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連載コラム

オフィス照明LED化の流れ LED Next Stage 2012レポート

[ 2012年4月26日 ]

2012年3月6日~9日の4日間、東京ビックサイトにいてLED照明の展示会「LED Next Stage 2012」が開催されました。今回はその模様をレポートします。これまでも当コラムで紹介してきた通り、LED照明は非常に速いスピードで進化を続けています。そのスピードは正直に言って我々照明業界の人間にとっても、油断をすると最新の情報に追いつくのが大変になってしまいそうな程の勢いです。半年前の情報が既に古いものになっているという事も珍しくありません。以前の展示会では、明るさの飛躍的進歩など誰が見ても分かりやすいプレゼンテーションが目立っていましたが、昨今では演色性や光色の美しさの向上、スムーズな調光、よりグレアレスな器具等、ある程度照明の知識がないとレベルアップの度合いが図れないようなブラッシュアップが多く見受けられるようになりました。これはLED照明の完成度自体が向上し、LED照明に求められる以前より水準が数段階高くなった為です。明るさは充分、色温度も演色性も悪くない、そんな器具が会場のあちらこちらに展示されているため、会場を訪れる多くの人にとってLED照明の評価が非常に難しくなってきているように思います。特に今回のLED Next Stageではその点が顕著に現れていたように思います。もちろんそれはLED照明の完成度がボトムアップされているからであって、決して大きな懸念材料ではありません。逆に言えばどのLED照明を選んでも大きな間違いはなくなりつつあると捉える事もできます。

今回のLED Next Stageではたくさんのブースを効率よく、要点を押さえながら回るためにLED照明の専門家(LED照明推進協議会の担当者)がツアーガイドをしてくれる「LED照明最前線ツアー」という企画も行われていました。会場を回っているとこのツアーの一団に何度か遭遇しましたが、どの回も非常に盛況の様子でたくさんの方が参加していました。専門家の解説を聞きながら会場を回ると理解度も格段に上がりますので、こういったサービスを利用してみるのも良い方法だと思います。

また、照明業界全体がLED照明にシフトし始めてから、各照明メーカーは自社の照明展示に非常に力を入れており、その規模も大きくなっています。(その模様は過去のコラムをご覧ください。)半年毎や、さらに短いスパンでメーカーの展示会が開催されることも珍しくありません。以前はライティング・フェアやLED Next Stageなどの大規模な展示会に照準を合わせ、大きな発表を行うスタイルが多かったように思いますが、近年では新商品の発表の機会が増え、自社の展示会に大きな力を注ぐなど展示会のスタイルも大きく変化しています。その為か例年に比べ今回のLED Next Stageでは国内の照明メーカーの動きは全体的に少し落ち着いた印象を受けました。逆に中国・台湾・韓国などアジア圏の海外メーカーの出展が目立ち、クオリティの高いLED照明等も見受けられ、海外勢の勢いも強く感じました。

昨年のライティング・フェア2011のレポートと同様に今回のLED Next Stage 2012で気になったキーワードいくつか挙げてみました。

・直管形LEDランプ
・オフィス照明
・演色性
・シーリングライト
・明るさ感
・導光板
・韓国の照明器具
・その他気になったもの

それぞれのキーワードに関連した最新のLED照明についてレポートしたいと思います。

直管形LEDランプ

会場で特に目立っていたのが直管形のLEDランプです。昨年のライティング・フェアでは日本電球工業会による新しい規格(JEL801:2010)に対応したGX16t-5口金の直管形蛍光灯が登場し、オフィス照明の省エネ光源として大きな注目を集めました。そして2011年のライティング・フェアの最終日に東日本大震災が起こりました。大震災以降、節電に対する意識が日本全体で高まり、省エネ性が高いLED照明の需要が急激に伸びています。特に大規模なオフィスなどでは消費電力の2~4割を占めるといわれる照明に関わる電力を削減する事は、施設全体の消費電力削減に大きな効果をもたらします。そこで注目されるのがオフィス向けのLED照明です。オフィスでは圧倒的に蛍光灯が採用されている為、蛍光灯の代替光源である直管形LEDランプに寄せられる期待は非常に大きいといえます。会場ではそんな社会的背景がそのまま反映され、昨年よりもさらに進化した直管形LEDランプがたくさん見られました。

・遠藤照明のLEDZ TUBE
遠藤照明のブースでは2月末に自社の展示会で発表があった新しい直管形LEDランプ「LEDZ TUBE」シリーズが展示されていました。

図1 遠藤照明のブース

遠藤照明の直管形LEDランプは従来の蛍光ランプの誤挿入を防ぐためにオリジナルの口金とソケットが採用されています。LEDZ TUBEはいくつかの展開があり、特に面白いのが従来の蛍光灯や直管形LEDランプに比べ、配光角を狭くしたOptical TUBE(オプティカルチューブ)です。従来の蛍光灯は空間を均一に照らすため光が全体に広がる拡散光が特徴です。オプティカルチューブは特殊なレンズを使って光の広がりを抑えた光源です。(1/2照度角で約50°)しかも器具に取り付けた状態で光源を25°回転する事ができ照射方向を調整する事が可能です。まさにスポットライトのような感覚で使用できる直管形LEDランプです。一般的な光源と同様に配光を狭くすると直下照度は向上しますので、これまでの直管形蛍光灯では不向きとされていた高天井の空間に採用する事が可能です。高天井空間だけでなく、照射方向を調整してウォールウォッシャーのように壁側に光を集中させて鉛直面の明るさを演出するような使い方も可能です。

また、従来の蛍光灯の配光を意識した拡散光タイプのWhite TUBE(ホワイトチューブ)という商品は、高効率光源として知られているHf蛍光ランプを上回る121lm/wを実現した直管形LEDランプです。従来の蛍光灯より消費電力は抑えながら明るさも同等に確保できていました。長年にわたり蛍光灯はLEDの最大のライバルでしたが、蛍光灯自体が優れた省エネ光源であるため、いかにLEDといえども蛍光灯にとって代わることは容易な事ではありませんでしたが、LEDもついにここまで来たかという印象を受けました。


図2~4 遠藤照明の直管形LEDランプ LEDZ TUBE
左からOptical TUBE(オプティカルチューブ)、White TUBE(ホワイトチューブ)、
従来の蛍光灯。直管形LEDランプでも充分な明るさが得られる。

器具と直管形LEDランプがセットになった機種でも40wクラスの1灯用なら2万円前後、2灯用は3万円前後と価格が高いという印象があった直管形LEDランプですが、ランニングコスト等も考慮すると充分現実的な価格までコストダウンされていると感じました。さらにランプに電源が内蔵されているタイプや、防水型の直管形LEDランプも用意されており今後の展開に期待します。

・アイリスオーヤマのECOLUX
TVのCMや家電量販店で販売されているLED電球の影響で、LED照明を取り扱うメーカーとしても認知度が高まっているアイリスオーヤマのブースでも様々な直管形LEDランプが展開されていました。そのバリエーションの多さは今回のLED Next Stageのなかでもトップクラスだと思われます。


図5、6 たくさんの人で賑わうアイリスオーヤマのブース

アイリスオーヤマのLED商品は「ECOLUX(エコルクス)」というブランド名で展開されています。ECOLUX HEという商品は100lm/wの高効率を実現した直管形LEDランプです。オフィスや大規模店舗などでの蛍光灯の代替光源として最もベーシックに使えるタイプです。ECOLUX HEには従来の蛍光灯と同じG13口金タイプと、新規格のGX16t-5口金を採用したECOLUX HE-Lという商品も用意されていて、既存の照明を使ったリニューアルにはECOLUX HE、新規物件にECOLUX HE-Lといったように用途に応じた使い分けができるのも魅力です。

その他にも遠藤照明の照射角度を調整できるOptical TUBEと同じく角度可変をコンセプトにしたECOLUXθ、Hf蛍光灯のリニューアルに最適な管径26.5mmのECOLUX SLIM、人感センサーや明るさを感知して自動で調光を行う機能をもつECOLUXセンサーなど、様々な個性を持った直管形LEDランプが展開されており、そのラインアップの豊富さに非常に驚きました。

図7 様々なラインアップが展開されているアイリスオーヤマの直管形LEDランプ

図8 人感センサーや明るさを感知するセンサーを搭載したECOLUXセンサー

・110wタイプの直管形LEDランプ
駅や工場などの大空間で使用されている非常に長い110wタイプの蛍光灯をご存知でしょうか?その長さは2mを超えます。たくさんのブースでこの110w蛍光灯の代替光源として110wタイプの直管形LEDランプが展示されていました。このランプは非常に長いのでメンテナンスは2人以上で行う事がほとんどです。そのためメンテナンスの手間が非常にかかる光源です。加えて110wタイプの蛍光灯が設置される場所は、地下鉄の駅のような、外光が入らず長時間点灯し続けなければならない場所が多いので、110w蛍光灯がLED化されるメリットは非常に大きいと考えます。

図9 アイリスオーヤマの110wタイプの直管形LEDランプ

図10 インパクトのある展示が印象的な日栄インテック
図11 三菱電機オスラムの110wタイプの直管形LEDランプ

・全体的に
直管形LEDランプは全体的に低価格化、高効率化が進んでいます。消費電力やランニングコストだけではなく、イニシャルコストでも蛍光灯を超える日がもうすぐそこまで来ていると実感しました。

図12 パナソニックの直管形LEDランプ
16,000円から12,000円に価格改定された

図13 東芝ライテックの直管形LEDランプ
Hf蛍光灯32wと同等の明るさをもつ高出力の直管形LEDランプ

オフィス照明

・スクエアベースライト
直管形蛍光ランプとならびオフィス照明の主力は四角い形のスクエアベースライトです。そのほとんどがコンパクト蛍光灯を使用したもので、埋込穴450×450、600×600のサイズが一般的です。LEDのスクエアベースライトもリニューアルを考慮して従来のコンパクト蛍光灯のスクエアベースライトのサイズを踏襲したものが主力です。直管形蛍光灯と並びスクエアベースライトはオフィス照明の定番です。LEDのスクエアベースライトはオフィスの省エネ化のために注目度の高い照明になっています。

図14 遠藤照明のLEDスクエアベースライト
数ある照明メーカーの中でも豊富なスクエアベースライトのライアップを展開している。

図15 大光電機のLEDスクエアベースライト

・エコサーカディアン照明制御
またパナソニックでは単純にスクエアベースライトの展示だけでなく、制御システムと組み合わせたオフィスの「エコサーカディアン照明制御」の提案を行っていました。

図16 パナソニックのエコサーカディアン照明制御1

我々人間は約1日(およそ25時間)の周期で繰り返される生体リズムがあり、それをサーカディアンリズムと呼びます。日中働いている時間帯は太陽光に近い5000K程度の色温度だと活動的になり、太陽が沈み自宅でゆっくりするような時間帯は3000K~2500K前後の色温度の方が落ち着いた印象を与えるといわれています。パナソニックではこの太陽の動きに同調したサーカディアンリズムを照明制御に応用し、昼間と夕方~夜間でオフィスの照度と色温度をコントールしてより快適なオフィス環境を作るという「エコサーカディアン照明制御」の考え方を提案していました。


図17、18 パナソニックのエコサーカディアン照明制御2
昼と夜で照度と色温度を変化させる。昼間は白色で高照度、夜は電球色の低照度。

時間によって色温度や明るさを変化させるという照明手法は、LED照明が普及する随分以前からたくさんの照明デザイナーによって提案されてきましたが、従来光源の場合は色温度の違う2種類の光源を用意しておいて照明を切り替えるという手法がよく使用されていました。そのため器具のイニシャルコストが2倍になったり、色温度の切り替えがスムーズにいかないといった難しい部分もありました。LEDの場合は光源が非常に小さい為、器具内に2種類の色温度組み込み、色温度可変タイプの照明を作ることは比較的容易ですし、調光や色温度の変化といった制御も蛍光灯に比べると非常にスムーズに行う事ができます。LED照明が一般的になった事で変化を意識させない緩やかな照明制御が可能になりました。近い将来、エコサーカディアン照明制御のように色温度や照度を時間や天気によって変化させるオフィスが増えていくことになると思います。

演色性

LEDの弱点であった演色性は近年急速に改善され、最新のLED照明の多くがRa80以上の演色性を備えており、一般的な使用においてはLED独特の無機質な光の印象はほとんど感じられなくなりました。美術館や飲食店などの使用を想定したRa90以上のLEDというものも珍しくありません。最新のLED照明はより対象物が美しく見える光を追求したものが増え始めています。単にRaの数値が高いだけでなく赤色が美しく見えることをアピールしたLEDなどがその代表例です。平均演色評価数Raの数値はNo.1~No.8の試験色の見え方によって評価されます。(図19参照)平均演色評価数Raは様々な物体が存在する空間を平均的に違和感なく見せることができるかという事を判断する指標です。それとは別にある特定の物体の色味を美しく見せる(忠実に再現する)ことができるかどうかを判断する為に特殊演色評価数用の試験色が用意されています。特殊演色評価用の試験色はN0.9~No.15まであります。(図19参照)ですからRaの数値が高くでも、No.9(赤色)の数値が低い照明も存在するわけです。したがってRaの数値が高いからといって必ずしも全ての対象物に対して色味の再現性が高いとは限らないわけです。

図19 演色評価色票

この点に着目して特殊演色評価数のNo.9(赤色)やNo.15(日本人の肌色)を美しく見せることをコンセプトにしたLEDなどが出始めています。

・パナソニックの美光色LED
パナソニックでは肌の色を美しく見せるという事をコンセプトにした「美光色LED」というラインナップを展示していました。美光色LEDは演色性もRa95と非常に高いLEDですがパナソニックが独自に設けたPSという数値が大きな特徴です。PSとは「Preference Index of Skin Color」の略で、光で照らされた肌の色の好ましさを評価するパナソニックが独自に開発した指標です。人間の肌のくすみが目立つ原因となる570nm(ナノメータ)~580nmの波長の光を調整し肌が美しく見えるように工夫しているとのことです。ちなみに美光色LEDのPS値は95です。

図20 パナソニックの美光色LED
右が従来のLED、左が美光色LED。肌の色が美しく見える。

美光色LEDは演色性も非常に高い為、肌色を美しく見せるということだけでなく、商品を照らす商業施設や、食べ物を照らす飲食店など様々な場所で使えそうなLED照明です。

・Xicato JAPANのアーティストモジュール
ムラのない光と明るさ美しい光の色味で定評のあるXicato JAPAN(以下Xicato)のLEDモジュールは様々なメーカーの照明器具の光源として採用されています。そのなかでもRa95以上の演色性を誇るアーティストモジュールというLEDがあります。このLEDモジュールは従来のLEDが苦手とされていた赤色を美しく見せるこという点が特徴です。

図21 Xicatoのアーティストモジュール
左から、ハロゲンランプ(Ra100)、Xicato XSMアーティストモジュール(Ra95以上)、
Xicato XSM80シリーズ(Ra80以上)、個別LED
Ra100のハロゲンランプと比較しても遜色ない光の質を持っている。

またXicatoのブースでは平均演色評価数を測定できる機器を用いて、アーティストモジュールの平均演色評価数(Raの値)を測定するというパフォーマンスを行っていました。

図22 平均演色評価数の測定の様子
測定器の白いボタンのような部分に光を当てて計測する。

図23 アーティストモジュールの平均演色評価数の測定結果


測定の結果はアーティストモジュールの平均演色評価数はRa99という数値が表示されていました。赤色の忠実性を示すR9の値は91となっていました。このように目の前で測定値を見ると非常に説得力があります。(周辺のブースの光も若干含まれていますので完全に正確な計測値ではありません)

この測定器はコニカミノルタセンシングから発売されたハンディタイプの演色性評価測定器です。照度や色温度などが計測できることはもちろんのこと、これまで手軽に計測ができなかった平均演色評価数の測定が簡単にできるようになりました。私自身、照明設計の仕事ではこれまで演色性という言葉を幾度となく使ってきましたが、恥ずかしながら実際に平均演色評価数を測定しているところを見たことがありませんでした。この測定器は小型で持ち運びも簡単ですから調査や実験など様々な用途に使用できそうです。また製品ごとにクオリティの差が大きいLED照明の品質評価には大いに役立ちそうです。


図24、25 コニカミノルタセンシングのハンディタイプの演色性評価測定器

シーリングライト

会場では直管形LEDランプやスクエアベースライトの他に住宅向けのLEDシーリングライトの展示が非常に目立っていました。LEDの特徴を活かしたスリムなもの、またスムーズな調光や調色(色温度変換・カラーチェンジ)を売りにしたシーリングライトが目立ちました。


図26~28パナソニックのシーリングライト
幾つかの点灯パターンがあり、生活のシーンに合わせて全般照明、間接照明、常夜灯などの選択が可能。

図29 アイリスオーヤマの調光・調色LEDシーリングライト

図30 東芝ライテックのカラーチェンジが可能なLEDシーリングライト

施設向けの建築照明デザインではほとんど使用することはない器具ですが、各社の品揃えをみると住宅・集合住宅におけるLEDシーリングライトの需要の高さが伺えます。

明るさ感

照明計画において床面や机上面の照度(水平面照度)が明るさ感の基準として重要視されますが、床の水平面照度が暗くても壁や天井を照らすと、空間全体で見たとき明るく感じることがあります。この感覚は明るさ感(空間の明るさ感)と呼ばれていて、現在の照明計画においては最も重要なキーワードの一つです。2次元的な床面照度だけでなく、壁面の鉛直面照度、また見た目の明るさに最も影響のある輝度などをコントールすることによって明るさ感を向上させることができます。しかし、この明るさ感は感覚的なもので照度=Lux(ルクス)といったようにきちんと定量化されておらず、照明の専門的な知識がない人に対して計画段階の空間の「明るさ感」を伝えることは非常に難しい問題です。これは今なお我々照明設計者の課題です。

・東芝ライテックの明るさ感の新指標
この問題に対して数年前からパナソニックがFeu(フー)という空間の明るさ感の指標を提唱しています。Feuは人間の視野内の輝度分布から空間の明るさ感を数値化します。Feuの数値が大きいほど空間の明るさ感が高くなります。(詳細はパナソニック FeuのHPをご覧下さい。
http://www2.panasonic.biz/es/lighting/feu/

そして今回のLED Next Stageでは東芝ライテックから明るさ感の定量化について「Weluna(ウェルナ)」という新しい提案がされていました。Welunaは天井・壁・床など反射視して目に届く光(=目の位置の間接照度)を数値化したもので単位はLux(ルクス)を用います。こちらもパナソニックのFeuと同様に数値が大きいほど空間の明るさ感が高くなるという考え方です。(詳細は東芝ライテック WelunaのHPをご覧下さい。
http://www.tlt.co.jp/tlt/lighting_design/design/weluna/weluna.htm

図31~33 Welunaの体感シミュレーション
ダウンライトで壁面を照らし鉛直面照度を上げたり、間接照明で天井を照らす手法を使ってWeluna値を高めています。Weluna値を高めながら消費電力を下げるようなプレゼンテーションであれば、より説得力が高まる。

学術的な部分で判断すれば二つの数値の考え方は異なるものだと思いますが、結果的に表現しようとしていることは非常に似ているように思います。同じ照明業界にあって明るさ感を表す基準が何種類もあると正直何を基準に使って考えれば良いのか迷ってしまいそうなので、近い将来明るさ感の指標が統一化され、広く照明設計の分野に浸透していく事を望みます。FeuやWelunaのように空間の明るさ感を数値化できるツールがあると、照明設計の幅が非常に広がります。

導光版

サイン・ディスプレイ業界ではLEDを用いた導光版を良く見かけるようになりました。アクリルやガラスの小口からLED照明の光を当てて発光させる導光板は、従来のようにサインの裏側にたくさんの蛍光灯を並べる必要がなく、スリムな形状が特徴です。
LED照明の高効率化が進んだことで一般照明でも導光版を用いた器具が増え始めています。会場ではこれまでに以上に導光版照明の展示が多く見られました。

図34~36 コイズミ照明の「LIGHT PANEL BASE LIGHT」
コイズミ照明と住友化学がコラボレーションした「LIGHT PANEL BASE LIGHT」。導光版タイプの照明とは思えないほどパネルは均一に発光し、光量も照明器具として充分である。ペンダントタイプと天井埋め込みタイプが展開されている。


図37、38 興和の導光板ダウンライト「LUXELA(ルクセラ)」
通常のダウンライトに比べて軽量・薄型である。

図39 興和の導光板タイプのブラケット
導光板とLED照明という特徴を活かしたプロダクト。

図40 興和の導光板タイプのスクエアベースライト
興和の導光板器具はバリエーションが非常に豊富である。


図41、42 吉日(YOSHINICHI)の導光板ダウンライト
薄さ11.5mmの導光板ダウンライト。


図43、44 点検口の扉を導光板にする提案
吉日のブースでは点検口の扉を導光板にするという個性的な提案を行っていた。

LEDの高効率化の恩恵を受け、導光板は様々な形で照明器具として使用され始めています。薄く面発光するという特徴をいかし、これまでになかった照明器具の発想が生み出されているように思えます。LEDの次世代の照明として注目されている有機ELも導光板と似た特徴をもち、さらに紙の様に薄く曲げることが可能なものもあります。光は照明器具から放たれるものではなく、ガラスや壁紙のように建築素材感覚で扱われる日が来るのもそう遠くないかもしれません。

韓国の照明メーカー

コラムの冒頭でも触れましたが、今回のLED Next Stageではアジアの照明メーカーの勢いを非常に感じました。その中でも印象的だった韓国のメーカーをレポートします。
特に印象に残ったのがALTOというメーカーです。LEDのグレアレスダウンライトを中心に商品を展示していました。

図45 韓国メーカーALTOのブース


図46、47 ALTOのウォールウォッシャー(左)とアジャスタブルダウンライト(右)

ベースダウンライトだけでなくアジャスタブルダウンライトや、日本でもまだ数が非常に少ないウォールウォッシャーまで揃っています。また、ダウンライトのサイズも豊富で埋込穴径φ55mm、φ85mm、φ100mm、φ125mm、φ155mmといったサイズが展開されています。

図48 小径のLEDグレアレスダウンライト(ALTO)

またWi-Fi対応のタイプの電源を選択するとiPad、iPhone、Android端末で調光コントロールを行うことも可能です。(通常の調光はPWM、DALIに対応)

図49 iPadで調光制御を行う(ALTO)

ブースの照明にグレアレスダウンライトが使用されていましたが日本の製品と比較しても遜色ない印象を受けました。今後の展開が楽しみです。

図50 ブースの天井に設置されたグレアレスダウンライト

また海外のプロジェクトに携わっている方であれば、間接照明などで既にご存知の人もいるかとおもいますが、FEELUXという韓国のメーカーも気になりました。間接照明に特化したLEDライン照明が豊富で、用途に合わせて機種、豊富なサイズや色温度が選択できる事が特徴です。LEDライン照明は似たような商品が非常に多い中、LED以前より蛍光灯タイプの間接照明用の器具を扱っていたメーカーだけにクオリティの高い器具を扱っていました。

図51 FEELUXのLEDライン照明

その他気になったもの

これまでに紹介したものの他に、会場で気になったものを幾つか紹介します。


図52、53 東芝ライテックのLEDライトエンジンダウンライト
ランプを交換するようにLEDユニットを交換できるというコンセプトのダウンライト


図54、55 交換用のLEDユニットとダウンライトのライアンアップ(東芝ライテック)
交換ユニットは明るさ、配光、色温度などを選択可能。全部で44種類のLEDユニットが用意されている。


図57、58 同じコンセプトの屋外で使用できるLEDユニット(東芝ライテック)
ブラケット、ボラード、軒下ダウンライトなどで使用できる。

図59 大光電機から新しく販売されるCOBタイプのLEDダウンライト

図60 大光電機の住宅向け低価格LEDダウンライト
6,800円~という低価格設定の断熱施工対応型LEDダウンライト。


図61、62  Xicatoの新しい小型LEDモジュールとそのモジュールにあわせた小径の反射鏡
これまでよりもさらに小型のモジュールが登場したことで器具の小型化が進むと思われる


図63、64 マックスレイのLEDウォールウォッシャーダウンライト


図65、66 岩崎電気のLED小型投光器「LEDioc FLOOD NEO」
同名の従来製品よりも軽量・コンパクトになった。110w、80w、60w、40wがあり、
それぞれ中角、広角、超光角が選択できる。ライトアップには重宝しそうな器具である。(110w・80wと60w・40wがそれぞれ同サイズ)


図67、68 配光が広がったLED電球白熱電球のようにより光が上方へ広がるLED電球が増えてきた。
(左:東芝ライテック、右:三菱電機オスラム)光束も800lmクラス、1000lmクラスが登場している。

まとめ

これまでのコラムで紹介してきたとおり、住宅や商業施設など主力照明であるLEDダウンライトというジャンルは、明るさだけでなく光の質も向上し、ある程度成熟しつつあります。そして次なるLEDのライバルは蛍光灯です。昨年からの節電という大きな流れを受けてオフィス向けのLED照明は急成長しています。今回のLED Next Stageでは直管形LEDランプやオフィス向けのLEDスクエアベースライトが非常に目立ちました。そしてオフィス向けLED照明のレベルアップに驚きました。去年辺りまでは蛍光灯は寿命ではLEDに劣るものの、明るさ・価格・効率など総合的な面で判断するとLEDよりも優れた光源であると自信をもって言えていたのですが、その関係が徐々に逆転しつつあると強く感じました。本格的なオフィスのLED化の波がやってきています。ただ、昨年の節電という経験を経て今までの照明は明るすぎたという意見も多く出たという点も事実です。単なる器具の置き換えで今までのオフィスと同等の明るさを目指すのではなく、前回のコラムでも紹介したようなタスクアンビエント方式などをうまく取り入れ、より省エネでより環境のよいオフィス空間を作り上げることが次世代の省エネオフィスが目指すところではないかと思います。

また近年は様々な分野で韓国の勢いを目の当たりにしていますが、韓国の照明器具のクオリティにも驚きました。もともと日本は世界的にみても照明器具のクオリティは非常に高いといってよいと思いますが、アジア圏の質の高いLED照明が日本に進出することで益々競争が激しくなり、日本全体のLED照明のクオリティがボトムアップされていくことを期待しています。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在も様々な空間の照明計画を行っている。
URL http://ripple-design.jp

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