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連載コラム

光の質に付加価値を持たせる Light+Building 2014レポート

[ 2014年8月28日 ]

2014年3月30~4月4日の6日間、ドイツのフランクフルトで2年に一度の世界最大級の照明見本市Light+Building 2014が開催されました。今回は仕事の都合で2日間しかスケジュールが空けられず、残念ながら広大なフランクフルトメッセの展示会場をゆっくりと見ることはできませんでした。その中でも普段私が携わっている建築照明の視点から面白いと感じた照明器具などをレポートしたいと思います。

Light+Buildingの概要につきましては2年前のLight+Building 2012のレポートをご覧下さい。(Light+Building 2012のレポートはコチラ

Light+Building 2014は出展社数2458社、来場者数211500人と前回のLight+Building 2012を上回る規模となりました。(Light+Building 2012 出展社数2302社、来場者数 195,582人)日本で隔年に開催されている国内最大級の照明展示会であるライティング・フェア(2013年開催)の出展社数233社、来場者数77,072人ですからその規模がいかに規格外かお分かり頂けるかと思います。開催期間中毎日会場を訪れてようやく全体像がつかめるといった規模で、世界最大級の照明見本市は世界で最もハードな照明見本市でもあります。全てを見終えた後は文字通り足が棒になってしまいます。


図1 フランクフルトメッセのマップ

会場となるフランクフルトメッセは11のホールからなります。特に建築照明に携わっている我々はForum0、ホール1、ホール2 、ホール3、ホール4、ホール5、ホール6などが主にチェックするポイントです。ホールの概要は下記の通りです。

Forum0+ホール2
ヨーロッパを代表する照明メーカーであるPHILIPS、OSRAM、ZUMTOBEL等が他を圧倒する巨大なブースを構えるもっとも賑わいのあるエリアです。

    


図2~4 PHILIPSのブース
Forum0というホールはPHILPSの1社のブースとして使用されている。世界の照明業界におけるPHILPSの存在感の大きさが良くわかる。

    

    
図5~8  ZUMTOBELのブース
ホール2のZUMTOBELブース。毎回テーマパークのような光と映像と音を組み合わせた強大なブースが特徴的。OFFICEやRETAILなどを想定した空間を作り、そこでの器具の使い方などを実演するスタイルを続けている。この展示の手法は日本でも一般的になってきている。もともとランプメーカーでもあるPHILPSやOSRAMとは違い、ハードである照明器具と、空間ごとにその使い方を示したソフトを分かりやすく展示している印象がある。

    


図9~11 OSRAMのブース
Corporate Colorであるオレンジを基調としたブースが印象的。LEDランプやデバイス系の展示が多い。

ホール1
ペンダント、デスクスタンド、フロアスタンドなどインテリアデザイン色の強い意匠的な照明器具を中心に展示しています。近年ではダウンライトや小型の屋外照明等の建築照明向け器具の展示も増加しています。

    

    
図12~15 ホール1の様子
ホール1では光の美しさだけではなく、プロダクトとしての美しさも楽しめるスタンド、ペンダントなどの展示が充実している。世界的に知られているインゴマウラーのプロダクトなどもホール1で見ることができる。(図15)

ホール3
世界的に知られているヨーロッパの照明メーカーを中心とした、主要な照明メーカーが集まり、施設向けの照明が展示されています。

    

    
図16~19 ホール3の様子
FLOS、ERCO、BEGA、Artemideなどヨーロッパを代表するメーカーのブースが並ぶ

ホール4
施設照明を取り扱う照明メーカーの展示に加え、ソケットや電源、LEDチップ、LEDパッケージを取り扱う部品メーカー等の展示も見る事ができます。

    

    

    
図20~25 ホール4の様子
施設向けの照明メーカーのブースが並ぶ。日本の照明メーカーのブースの多くもこのホール4で見ることができる。照明器具だけではなく、LEDランプや調光器、その他のデバイスメーカーのブースも多い。

ホール5、6
シャンデリアのようなクラッシックでデコラティブな照明器具の展示、 ポール照明といった屋外用の大きな照明器具を展示しているエリアです。

    


図26~28 ホール5、6の様子
ポール照明などの大型の屋外照明やシャンデリア、ペンダントなど意匠にこだわったデコラティブな照明器具が並ぶ。

Light+Buildingが開催されるフランクフルトメッセは会場があまりに広大なため、見るべきブースのポイントを絞って効率よく回ることが重要です。ましてや今回は2日間の強行日程ですからいつも以上に要領よく回らなくてはなりません。

前回の2012年のLight+Buildingでは建築と一体となったシームレスな照明器具やスリット照明、LEDの特徴を存分に活かしたミニマムな器具が非常に印象的でした。今回のLight+Building 2014の全体的な印象ですが、大きく目立ったトピックスはなかったように思いますが、2012年に感じた照明器具のトレンドをそのまま継続し、それらの弱点の改善、光の質の更なる向上、ラインナップの増加といった印象を受けました。とくに細いスリットとスポットライトやLEDライン照明を組み合わせたスタイルは前回以上に新しいものが登場し、店舗や飲食店、ホテルなどではスタンダードな照明手法の一つとなっていくことを感じました。またWifi等を用いた無線調光制御システム等も日本に比べて数多く見られました。

Light+Building 2014のトレンドといえるかどうかは分かりませんが、個人的に「光のブランディング」「光のグラフィックデザイン」という2つのキーワードに注目しました。

光のブランディング

照明メーカーにおけるブランディングとは光のコンセプト、ロゴ、ネーミング、器具のデザイン、器具を使った空間の提案、カタログや冊子などの出版、配布物のデザイン、など全ての要素に一貫したブランドイメージを構築し企業価値を高めることではないかと思います。

長い間高い光の質を維持し、一見してそのメーカーの照明器具と分かるERCOやBEGAなどは、光のブランディングによって成功し世界に認知されている照明メーカーの良い例だと思います。以前日本のERCOショールームにお邪魔した際に、ERCOではオフィスに置く花の種類まで世界中のERCOで統一されていると伺ったことがあります。一見照明のクオリティとは関係のないようにも思えますが、こうした小さな事の積み重ねがスタッフの意識を高め、光のクオリティを高め、最終的には企業の価値そのものを高めるのだと思います。


図29 ERCOのオフィスにさり気なく置かれている黄色の花

また日本でも遠藤照明のLEDZ、パナソニックのEVERLEDS、コイズミ照明のcledy、大光電機のLZなど様々なLED照明のブランドがあります。日本で最も光のブランディングとして成功しているのはパナソニックのSmart Archiシリーズではないかと思います。まだ建築照明向けの器具が少なかった時代から光の質にこだわった照明器具を展開し現在もそのブランドは当初のコンセプトを受け継ぎながら続いています。今では照明業界のみならず建築設計者の中でもSmart Archiはグレードの高い照明器具として認知されています。

メーカーの信頼性を高めたり、良い照明器具として認知してもらうためにブランディングは非常に重要な要素だと思います。

先に挙げたERCOやBEGAの事例はどちらかというと時代の流れに流されない不変のデザインが根底にある王道のブランディングではないかと思います。今回はViabizzunoとPROLICHTと2つのメーカーの光のブランディングに注目しました。それらはBEGAやERCOとも違う、時代の流れに合わせた柔軟な光のブランディングで他のブースとは一味違う異彩を放っていました。

Viabizzunoはイタリアの照明メーカーです。前回の2012年のコラムでも紹介しましたが、この照明メーカーは独創的なアイデアの照明器具が非常に魅力的です。私が初めてこのメーカーを知ったのは2006年のLight+Buildingでしたが、その当時から照明器具だけでなく、ブースデザイン、スタッフのユニフォーム、カタログや配布物、来客のもてなしなどLight+Buildingの為だけに用意したとは思えないほどクオリティの高いブースに仕上げていました。展示会のブースというよりは居心地のいいカフェやダイニングといった印象です。2006年当時はそのようなメーカーはほとんどなく、その頃から意識的に総合的な光のブランディングを行っているメーカーだと感じていました。このメーカーのブースを訪れることがLight+Buildingの一つの大きな目的といっても過言ではありません。

    
図30、31 Viabizzunoのブース
知っている人にとってはお馴染みのViabizzunoの巨大な赤い花の屋外照明がブースの目印となっている。一歩間違えればただ笑われて終わりになってしまいそうな照明器具であるが、絶妙なバランスを保ちつつ違和感なくその場に決まっているから不思議である。

まず今回一番驚いたのが、ブースの入場制限です。一度に入れる人数が決まっておりブースに入るには行列に並ぶ必要があります。世界最大級の照明見本市で沢山のお客さんに器具を見てもらえるチャンスであるにかかわらず入場制限を行っているのです。これは自社のメーカーの魅力を分かってもらえる人にゆっくり見てもらい、よりコアなファンを獲得するためだと思います。単に混雑を避けるために入場制限をするブースは幾つか見たことがありますが、プロフェッショナルの間では充分に知名度のあるメーカーのブースでこういった運営をしているのは初めて見ました。


図32 Viabizzunoのブースの入場待ちの行列

もともと他のメーカーよりは少し尖がった照明器具を展開しているだけに、本当に好きな方だけに説明ができれば充分という手法が成り立つのだと思います。この手法が成り立つこと自体が今までのブランディングの成果であると思います。

ブースの内部に入ると決して大きなスペースではありませんが、独創的な照明器具がいくつも並びます。Viabizzunoでは昨今トレンドとなっているスリットタイプの照明システムにも早い段階で取り組んでいますが、今回のブースではそれらの目立った展示はありませんでした(一部パーツなどは展示してありました)。もっと新しいものを提案するという意思表示のように感じました。Viabizzunoでは押し出し材にLED照明を組み込んだスリムな照明器具が多く、それらをうまく活用して什器や建築に照明を組み込むというコンセプトを持った器具が多く見られました。

    
図33、34 Viabizzunoのブース内の様子
自社の照明器具を組み込んだ統一された什器の中に照明器具が陳列される。

    
図35、36 押し出し材とLED照明を組み合わせた手すり照明
照明器具自体が手すりの形状をしている。指で示した細いスリット部分にLED照明が組み込まれる。

    


図37~39 細い押し出し材のフレームにLEDを組み込んだ照明器具
使い手の発想次第でペンダントにもスタンドにも間接照明にもなる。ジャンルにとらわれない照明器具

    
図40、41 窓枠とLED照明が一体になった照明器具

    


図42~44 LEDライン照明を組み込んだガラスの什器
什器を引っ掛けるレールが電源になっており、什器を引っ掛けるとLEDが点灯する仕組み

    


図45~47 移動可能な屋外用スポットライト
ブース外の商談スペースに設置されている小型のLEDスポットライト。黒いロープのようなものの中に電源が通っており、スポットライトをどの場所に移動しても点灯できるというユニークなシステム。屋外用のライティングダクトのようなイメージ。器具を固定する際に細い針のようなものが電源に触れLEDが点灯する仕組みになっている。

ブースを一通り見終わった後で、商談ブースで飲み物でも飲みながらもう少しお話でもという事になりました。これ自体は会場で様々な商談が行われるLight+Buildingでは決して珍しい光景ではありません。その時に何気なく置かれたミネラルウォーターのボトルとグラスにもViabizzunoのロゴの刻印がさり気なくされています。しかもシールで貼っただけで済ませたような安っぽいものと違うのが粋なところです。ここまでのこだわりはなかなかお目にかかることはできません。さらに極めつけはおつまみとして出されたオリーブ、一口食べたらすごくおいしかったのでメーカーの方にそれを伝えると、そのオリーブは工場のすぐそばでスタッフが育てているものだそう。ここまでくれば驚きを通り越して感動です。


図48 ロゴが刻印されたグラスとボトル


図49 Viabizzuno自家製のオリーブ

照明の難しい技術的な事など抜きにして、きっとViabizzunoの工場やショールームに設計者やクライアントを連れて行くと素晴らしいプレゼンテーションをしてくれるに違いないという確信にも近い予感がします。建築照明において本来大事なのは光の質や性能なのだと思います。しかし、それらを超越して光というキーワードを媒介して照明、プロダクトデザイン、建築、ファッション、飲食、コミュニケーションまでも楽しんでしまおうという姿勢がViabizzunoのブランディングから伝わってきます。だからこそブースを訪れた人がViabizzunoのファンになってしまうのだと思います。

もう一つ、数あるブースの中でもPROLICHTというメーカーの光のブランディングも気になりました。このメーカーは照明器具のデザインや光の効果だけではなく、照明器具にカラーバリエーションという要素を加えてプレゼンテーションを行っています。


図50 PROLICHTのブース

ただ、色のバリーションを持たせただけでなく、色の組み合わせにキーワードや属性を持たせています。ポップなデザインの照明器具とそのコンセプトがぴったりマッチした好例だと思います。これは結果的にできたものではなく、デザイン、コンセプトワーク、マーケティング、プレゼンテーションなど多角的な視点から検討を繰り返し生み出された光の世界観だと感じました。Viabizzunoとはまた違ったアプローチの光のブランディングです。

    
図51、52 COLOUR THEME "ORGANIC"と題された展示

    

    
図53~56 COLOUR THEME "FLORAL"と題された展示

    

    
図57~60 COLOUR THEME "VIBRANT"と題された展示

このようなブランディングはまるで家電やアパレル、化粧品などのようです。こういった光のブランディングの先駆者はModularやFLOSではないかと思います。今回紹介した2社はそういった先駆者の良いところを吸収し、さらに昇華させ独自のスタイルを築いた良い例ではないでしょうか。先に紹介したBEGAやERCOのように、光の質を追求したスタイルはもちろん建築照明にとってなくてはならい存在ですが、ブランディングの力で色々なものをひっくるめたトータルな魅力で訴えかける照明が存在感を発揮していると感じました。

光のグラフィックデザイン

2012年のLight+Buildingから見られるトレンドですが、均一に発光するLEDライン照明や、幾何学的だったり有機的な形状をした面発光器具が前回以上に多く見られました。直付け器具、ペンダント、壁面や天井に埋め込むタイプなどバリエーションも豊富です。特に壁面や天井に埋め込むタイプの器具は、単なる照明器具としての機能だけでなく、光のアートやグラフィックデザインとしての存在感が大きいように思います。照明器具というよりは発光する素材という感じで、設計者や照明デザイナーがそれをどう料理するかという、これまでにはあまりなかったタイプの照明器具です。

    
図61、62 FLOSの発光するライン照明 MOON LINE

    


図63~65 XALの埋め込みタイプの面発光器具 TRAPEZ
ダウンライトのようにユニットを埋め込んで使う

    
図66、67 同じくXALの埋め込みタイプの面発光器具 CURVE
まさに光のグラフィックデザインというイメージの新しいスタイルの器具。

    
図68、69 acdcの埋め込みタイプの面発光器具 VISTAⅡ
IP67という屋外でも使用可能な器具仕様が嬉しい。

    

    
図70~73 様々な形状の面発光器具を取り扱うLightnetのブース

    
図74、75 Kreonの埋め込みタイプの面発光ライン照明

また面発光タイプの器具ではありませんが、ブラケットともスポットライトともフットライトとも取れるような照明器具をパズルのように組み合わせて、そこから発せられる光の配光パターンをグラフィックデザインやアートのように楽しむという提案が色々なところで見られました。

    


図76~78 独創的な照明器具が多く展開されているVibia
ブラケットライトの器具はSET、ライン状の器具はSparksというプロダクト。特にSETはその名の通りパズルのように組み合わせて使用することを前提としていると思われる。

    

    
図79~82 CINI&NILSのassoloシリーズ
円の内側の頂部にLED照明が設置されており、カットオフラインをうまく利用して美しい光の模様を生み出す。組み合わせて使用するとさらに美しい光の効果が生まれる。インテリアのみならずIP65の屋外用器具も用意されている。


図83 ModularのNukavというフットライトを短いピッチで並べたプレゼンテーション

面発光タイプの器具に関して言えば、以前は同じようなことをやろうとすると建築で照明用のボックスを用意してもらい、その中に照明器具を設置し、乳白アクリルやフロストガラスなどで覆うというとても手間とコストがかかる方法をとっていました。形や大きさに制約があるものの、面発光器具は施工の手間もコストも大きな負担がかかることなく同様の効果が得られることが魅力です。今年3月に、東京ビッグサイトで行われたLED Next Stage2014でも面発光するラインタイプのLED照明が多く見られましたが、Light+Buildingでは形状のバリエーションの豊富さや、屋外仕様の面発光ライン照明の存在が日本との大きな違いであると感じました。

また照明をパズルのように組み合わせて光で遊ぶ器具については、どのジャンルにも属さない新しいジャンルの器具だと感じています。通常の器具のように単体で使う事もできますが、ユニットのように組み合わせて使うとより魅力が高まるという、まさに使い手の自由な発想が試されるようなユニークに器具だと思いました。

その他気になったメーカーや照明器具

これまでに紹介したもの以外にも気になったメーカーや照明器具を画像を中心に紹介します。

VIBIA
既に一部の器具を紹介しましたがVIBIAというメーカーの展示が素晴らしかったので紹介します。前回のLight+Buildingでもそのクオリティの高さに驚きましたが、今回はさらに洗練されていました。建築照明に携わる我々にとって照明器具は、極力存在を感じさせないものとして考える傾向がありますが、VIBIAの独特の存在感がある照明器具は相性のよい空間で是非とも使ってみたいと感じます。


図84 VIBIAの ブース


図85 壁面直付けの小型棚と間接照明を組み合わせた器具

    

    


図86~90 コードの形状をユーザーがデザインするというコンセプトのペンダント Wiewflow

    


図91~93 間接照明のような効果も合わせ持つペンダント Cosmos

    
図94、95 屋外で使用できるベンチと照明を組み合わせた器具
使いやすいデザインでファニチャーと照明を一つで完結できることがありがたい。


図96 竹をモチーフにしたローポール照明 Bamboo
高さの種類も豊富で住宅から施設まで幅広く使える。

Artemideのグレアレスなオフィス照明
Artemideのブースで特殊なレンズとグレアレスルーバーによってまぶしさをほとんど感じないオフィス照明が展示されていました。

    


図97~99 Artemideのグレアレスなオフィス照明 Algoritmoシリーズ
ペンダントの他に直付け、フロアスタンドのバリエーションがあるのもうれしい。

Kreon
前回の展示でもミニマムなLED照明を数多く展開していたKreonのブースでしたが、今回はさらにミニマムとスリムにこだわった展示で目立っていた様に思います。LEDのコンパクトさ最大限に活かしているメーカーだと思います。


図100 Kreonのブース

    


図101~103 コンパクトなLEDダウンライトのシリーズ
一般的な丸型に加え角型のコンパクトなダウンライトがある。φ50、□50から展開されており、アジャスタブル、ウォールウォッシャーも同じサイズで展開している。このサイズになるとピッチが短くなっても点のようにしか感じない。天井仕上げとダウンライトのトリムの色を合わせるとよりコンパクトな照明に見せることができる。


図104 埋め込み、直付けが可能な極細のスリット照明

通常のスリット照明はスリット自体が細くても天井裏には大きなスペースがある場合が多いが、LEDのコンパクトさを最大限に活かしスリット自体を細くしているので直付け器具としても使用できる。

    
図105、106 スリムなスポットライト
垂直にすると直付けダウンライトのような形状になる直付けのスポットライト。ありそうでないタイプの器具であると思う。似たデザインで細い支柱に枝のようなスポットライトが取り付けられている器具も面白い。灯体自体がスリムだからこそ成り立つデザインである。

    


図107~109 石の素材とメタルを組み合わせたボラード照明
素材の組み合わせが美しいボラード照明。自立型の屋外照明はどうしても器具の意匠が見えるため過度な装飾は必要ないが見た目も重要である。側面に光が出るタイプのボラードも用意されており、サインや壁面を照らす手法にも利用できそうである。

FLOS
FLOSも前回の2012年の展示ではスリット照明や建築と一体となったSoft architectureシリーズを積極的に展示していましたが、今回はそれらの光の質をさらに上げた展示が見られました。


図110 FLOSのブース


図111 さらにグレアレスになったCircle of Light
円形の細いスリットの中に小型のLED照明が入っている。前回の展示でその斬新さに驚いたCircle of Lightですが、少し気になっていたグレアが完全に解消されており、より魅力的な器具へと進化した。

    
図112、113 透過するスクリーンを使った展示
透過するスクリーンに製品の動画を流し、そのスクリーン越しに製品を見るというプレゼンテーション。こうした新しい試みもFLOSらしい。

We-efの屋外用プロジェクタースポット


図114 屋外でも常設で使用可能なプロジェクタースポット
意外に屋外で常設使用が可能なプロジェクタースポットは少ない。デザインもシンプルで使い易い。

FontanaArteのデコラティブ器具


図115 FontanaArteのブース

    

    
図116~119 2種類の光が楽しめるデコラティブ照明 LUNEAIRE
2重の円の小さい円が出し入れできる構造になっており、小さい円の外周が発光する照明になっている。小さい円を引き出すと大きい円が間接照明のように照らされ、小さい円を押し込むと発光部分が後ろに突き出るので壁面が間接照明のように照らされる仕組み。

LED Linear
前回の2012年の展示を見て非常に驚いたメーカーです。面発光するライン照明を扱っているメーカーですが、そのライン照明がフレキシブルに曲げられたり、IP67、IP68といった厳しい屋外の設置条件でも使用できる仕様を備えた器具を展開しています。今現在でもその商品の数やバリエーションは業界トップではないでしょうか?前回は小さなブースでの展示でしたが、今回は展示ブースと商談ブースを2つに分けるなど好調ぶりが伺えました。今回も新しい製品が沢山展示されていました。

    
図120、121 LED Linearの展示ブース(左)と商談ブース(右)


図122 自在に曲げられる面発光ライン照明の特徴を表現した商談ブースのサイン


図123 色温度のバリエーションも他メーカーに比べ豊富である

SORAA
SORAAのLEDランプは日本でもウシオライティングが取り扱っているの既にご存知の方も多いと思います。LEDランプにマグネットを取り付け、様々なオプションをマグネットで取り付けるSNAP SYSTEMが特徴的です。VIVID COLORというタイプのランプはCRI95という非常に高い演色性を備えています。ハロゲンの代替光源として非常に使い易いLEDランプの一つではないかと思います。


図124 SORAAのブース


図125 SNAP SYSTEMの実演
マグネットを利用してランプの前面にオプションを取り付けることで配光、色温度、グレアカットなどが可能になる。

    
図126、127 他社製品(左)とVIVID COLORの演色性(右)の比較
右側のVIVID COLORの方の赤色が鮮やかに見える。VIVID COLORはCRI95に加えR9の特殊演色評価数(赤色の再現性を表す数値)も95であるため赤色を美しく見せる照明として適している。


図128 海外ではPAR38やAR111のLEDランプなども展開されており日本よりも種類が豊富

XICATO
XICATOのブースは毎回フランクフルトメッセの中庭に設営され、もうすっかりお馴染みの場所になっています。東京ビッグサイトで行われたLED Next Stageでもコイズミ照明のブースで展示があった新しいVIBRANTシリーズを中心としたプレゼンテーションが行われていました。


図129 中庭に設営されたXICATOのブース


図130 XICATOの新しい3つのモジュール展開
効率重視のStandardと高演色(Ra97)のArtistに加えて新しくVibrantが加わった。Vibrantの演色性はRa82であるが、照らした対象物の色が鮮やかに見えるという特徴があり、特に店舗などに適しているシリーズ。XICATOの従来のXSM、XLMといった LEDモジュールはそれ自体が防水性能を備えていたが、今回展示されているXIMモジュールはインテリア用に絞り、素材なども変更しコストダウンが図られている。


図131 白衣を着てプレゼンテーションを行うXICATOのスタッフ
ブース全体がラボのようなつくりになっており、スタッフは白衣を着てプレゼンテーションを行っていた。

alphaled
alpha ledはXICATOのモジュールを使用したダウンライトを展開するメーカーです。φ70、φ90、φ100といったコンパクトでグレアレスなダウンライトも扱っています。今回の展示ではトリムレスタイプの器具も展示されており、さらに選択肢が増え使いやすくなった印象です。先に紹介したXICATOのモジュールのバリエーションも増えたのでそれらをうまく活用したシリーズ展開にも期待したいところです。


図132 alphaledのブース


図133 ハニカムルーバー装着可能なダウンライト
ハニカムルーバーなどのオプションが装着可能なダウンライトはそれほど多くないため貴重な存在である。


図134 トリムレス施工が可能なダウンライト
建築と一体に見えるようにダウンライトと天井仕上げ材の境目を消すことができるダウライト。既に他メーカーでも存在するがXICATOのモジュールを搭載した器具でトリムレス加工できる点がありがたい。

STANLEY
STANLEYはLEDチップやデバイスを扱うメーカーですが自社のLEDを組み込んだ照明器具も展開しています。その中で1/2ビーム角が3度という超狭角の投光器が展示されていました。

    
図135、136 1/2ビーム角が3度という投光器
50wで中心光度が700,000cdとの事、100m先でも中心部は70lx程は出るということになる。タワーや超高層建築のライトアップでの期待が高まる。

まとめ

LED照明の更なる小型化やスリット照明、そして建築と一体化するシームレスな照明器具は前回の2012年よりもさらに増加し光の質(ここでいう光の質は、美しい配光や色温度、高い演色性、不快な眩しさを排除した光や器具などの事を指します。)も向上していました。これらの器具がこれからのスタンダードの一つになっていくと感じましたが、2012年と比較してトレンドに大きな変化はなかったように思いました。日本で行われているライティング・フェアやLED Next Stageでも同じことを感じましたが、現在のLED照明は明るさはもとより、光の質という点でも相当に高いクオリティまで到達しており過渡期に入っているように感じるときもあります。

だからこそ光に更なる付加価値を持たせる光のブランディングであったり、照明器具の枠にとらわれない光のアートやグラフィックデザインのような発想が生まれてくるのでしょう。近年日本でも注目されるようになってきた色温度可変のLED照明や、無線調光システムなども光に付加価値を持たせる同様の考え方だと思います。今回のLight+Building2014では LED照明の光の質をさらに高めるという流れに加えて、日本よりもさらに高いレベルの既成概念にとらわれない自由な発想で、光の質に何かをプラスαするというスタイルが動き始めていると感じました。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在も様々な空間の照明計画を行っている。
URL http://ripple-design.jp

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