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装い自然派、灯火のアート、ミラノ見本市、LEDで表現広がる。

[ 2019年5月15日 / 日経MJ(流通新聞) ]

羽を休める「蝶」 天井に影絵踊る
周囲との融和を織りなす光と影

 国際照明見本市「エウロルーチェ2019」が4月、イタリアのミラノで開かれた。照明機器の光源で発光ダイオード(LED)が主流となり、小型化、加工のしやすさから多様なデザイン表現が可能となった。もはやアート作品と言えるような製品も出てきている。

 隔年開催で30回目の節目を迎えたエウロルーチェ。出展数は421社と前回に比べて64社減ったが、革新的なデザインの製品や新素材を用いた機器などが一堂に会した。

 なかでも異彩を放っていたのが「光の魔術師」の異名を持つドイツの巨匠、インゴ・マウラーさんの新作「ラ・フェスタ・デッレ・ファルファッレ=蝶(ちょう)の饗宴(きょうえん)」だ。照明をつるすコードを植物の幹に見立て、派生した枝に紙製の蝶が羽を休める。受け皿に仕込んだLEDにより、まるで洋梨が発光しているように見える。皿に止まる緑のトンボや天井に映し出された影絵は詩情的だ。

 ユニークなのは34匹の蝶を使用する側で好きな位置に留められる点だ。LEDが普及する前から活用を提唱してきたマウラーさんは「使い手に最後のデザインを委ねたい」と話す。日本では2020年3月下旬に発売予定となっている。

 世界的に有名なデンマークの照明ブランド、ルイスポールセンは大規模なペンダント照明を得意とするデンマーク出身の芸術家、オラファー・エリアソンさんと組み「OE Quasi」を発表した。リサイクルのアルミダイカストで形成した外層の正20面体とポリカーボネート製の内層の12面体で構成している。

 正20面体の12カ所の頂点にLEDが埋め込まれており、内層の12面を照らす仕組みとなっている。照明機器というより自然界に存在する結晶のようなアート作品。エリアソンさんが語る「良い光=良い人生」を実証している。日本では今秋に発売される。

 「どうやって作るのかしら?」と来場者がのぞき込む。イスラエル出身のデザイナー、オマー・アーベルさんがカナダ・バンクーバーで05年に設立した照明メーカー、ボッチ社の新作「38V」。吹きガラスを吹いた後に小さなガラスの塊をあて、吹き口から吸いこんでくぼませるという独特の技法を用いた。小さなくぼみにはエアプランツなど植物を入れ優しい雰囲気が漂うペンダント照明だ。発売は6月下旬の予定。

 自然の中、伸びやかに立ち尽くすスタンド照明「ハブネット」はイタリア出身の女性建築家、ソニア・カルツォーニさんの話題作だ。伊アルテミデ社が発表した。

 高さ180センチメートルのスタンド照明はアルミダイカストを用い塗装仕上げを施した。頭部から放つ光は垂直に広がり、さまざまな光と影を作る。「自然光との相互作用も伴い周囲環境との融和を可能にしたフェンスのような作品で自然との共存を目指した」とアルテミデ・ジャパン(東京・渋谷)の代表、松石聡さんは語る。日本での発売は今秋。価格は30万円(税別)の予定だ。

 今なお現役のファッション界の「帝王」イタリアのジョルジオ・アルマーニさんの家具ブランド「アルマーニ・カーザ」。りんとした東洋的なエッセンスが特徴だ。空間を柔らかく包み込む照明を目指している。

 アルマーニさんは「メード・イン・イタリー」に固執し職人技にこだわる。丁寧な手作業で薄く切り出したアラバスターと呼ばれる大理石に似た石を使ったテーブル照明「オイスター」を発表した。透過効果のある天然石の柔らかい色調と真ちゅうで額装したシンプルな形状、テーブルに映り込む優美な光が話題を呼んだ。価格は52万7千円(税別)。

 照明ブランドの最高峰、伊フロスが日本人デザイナーでただ一人起用する佐藤オオキさん。彼が率いるデザイン事務所「ネンド」の新作は屋外用照明「ヘコ」という不思議な商品名だ。へこんだ細いフレームに挟まったガラスの球体から名付けた。商品名には毎回「サワル」「ハエル」といった日本語的な特徴がある。「日本人デザイナーはネンドだけなので日本らしさを強調した」(日本フロスの広報井出美保さん)

 一般家庭でもLED照明が普及し、エウロルーチェでもLED光源の可能性は限りなく提案されている。今回は照明メーカーやデザイナーが自然界から様々な着想を得ていた。最新技術を駆使しつつ、自然や人に寄り添うデザインが求められる時代となった。(ホームファッションコーディネーター 堀和子)

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