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特注照明、デザインを武器に、ワイ・エス・エム、海外で輝き。

[ 2019年9月27日 / 日経産業新聞 ]

 ワイ・エス・エム(埼玉県八潮市)は板金や照明技術を生かした特注商品を製造する。特に光を均一に面発光させる発光ダイオード(LED)導光板を使う照明を得意とし、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」などにも採用された。最近は自社ブランドの照明が国際的なデザイン賞を相次いで受賞、海外からも注目されている。

 同社は建築金物を中心に製造していたが「ほんの数年前まではどん底の経営状況だった」(八島哲也社長)。2008年のリーマン・ショック、10年に先代社長が急死、11年の東日本大震災も追い打ちをかけた。赤字転落した会社を引き継いだ八島社長は当時29歳。「逃げようかとも考えたが『やれることをやってみようよ』との社員らの言葉で存続を決めた」

 従業員わずか5人の町工場は、特注照明やLED導光板の事業に力点を移して再スタートした。百貨店やアパレル店の商品展示用のバックライトなども製造し徐々に業績を上げた。14年6月期には八島社長が会社を継いで初めて黒字化した。

 デザイナーらとの出会いも転機となった。自治体主催のイベントで知り合ったプロダクトデザイナーの福嶋賢二氏と3年以上かけて、フラフープのような間接照明「HOOP(フープ)」を商品化。これを機にBtoC(消費者向け)の商品開発を始めた。

 海外の展示会に出展し、欧州の家具メーカーなどからも注文を受けるようになった。デザインとの出会いが商品の寸法や単価、納期だけでなく「使ってほしい場面、会社が提供できる価値を改めて考えるきっかけになった」と八島社長は話す。

 18年にデザインユニット「akii」と照明器具「NIGHT BOOK(ナイトブック)」を開発。カバーから照明部分を引き出すと点灯したり明るさを調整したりできる。中国の国際デザイン賞「DIA」のTOP100に選ばれ、デザイン界のアカデミー賞とされるドイツの「iFデザイン賞」も受賞した。

 今後は欧州に販路を開拓する。フランス語のウェブサイトやカタログを作成中だ。20年1月の仏の展示会出展に向け、埼玉県の職人と和紙の照明づくりにも取り組む。

 BtoB(法人向け)の町工場から直接消費者に訴求できる自社ブランドを持つ企業への変革は社員のモチベーション向上にもつながっている。ものづくりとデザイン力で「小さな町工場でも世界中に感動や喜びを与えられる」と八島社長は意気込む。(藤田このり)

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