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調度はフランス、装い小粋――パリ見本市に吹く「自然派」の風。

[ 2019年4月3日 / 日経MJ(流通新聞) ]

動物や自然との「出会い」を表現
素材を生かして遊び心もプラス

 空間デザインとライフスタイルを提案する世界最大級のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ・パリ」の1月展が仏パリで開かれた。焦点を当てたのはユーモアと芸術性をたたえたフレンチデザイン。特にインテリアアクセサリーには次世代のデザイナーのメッセージがこめられていた。

 メゾン・エ・オブジェには年2回、生活空間を満たす最先端のアイテムが集まる。1月展には2910ブランドが出展し、160カ国から8万4236人が訪れた。

 今回のテーマは「エクスキューズ・マイ・フレンチ!」。「フランスのデザインばかりを紹介してごめんなさい!」との意味を込めた。ほほ笑ましさと美しさが同居したデザインや、端正な手仕事を生かしたインテリアの小物を数多く披露。テロやデモでフランスを訪れる人が鈍るなか、仏デザインコンサルティング会社のネリーロディでライフスタイル・ディレクターを務めるヴァンサン・グレゴワールさんは「ポジティブな作風のフレンチデザインの魅力を改めて訴えたい」と話す。

 注目したいのが2つのブランド。1つは「人と動物の偶然の出会いを表現し、自然が常に人類を支配していることを全ての人に再認識してほしい」と、1996年に仏郊外の森林地域で立ち上げた「ibride(イブリッド)」だ。融合を意味し、現実と夢幻を溶け合わせる。

 動物や自然に感化されたデザインは、デザイナーのベノワ・コンベールさんと妻でアーティストのラシェル・コンベールさんが手掛ける。壁に取り付けたアクロバットな棚「オラス」は、山に住む野生のシャモアの身軽さに敬意を表し、壮大な姿を表現した。

 アルパカの子どもの柔らかな長い毛並みをイメージした棚「ベイビー・アルパカ」は、レーヨンを用いて触感の良さをユーモラスに表現した。ワシやカササギなどの鳥や動物を擬人化したトレイも人気がある。

 「世界50カ国の顧客はリピーターが多い。3割が欧州で、ユーモアを解するイタリアが一番の輸出先だ」とベノワさん。ミュージアムショップと販売交渉も進めている。

 もう1つは仏リーン・ロゼ。洗練した「フレンチライフスタイル」を1860年の創業時から提唱する。次世代のデザイナーを数多く起用し、新人の登竜門とも称される。社長のミシェル・ロゼさんは「主力のソファを取り巻く、照明やテーブル、スツール、花器などはコーディネートのために年々重要になっている。ソファに劣らず完成度を高めている」と指摘。欧州の同業や職人と協業し、数多くのデザイナーの品を展示した。

 マリー・クリスティーン・ドルネルさんの作品は3点を発表。「インテリアアクセサリーは、洋服を引き立てるジュエリーやバッグと同様に、住環境をより豊かにする」と、木材やガラス、金属など素材を生かした。「AZABU(アザブ)」はワイヤとオパールガラス製の球体で構成し、テーブルにも照明にもなる。東京の西麻布のそば店で見つけた竹製のすだれからヒントを得た。

 東欧のガラス職人との出会いで実現した花びん「T」は、型の中で吹いて制作。無加工にみえるフロストガラスは高度な技術で擦り削った。重ねられる無垢(むく)材のスツール「キャッツ」は、丸い座面の下に続く脚が猫の足に見え名付けた。猫のひっかき傷のようなユニークな座面の模様はデジタル装置で描いた。

 仏幼なじみの3人組、ニュメロ111(サンオンズ)が手掛けたのはおしゃれなミラーの「アルソー」。異なる寸法のミラー2つをラッカー仕上げの木製フレームに組み込んだ。本立てにも活用できる一風変わった鏡となった。

 手作業が際立つ端正なテーブル照明「ソスピール」を発表したのはミラノ在住の若手トリオ、ブセッティ・ガルティ・レダエッリ。「最小サイズの発光ダイオード(LED)を生かし、2本の金属で上下2枚の薄い大理石の板をつないでミニマルなデザインを目指した」。いずれの商品も今夏、日本で発売予定だ。

 自然との共生をファンタジックに表現するイブリッドと、リーン・ロゼの素材を生かした手作業のインテリアアクセサリーは「今のデザイントレンドを象徴する」と、グレゴワールさんは分析する。大物家具に比べてインテリアアクセサリーは衝動買いもしやすい。作り手のメッセージを詰め、完成度の高いフレンチデザインに昇華しているようだ。

(ホームファッションコーディネーター 堀和子)

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