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連載コラム

第3回 「広州国際照明展2014 レポート」

[ 2014年7月25日 ]

 「第19回 広州国際照明展(19th Guangzhou International Lighting Exhibition)主催:メサゴ・メッセフランクフルト」が2014年6月9~12日、中国進出口商品交易会会館(China Import and Export Fair Complex:中国広東省広州市)で開催された。2つの地下鉄駅をまたぐ敷地面積225,000m(2013年:210,000sqm・昨年度比7%増)の会場で、広州国際照明展のほか広州国際建築電気技術展覧会が同時開催され、ライティング関連、ビルディング関連に合わせ、ワイヤー&ケーブル関連企業が集まった。総出展社数は25カ国から2,621社(昨年2,588社)が出展し、132カ国から129,885名(昨年116,983名)が参加した。昨年は中国の端午節期間中の開催であったが、前年比を超える来場者数を集めたが、今年はさらに13,000人近く増加し、この展示会への関心の高さが伺える。

 今年は香港、韓国、台湾、米国に合わせ日本のパビリオンが設置されるなど活発な動きと、大手企業の小間数の縮小や日亜化学、独OSRAM社、米GE社、中KINGSUN社(勤上光電)などの姿がなくなるなどの変化があった。 反面、中OPPLE社(欧普照明)や中ROSY社(朗士照明)などの中国企業の存在感は増していた。
 展示品については3月から4月にかけてドイツ フランクフルトで開催された「Light + Building 2014」で展示された最新のデザインを採用した製品が多く見受けられた。それに加え、昨年から積極的に展開されてきたインテリジェント照明やLEDテクノロジー統合がさらに進んだ展示も多く見受けられた。チップやパッケージメーカーは極小化パッケージや波長制御されたパッケージなどの展開で多くの人の関心を得るなど、今回の同展示会でも極小化パッケージや波長制御された製品群やインテリジェント照明をいかに使いこなすかという点にも注目が集まったようだ。これは、多くの企業が参入した結果、製品面(ハード)だけでの差別化が出来なくなってきており、各社特徴のあるものの訴求しなくてはならなくなったためとも考えられる。

 今回の展示会では「Light +(ライトプラス)」を掲げ、4つのテーマが設けられた。「Light+Design」「Light+Network」「Light+Market」「Light+Technology」テーマに沿った展示やセミナーが多く開催された。

写真:第19回 広州国際照明展の様子。
こちらはB会場で、さらにA会場があり、2つの駅にまたがる巨大なスペースだ。
(撮影:Granage LLP)

めまぐるしいほどの技術進歩

 LED照明業界の技術進歩のスピードは速く、続々と新しい開発製品の展示や高効率化などが進む。今年も3日半という時間では会場の全てを確認することは難しかった。
 その中でも特徴的な企業や技術についてまとめた。

 中国市場でのLED照明の発展は海外企業からのOEMや輸出事業などの海外需要に向け製品に支えられてきた。しかし、今後は中国国内での市場拡大にも期待されている。その要因の一つとして2014年10月から60W以上の製品の輸入および販売禁止となるため、LED電球の需要も高まると予想される。輸出中心で産業拡大をはじめ、これからは政府政策以外の市場における国内消費の拡大が期待される。
 それを示すかのように、昨年夏あたりから中国国内のホームセンターやスーパーではLED照明の入手ができるようになった。また、街中の商業施設などでは当たり前のようにLED照明器具が設置されており、裾野の広がりを容易に感じることができるようになった。インターネット経由での販売も拡大しており、セミナーなどではインターネット経由での販売動向を分析する発表が増えてきた。この分野は今後ますます事業拡大が期待されている。

 このように中国でのLED照明のブームで明暗を分けるように業績を挙げる中国企業とそうでない企業が見えてきた。また、今回の展示会では市場拡大を続ける中国市場でも日本企業として事業拡大する企業にも注目した。

【出展社動向】出展を取りやめる企業の一方、事業拡大し小間数を増やす企業あり

 昨年に引き続き出展を続ける、パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)、シチズン社などは小間数の拡大を行うなど事業のほうも昨年に続き好調のようだ。AIS社は中国市場に合わせたコストを抑えた製品展開、シチズンは信頼性の高い高効率パッケージで販売を伸ばしているようだ。

 照明器具、ランプ事業部門では、昨年よりパナソニック、東芝と日本を代表する企業の出展もなく、日本企業として今年からは日亜化学からの出展がなくなった。中国では既にある一定の顧客があるため、費用対効果を考えて出展をやめたという答えだった。日本企業からの出展が減る一方でパナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社) 電子材料事業部らは出展小間数を年々増やす企業の一社だ。2010年に初めて出展した際には3小間だけだった。今年、その小間数は9小間まで拡大している。彼らは照明メーカーに向けて、放熱部材の販売を行う。市場が飽和状態に向うように感じる中国市場だが、それでも活気は衰えず、毎年新しい技術に挑む中国企業は製品開発に力を入れており、それをサポートする部材への要求は高い。

写真:今年9小間までブースを拡大した
パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIC) 電子材料事業部。
中国ではブランドとしてPanasonicより松下(ソンシャ)のほうが知名度は高い。
ブースでは照明製品は置いてないか?との問いかけも多く見かけられた。
(撮影:Granage LLP)

 同社ではそれまで放熱対策向け材料の出品だったが、今年はさらに熱固型塑料でLED照明の光反射板に使うポリプロピレン(PP)「FULL BRIGHT(フルブライト) PP」を出品した。現在、同用途で広く使われているPET(ポリエチレン・テレフタレート)系樹脂に比べて高い光反射率を長期間維持できる。熱硬化性樹脂で光反射率が落ちない上、変色も防ぎ、LED照明の高輝度化や長期使用に貢献できるという。なによりも安価で提供できるようことも注目すべきところである。同製品は耐久性(耐UV、高温高湿、耐薬品性)に優れており、高温、UV環境下でも高い光反射率を長期間維持し、屋外の看板や店舗照明、植物工場など、過酷な環境下に設置されるLED照明への適用を視野に入れている。

写真:FULL BRIGHT(フルブライト) PPの説明(撮影:Granage LLP)

写真:同材料を採用した企業の製品が並ぶ(撮影:Granage LLP)

 同社によるとまずは台湾、日本、韓国の一部のメーカーに製品サンプルを既に提供しており、今回、満を持して中国市場で披露をした。これまでにサンプルベースで数社に提供、評価が終わり、その実績を持って2014年7月~8月あたりに本格的量産に入る。(写真はすでに評価した企業の製品)
 同製品のターゲットポイントについてスタッフは「日本製品は常に価格が高いとのイメージがあるが、安価な価格帯でパフォーマンスが良好な製品を提供することにより空白地帯を狙った。」とした。
 また、同ブース内に今回、セミコンダクタソリューション社がAIC社の出展ブースの一部に製品を展示した。その製品も中国市場にあわせた価格的戦略で市場を狙う。「3230」と小型化されたパッケージだ。また同製品の特徴はアルミ基板にセラミック入りインクを塗り、絶縁と耐熱効果を生みだすことに成功。新型パッケージ材料を使い、劣悪な環境下でも長寿命を実現した。また、ボンディングワイヤーの銀劣化を防ぐ。発光効率は量産レベルで170lm/Wを実現し、2014年7月に販売を開始する。生産は日本の工場で行うが、中国での販売が順調に行けば蘇州工場で作る可能性もあるという。

写真:小間数を増やしたシチズン電子。
パッケージメーカーでは、シチズンは中国で売上を伸ばす1社だ。
同展示会内で行われた台湾LED inside社の発表資料によると、シチズンはCOBパッケージの分野で売上を伸ばしているという。
同社も昨年に比べ小間数を拡大させた1社の一つであった。
(撮影:Granage LLP)

 さらに、今年から日本貿易振興機構(JETRO)と日本照明工業会(JLMA)後援によるJapan Pavilionが設けられた。その中で力強い企業がある。化学品専門商社KISCOだ。同社は2013年に合資企業を上海においた。同社スタッフによると、「中国ではまだまだビジネスチャンスがある」KISCO-SHINKOオリジナルLED Globeの販売を行う。高配光角、高透過率の全球タイプのカバーだ。特殊成型技術で日本の品質を保ちながら上海で生産することで高性能な上に価格を抑えることにより、現在中国企業からなどの受注に成功しているという。
 このように、出展をやめる部門とますますビジネスを拡大する企業があり、戦略が大きく分かれたようだ。

写真:KISCOは新しく中国の企業と合弁会社を設立し、LED照明用のカバーの分野に参入する(撮影:Granage LLP)

【出展社動向】日本企業の中国で業績を伸ばす

 展示会に合わせ行われた台湾LED inside社のセミナーでRoger Chu氏は中国におけるCOB市場での売上分析について追求した。シチズンは中国で売上を伸ばす1社であり、同氏によると「日本メーカーのシチズンとシャープの2社で市場の多くを占有しており、続いて米Bridgelux社となる。中国の升谱光電(SUNPU LED)、易美芯心(Shineon)らは2013年の下半期から急速に成長した企業だ。米Cree社は2013年には業績が伸びていないが、2014年にはCOBに注力するものと思われ、高い成長率となると予想される」とした。
 2013年の中国のCOB市場は約2億米ドルでシチズンは約7000万米ドル、シャープが約6000万米ドル、米Bridgelux社が約2300万米ドル、米Cree社が約1000万米ドルで中国からは升谱光電(SUNPU LED)、易美芯心(Shineon)がそれぞれ約2000万米ドル、約1000万米ドルの売上を上げたとの調査結果を発表した。

写真:中国市場について分析を得意とする台湾LEDinside社のアナリストRoger Chu氏

データ:LED inside社による中国COB市場における販売金額。
1位がシチズン、2位がシャープだ。

【市場動向】スマートライティングがさらに活発化する

 今年も大手メーカーを中心にスマートライティングの展示が増えた。フィリップスなどの海外企業がこれまで牽引してきた市場ではあるが、中国企業の中OPPLE(欧普照明)、中MIDEA社(美的照明)、中FSL社(佛山照明)、中TOPSTAR社(通士達照明)などの大手企業の多くはこの分野へ積極的だ。特に中MIDEA社(美的照明)は中国大手総合家電メーカーMidea Group(美的集団)の傘下で2009年に作られた企業で、同社でも2014年から本格的にスマート住宅戦略をはじめる。家電製品などとの連携が出来れば他社との差別化もできるだろう。台LED inside社のデータ(下2つ目の図を参照)によると、現在、照明制御で用いられる主な無線規格として、ZigBee、Z-wave、Insteon、Wi-fiなどが挙げられるが約60%がその他に分類される 。その中でもZigBeeを使ったシステムが伸びているようだ。
 また、操作方法もこれまでは専用のリモコン制御が多かったが、スマートフォンやタブレット操作の拡大も見られた。

写真:中MIDEA社(美的照明)の今後の展開について説明

 無線規格についても台LEDinside社はセミナーで言及しており、2012年~2013年に小売り店における技術別インテリジェント照明製品それぞれの売上は、Zigbeeが最も多く18%でその他が60%にも達する。どの方式が今後主流になるかは分からない状況だ。しかし、フィリップスのKlaas Vegter氏によると、「現在ZigBeeシステムは安価なため普及しているが、今後Wifiシステムが安くなることにより、Wifiシステムのシェアが拡大するだろう」とした。

写真:台LED inside社の発表資料。
現在、照明制御で用いられる主な無線規格として、ZigBee、Z-wave、Insteon、Wi-fiなどが挙げられる。

 さらに、同時開催された広州国際建築電気技術展覧会(Guangzhou electrical building technology)の展示会では多くの通信システムが展示された。その中でもスマートフォームなどの一貫としてインテリジェント照明と連動させるシステムなど多くのソリューションが展示された。
 主な出展としてコントロールシステム団体や、照明制御で用いられる主な無線規格の団体の「KNX」や「Z-wave」など出展があった。米国で始まったホーム・コントロール用途などに向けた無線規格「Z-wave」は今年から中国で展開を本格稼働させる。
 日本企業からはこの分野でのチャンスをうかがう村田製作所やミツミが出展を行った。村田製作所は国際標準の通信規格DALIと無線規格Zigbeeに対応したLED照明用電源モジュール、センサー、制御ソフトウェアなどの照明制御に必要なトータルシステムの展示を行い、ミツミは「Z-wave」の団体の会員として参加し、今後拡大が期待される「Z-wave」に適したモジュールの分野で事業拡大を狙うなど、スマート化が進む事業所向け、家庭向けにそれぞれチャンスを狙う。

※KNXはインテリジェントビルのためのOSIベースのネットワーク通信プロトコルであり、1999年5月に発足し2002年にKNXENとして公開された。既存の3つの標準、ホームオートメーション標準のEHS(European Home Systems Protocol)、フランスで生まれたHVACネットワーク標準のBatiBUS、設備系オープンネットワーク標準EHS (European Installation Bus)の後継として策定されており、ホームオートメーションからビルオートメーションまでをカバーする標準であり、HBES(Home and Building Electronic Systems)と呼ばれている。
国際標準としてISO/IEC 14543-3 、世界各国の標準、欧州標準EN 50090( European standard for electrical installations for home and building )、欧州標準EN 13321-1(Product and system requirements )およびEN13321-2 (KNXnet/IP Communication)、米国標準ANSI / ASHRAE 135に認定、中国の勧奨国家標準GB/T 20965-2013に昇格させた。
KNXはメンバーが現在34カ国300会員、パートナーは119カ国36,414社に広がっている。標準は(ISO/IEC14543-3)を取得している。3月4月にドイツ フランクフルトで行われた「Light+Building2014」へも巨大な展示会場を要していたKNXは主に有線を利用したシステムコントローラーの団体だ。

※「Z-wave」とはアメリカ市場でメジャーな無線システムで250社程度の会員がある。Z-Wave(R)は、米国および他の国で、Sigma Designsと子会社の登録商標である。
「Zwave」が家庭用でKNXが産業用といったところだ

写真:全世界において34カ国340社が会員となっている。
中国における参加企業は39社(外資系中国支社での会員含む)になる。

写真:村田製作所は同展示会に初出展を行った。
照明制御の国際規格DALIとZigbeeの無線通信に対応したLED照明用電源モジュール、センサー、制御ソフトウェアを含めた照明制御に必要なトータルシステムを提案。

写真:無線の規格のひとつであるZ-WAVEの団体。
アメリカを中心として広がり、今年から中国でも本格的に普及し始める。
日本からはミツミなど部品メーカーも同団体に参加している。

【市場動向】中国企業、台湾企業などフィラメントタイプパッケージ、フリーパッケージチップの製品を展開

 今年のパッケージの流行は「フィラメントタイプパッケージ」、「チップ・スケール・パッケージ」であった。

 「フィラメントタイプパッケージ」の製品は台湾エピスターが以前から製品展開をしていたが、今年になってから各社へ急拡大したようだ。同製品を採用した照明器具は3月30日~4月4日にフランクフルトで開催された「Light + Building 2014」でも多く展示されていた。  

 今回の展示会でも多くメーカーが展示を行った。台湾EPISTAR社、台湾EVERLIGHT社、中国HONGLITRONIC社(鴻利光電)、米LEBEN社に合わせ中国老舗照明器具メーカーの中国三雄照明、佛山照明など数え切れないほどの企業が採用していた。

写真:台湾 億光光電(EVERLIGHT)はCOGフィラメント型LED。

写真:杭州杭科光電股份有限公司が取り扱うLEBEN社のフィラメントタイプLED

写真:鴻利光電股份有限公司(HONGLITRONIC) のフィラメントタイプ

写真:三雄照明の製品

 続いて、「チップ・スケール・パッケージ(CSP)」だ。いわゆるパッケージ・フリーと言われる製品が多く並んだ。このCSPの発想は日本の三菱電機だ。それをLEDに応用したのが、米Lumileds社で2008年当たりからワイヤボンディングをなくした「LuxeonRebel」として発表をしている。昨年あたりからさらに多くの企業から同技術についての訴求があった。このCSPタイプの名称だが、SMDやCOBなどというように各社同じ名称ではない。各社によって呼称が違う。例えば、フランフルトの記事(URL)で紹介した台EPISTAR社のチップを採用した台UNISTAR社の「Mercury1515シリーズ」などは「CSP」、台LEXTER社は「White Chip」、台FOREPI社では「パッケージ・フリー・チップ(PFC)」、台TSMC社は「フォスファーモールディング・オン・ダイ(POD)」など呼び方は様々だ。
CSP製品として、CREE社の「XQB」、東芝などもCSPとして発表しており、各社コスト削減と極小化技術の開発を進める。WLPと表現する企業や各社個々に呼び名を持つ。

 パッケージ・フリー・チップ(PFC)を例にとって説明すると、いわゆるチップと蛍光体だけということだ。とあるチップ、パッケージメーカースタッフによると「チップに蛍光体を混ぜた樹脂をフリップチップに塗布して現在の白色パッケージと同じ原理を実現したもの」との説明を受けた。

図:PFCの説明図(各社資料よりGranage社で作成)

図:CSPの説明図(各社資料よりGranage社で作成)

【市場動向:デザイン】フランクフルトや日本のデザインを受け、OEM体制は整える企業

 今年3月30日~4月4日にフランクフルトで行われた「Light+Building2014 」の展示会で出展されたデザインを追従した製品が多く出展されていた。各社に話を聞いたところ、やはり各社とも欧米からのOEM受注を多く受けていることが分かった。

写真:「Light+Building2014 」のデザインを受けた照明器具が並ぶ

写真:「Light+Building2014 」のデザインを受けた照明器具が並ぶ

写真:BOE社が展示したのは、日本でも人気のあるデザインだ。

【市場動向:有機EL】有機EL照明、中国企業ではBOEが積極的展開。

 昨年2013年の展示会では、FOL社、BOE社、フィリップス、トライドニックなどの企業がパネルや製品を並べた。BOE社は昨年パネルの展示だけであったが、今年は製品化さえた有機EL照明が並んだ。前回の取材では、2014年春ごろに発売としていたが、少し遅れたようで、これら製品は10月に販売するという。しかし、BOE社は中国企業の中でも最も積極的に有機EL照明の展開を行っている企業の1社だ。

写真:中国BOE社のブース。多くの有機EL照明器具が並ぶ。

写真:BOE社の製品を取り扱う企業。Baide LED社。

写真:トライドニック社のブース。フランクフルトに続き、LG Chem社の製品を取り扱う。

【市場動向】車の前照灯や医療用分野など新しい分野へのチャレンジする企業が増える

 これまで、各社とも一般照明器具の開発が主流であった。他の記事でも言及しているが、ここ数年パッケージメーカーにしろ、照明器具メーカーにしても技術の差別化や新しい分野への挑戦を積極的に行っている。例えば、車の前照灯や医療用などである。

 台EVERLIGHT社(億光電子)は今回、前照灯のフォグランプとヘッドライトが一つのLEDになった高効率で体積が縮小化された「Argus」を発表した。3.5x3.5mmパッケージで、他に2.5x2.5、1.5x1.5のサイズを揃える。
 EVERLIGHT社と車用ランプ製造の台Just Auto Lighting社(佳欣光电股份有限公司)は共同で展示をした。同製品は過酷な環境や、濃霧、大雨などでも高明瞭な視野を保持する。色は5600K、のほか4300Kなどを揃える。同社の車用LEDモジュールはTS16949などの国際品質認証を受け、AEC_Q101検証基準を既に取得済みである。

写真:EVERLIGHT社の前照灯

 街路灯などでも有名な上海三思(Sansi)は今回、医療用の分野への参入を始める。現在、無影灯の中国衛生局への申請をしており、許可を待っている。その許可が下り次第、販売を開始するという。同社は日本での展示会でも出展なども行っている企業であり、見かける人も少なくないだろう。
 今回、医療用に参入する理由として、自社の独自の特異性を披露したいという思いがあり、医療用などの特殊分野に参入することを社長が決断したという。

写真:上海三思社の無影灯

中国照明大手企業、空気洗浄機一体型照明を提案
中国独自製品として、PM2.5 対策の空気洗浄機付照明器具などユニークな製品が並ぶ

 中FSL社(佛山照明)「明匠荟(LIGHT TRIMMER)」を立ち上げ56年という長年の経験を活かした照明空間を提案する。グリーンで、健康で、インテリジェント なLED照明の分野においてリーダーシップを図りたい考えだ。その中で、空気清浄機一体型照明をリリースした。同製品の特徴は殺菌消毒、空気浄化、異臭除去、健康保護、手っ取り早い安全、環境浄化などをうたう空気洗浄一体型照明を展開する。

また、中YAMING社(世紀亜明照明)も空気清浄機一体型照明製品を展示、中国の中東部と西南地区は継続して濃霧に包まれており、多くの都市では中度から重度の大気汚染が続く。室内の汚染も室外と同じように重度だとし、今回このような製品を開発したという。
そこではLED照明とプラズマ浄化殺菌装置を1つに合わせた。展示会場ではこの浄化中の空間と未浄化の空間を比べた数値などの表示も行った。

写真:中FSL社(佛山照明)の空気清浄機一体型照明

写真:世紀亜明照明のプラズマ空気浄化灯の展示。

 中国では当初OEMでLED照明ビジネスが大きくなった。そして、現在では中国市場にあった独自製品展開で国内市場を攻める。商品数も充実してきたため、照明器具を扱う専門家も商品展開が広くなったとしてLED照明の受入を積極的に行うようになってくるなど、今年は中国において国内におけるLED照明普及が注目される。また、2014年の10月に60Wの電球の製造および販売が禁止になることも追い風になるだろう。これは輸出から内需拡大の序章となるだろう。彼らが中国市場攻略をどのように進めるのか、また、どのように差別化させたソリューションで他社から一歩リードするのか?そして、その市場に向って日本企業はどのように進入できるのか、まだまだ中国市場は面白く感じるところだ。これからますます広がるLED照明市場の裾野で中国企業間での勝ち負けはあるものの事業拡大を行う企業も多い。

Asian Lighting Report
執筆者:石田のり子


ソフトウェア企業、半導体マーケティング企業でマーケティング担当後、2006年韓国FPD調査会社Displaybank日本支社を立ち上げ、アナリストとして調査を担当。2007年にGranageLLP(グラナージュ)を設立。2008年には、日経BP社FPD Internationalのイベントプロデューサを勤める。現在、FPD、LED照明、太陽電池、二次電池エリアでのリサーチ業務、コンサルティング、レポート作成、ビジネスマッチング、イベントプロデュースなどを行う。日経BP社発行誌「日経エレクトロニクス」「Green Device」「LED2011」、韓国LED普及協会誌への寄稿や日本国内、台湾、中国などでLED照明関連の講演を行う。

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