり苦労したそうだ。BALMUDA The Lightはあえてデザインの完成度を"90%"にとどめている。残りの10%をデザインするのは子供たちだ。

 商品にはイラストや数字を組み合わせて貼れるステッカーが付属する。また、本体の鉢形の部分にはさまざまな文房具を入れられる作りになっている。好きな文房具を入れたり、ステッカーを貼ったりして、子供がカスタマイズすることで最後の10%を埋め、デザインが完成するというわけだ。子供たちの個性と創造力を育てたいという寺尾氏の願いが込められている。

 少子高齢化が進む中での「子供向け」製品。狭いターゲットに絞り、なおかつ3万7000円(税別)という強気の価格設定に踏み切れるのは、バルミューダならではのテクノロジーとデザインを駆使して「体験」を届けるモノ作りを目指しているからだ。

 同社の製品は多くの人から受け入れられ、最初の製品である扇風機を発売した10年の売上高2億5000万円から順調に伸ばし、17年には89億円に到達した。18年度は100億円を超える見通しだ。

 BALMUDA The Lightは、あくまでも「子供向けデスクライトとして開発したものだ」と寺尾氏は強調するが、同製品の持つ色の再現度が高いという特徴は、より自然な色合いの写真を撮りたいカメラマンやインスタグラマーなどの需要もありそうだ。

 実際、「大人向けも発売してほしいという声は大きい」(寺尾氏)。今後はそういったニーズに応えるため、大人の利用に適したモデルの開発も検討する。

 子供向けデスクライトを開発する過程で、「テクノロジーを用いることで、他の照明器具にも代わる製品を開発できる手応えを得た」ことから寺尾氏は照明カテゴリーへの本格参入を決めた。

 19年には新たに2つの照明製品を発売し、収益を生む3つ目の柱に育てたい考えだ。

ニュースの最新記事

PAGE TOP