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アイリス「次世代放射光」出資、家電や食品開発に活用。

[ 2019年10月4日 / 日経産業新聞 ]

 【仙台】アイリスオーヤマ(仙台市)が仙台市内で2023年にも稼働する次世代放射光施設を活用するため、施設の運営法人に5千万円を出資する。同社は主力の家電や発光ダイオード(LED)照明、グループで展開するパックご飯などの食品事業で活用する方針だ。地元有力企業の出資で東北での同施設の活用の裾野が広がりそうだ。

 次世代放射光施設は物質の構造を原子レベルで分析できる巨大な顕微鏡のような研究施設で、部品メーカーや創薬、ナノカーボン素材などあらゆる分野での活用が見込まれている。東北経済連合会は稼働後10年間の経済効果を約1兆9千億円と試算している。

 アイリスは次世代放射光施設を通して、家電製品やLED照明などに使う素材の劣化特性を調べ、研究開発につなげる。グループで展開しているパックご飯などの食品事業では、成分などの分析を通して、炊き方によっておいしさがどう変わるかを見える化するとともに、新商品開発のスピードアップも目指す。

 次世代放射光施設の建設や運営を担う一般財団法人光科学イノベーションセンター(仙台市)は施設を利用するために一口5千万円の出資を企業から募っている。同センターによると、現在までに約70社が出資しているという。

 アイリスは年間最大で200時間、次世代放射光施設を利用できる見通し。今後、光科学イノベーションセンターとの情報共有を通して、大学教授など放射光の専門家を仲介してもらう予定だ。

 次世代放射光施設の活用を巡っては、東北の企業の参加が少ないことが課題となっている。アイリスが出資を表明することで同施設を地元企業が活用するはずみとなることが期待される。

 アイリスは仙台市が19年度から始める兵庫県佐用町の大型放射光施設「SPring−8」(スプリング8)を通して各企業における放射光の可能性を探る支援事業にも参加する方針だ。スプリング8を試験的に使い、次世代放射光施設利用に向けた課題を洗い出す。

 次世代放射光施設の活用だけでなく、施設を使う企業や研究機関と交流を持つことで、新商品や技術開発などのイノベーションにつなげる狙いもある。

 同社は22年のグループ売上高を18年に比べ倍となる1兆円に増やす目標を掲げており、先端研究拠点を通して、さらなる成長を目指す。

(田村匠)

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