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東芝、LED電球値下げ、シャープ「4000円」に対抗、家庭普及の起爆剤に?

[ 2009年6月24日 / 日経産業新聞 ]

 東芝ライテックは22日、白熱電球ソケットにそのまま付けられる発光ダイオード(LED)電球の新製品を発表した。真下の明るさが40ワットの白熱電球に相当するタイプの希望小売価格は5250円。3月に発売した既存品の半額という野心的な価格設定に踏み切る。部材共通化や設計の工夫による成果だが"価格破壊"を掲げて照明事業に参入するシャープの動きを無視できなかった。

 「えっ4000円!?」。シャープが11日発表したLED電球の想定価格に照明業界で動揺が走った。店頭に並んでいた東芝ライテック製のLED電球は実売価格が8800円。シャープの新製品は6割近くも安い。

 「ここまでしかできない、という究極の価格設定に挑戦した」とシャープの高橋興三執行役員。家電では確固たる地位を築いたシャープだが、新規参入する照明はブランドの認知度がないに等しい。「照明ゼロ歳」(高橋執行役員)を肝に銘じ、得意の量販店ルートで価格訴求し、先行するライバルに勝負を挑む。

 「実物を見ないとコメントできない」。東芝ライテックの恒川真一社長は平静を装うが、社内は対抗策に追われた。シャープ発表の翌週には既存製品の受注を打ち切り、在庫を処分価格に引き下げた。秋までの想定だった新製品の投入時期も前倒し、発売日はシャープと同じ7月15日にぶつける。

 東芝ライテックの5250円は希望小売価格なのに対し、シャープの4000円はオープン価格の店頭想定。東芝製の実売価格もシャープとほぼ並ぶ公算が大きい。

 東芝ライテックが対抗意識をむき出しにするのは、LEDという新光源に対する期待感の表れでもある。国内が9割以上と「内弁慶」の照明事業を一気に世界展開する好機とみているからだ。

 昨年4月、東芝本体は「新照明システム事業統括部」を設置。2020年に1兆円という売上高目標を打ち出した。これは現在の国内市場を上回る規模。半導体部門で照明用LEDの開発を進め、ライテック本社がある横須賀事業所(神奈川県横須賀市)には基幹部品のパイロットラインを設置。3年間に100億円を投じて内製化を進めるなど、世界進出に向け手を打ってきた。

 技術革新の波はパナソニックや三菱電機など5社で寡占してきた国内市場の構図も変える。シャープのような新規参入の登場を、恒川社長は「脅威でないと言えばうそになる」と漏らす。迅速な値下げによる対抗策は危機感を映している。

 40ワット相当に加え、60ワット相当のLED電球(希望小売価格5460円)の発売も表明。どれだけもとの色に近く見えるかを示す「演色性」は高いもので80と電球形蛍光灯レベルに近づけた。「照明の老舗である当社の方が性能は上」(東芝関係者)と技術蓄積でシャープとの違いを強調する。当初は12万個だった09年度の販売目標も、4倍強の50万個に引き上げた。

 電球の需要期は年末の大掃除を控え交換需要が発生する秋口から冬場とされる。「低価格戦争」は高価格がボトルネックだったLED照明の家庭普及の起爆剤となるのか。消費者の反応次第では今後本格参入するパナソニックや三菱電機の販売戦略にも影響を及ぼしそうだ。(佐藤浩実)

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