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連載コラム

屋外用LED照明は新しいステージへ ライティング・フェア2017レポート

[ 2017年5月17日 ]

2017年3月7日~10日の4日間、東京ビッグサイトにて2年に一度開催される国内最大規模の照明展示会であるライティング・フェア2017が開催されました。

    
図1,2 ライティング・フェア2017 会場の様子

この2~3年、LED照明の性能も充分すぎるほど向上し、機能的(明るさや光の質)にも価格的(コストパフォーマンスの向上)にも頭打ち、過渡期に入っているのではという印象をこういった展示会からも受けていましたが、今回のライティング・フェアでは、その流れを打破するような新しいコンセプトを持った器具や、機能がアップデートされたもの、新しい展示手法などが多数見られ、久しぶりに発見の多いライティング・フェアでした。

見どころの多いライティング・フェアでしたが、今回は大きく分けて次の3つのトピックスに注目しました。

  1. 1. 屋外用LED照明は新しいステージへ
  2. 2. スリム・コンパクトタイプのLED照明が主役に
  3. 3. 器具(ハード)の展示ではなく、器具の使い方(ソフト)を提案したブースの増加

屋外用LED照明は新しいステージへ

1. 大光電機のZEROシリーズ

屋外用LED照明の分野は今回のライティング・フェアでは最も大きな話題だったのではないかと思います。これまでのコラムでも紹介してきましたが、日本のLED照明器具は海外の照明器具に比べ、屋外用照明のバリエーションが少ない(特に施設向け)という課題がありました。そういった背景がある中で、ライティング・フェアが開催される少し前に大光電機よりハイクオリティな施設向け屋外用照明のブランド「ZERO」シリーズが発表され、展示会が行われました。その展示会では練りに練られた製品群が展示され、久々に衝撃を受けました。
国内製品においてはこの分野ではパナソニックが展開している「Smart Archi」シリーズが長年トップランナーとして君臨し、ライバルらしいライバルがいない状態でした。Smart Archiシリーズは屋外用照明だけを取り扱っているわけではありませんが、ハイクオリティな施設向け屋外用照明を多数取り扱っており、照明デザイナーのみならず、建築家、設計事務所などからも広く認知されています。

今回発表された大光電機の「ZERO」シリーズは器具のデザインやラインナップ、カタログのデザインなど、長年不動のトップランナーであったパナソニックの「Smart Archi」シリーズに対して真っ向から挑戦状を叩き付けているような印象を受けました。それはいわゆるコピー商品、類似商品といったようなチープなレベルの話ではなく、正々堂々、正面から勝負を挑んでいる姿勢がはっきりと感じられ、清々しく感じられる程です。私が受けたイメージはこれまで業界的に不足していたジャンルの穴を埋める新しい屋外用照明器具の提案、そして既にあるものに対してはそれを上回る新しい提案しているというものでした。

ライティング・フェアではどのような展示が見られるか楽しみにしていましたが、先行して行われた展示会よりもさらにバージョンアップした展示が行われていました。

    
図3,4 大光電機のブース
これまでのブースデザインと異なり、落ち着いた印象を受ける。ブースの外側は高い壁に覆われ内部は見えない。

これまでの大光電機の展示ブースと言えば、設計者や建築家、インテリアデザイナーを強く意識した間接照明道場といったようなイメージでしたが、今回は「ZERO」シリーズのみに絞った展示となっており、新しい屋外照明にかける大光電機の意気込みを強く感じます。


図5 照度を落としたブース内の様子

外からは内部が見られないようになっているブースの中は、照度を落とし、所々に深いブルーの光をあしらいながら、夜の屋外空間をイメージさせる空間となっています。単に製品を展示するだけでなく、実際の使用例を見せながらのプレゼンテーションが効果的です。日本の照明展示会は商品を見せるために煌々と明るい展示ブースが多く、その影響で一番肝心な光の効果が良くわからないという事が良くありますが、ブース内の照度を落とすことで、新製品の照明効果を分かりやすく体感することができます。

新製品の中でまず注目したのが開口径φ75mmの軒下用グレアレスダウンライトシリーズです。昨今インテリア用ダウンライトの分野では開口径φ50~60mmのグレアレスダウンライトが登場し、注目を集めていますが、軒下のグレアレスダウンライトとなると開口径φ75mm以下のものもあるにはありますが明るさが不足していたり、開口径φ75mmがあったとしてもほとんどがベースダウンライトのみといった状況です。つまりこのジャンルは屋外用LED照明の分野ではまだ未開拓の分野であると言えます。照明設計者として2.5~3m前後の天井高さにおいて軒下用グレアレスダウンライトに求める条件は、明るさはローボルトハロゲン12v50wクラス以上、狭角・中角・広角の3種類の配光がそろっていて、レンズオプションなどが豊富にある、そしてベースダウンライトだけではなく、ユニバーサルダウンライト、ウォールウォッシャーが揃っている、といったところでしょうか。とはいえそれをすべて実現するのは容易な事ではないと思いますが・・・。

今回新しく発表された開口径φ75mmのグレアレスダウンライトシリーズは、ウォールウォッシャーはないものの、ベースダウンライト、ユニバーサルダウンライトが用意され、明るさもローボルトハロゲン12v85w型60w相当で明るさも充分で、配光も狭角・中角・広角の3種類ラインアップされています。加えて配光を微調整できるレンズオプションも豊富に揃っているうえに、軒天井の仕上げとしてよく使用される金属パネル素材に合わせて、ステンレス色のトリム(枠)になっています。通常の軒下ダウンライトは内部に風雨が入らないように下面ガラスでカバーされているのですが、そのガラスが汚れてしまったり、虫が侵入して見栄えが悪くなったりするという事に課題がありました。このダウンライトでは、光源ユニットとコーンや枠のパーツに蛇腹状の防水シリコンカバーを採用することで防水性を確保し、下面ガラスなしの構造を実現しています。照明設計者の要望をほぼすべて実現しているような魅力的な製品ではないかと思います。

    
図6,7 開口径φ75mmの軒下用ダウンライト
これまで少なかった開口径φ75mmの軒下用ダウンライト。なるほどと思うような工夫が随所にみられる。

新しい地中埋設照明ではLED照明一体型の器具と、ランプ交換型の2機種が用意されています。まず保護等級IP67という高い防水性能を実現しているという点が素晴らしく、国内の地中埋設照明で保護等級IP67の性能を有しているもの(水中照明は除く)はほとんどないと思います。また個人的にはランプ交換型のタイプの方に注目をしています。地中埋設照明はいったん設置してしまうと結露や不点灯など、不具合があった場合は容易に交換が難しく、器具自体も高価なものが多いため、器具を選定する際に非常に慎重になります。ランプ交換型の器具であれば、トラブルがあった際にランプ交換のみで対応できる場合が多くあります。また、この器具で採用されているLEDランプはE11口金の100V仕様になりますので専用電源(トランス)が必要ありません。これにより、機器の故障の可能性を一つ排除できる点も非常に気に入っています。この特徴を活かし、外に見える器具の直径はφ100mm、埋め込み深さ130mmというコンパクトなボディに仕上げています。ただし明るさには限界があるため、強い光が必要な場合はLED一体型のタイプが良いでしょう。LED一体型タイプの場合でも、使用している専用電源(トランス)は機器の内部に樹脂を充填(ZEROシリーズの専用電源はすべて)しているので、水の浸入による不具合の可能性を最小限に抑えられている点も評価できます。

    
図8,9 大光電機の地中埋設照明
図8(左)がLED一体型のハイパワータイプ、図9(右)がLEDランプ交換型のコンパクトタイプ


図10 照明器具の保護等級について(著者作成)
保護等級がIP67、IP68クラスの器具になると粉塵や水に対して極めて高い耐久性を持つ器具と言える。

地中埋設照明で見られたLEDランプの採用はブラケットでも見られます。ランプと器具というシンプルな構造にとても好感が持てます。昨今、新しく登場するほとんどの器具はLED一体型の器具が多いため、ランプ交換型の器具のメリットをよく考えて投入された新製品はとても新鮮な感覚を覚えました。


図11 ランプ交換型のブラケット
ランプの照射角度を微調整することができる。

さらに嬉しいのが、ちょうど良いサイズ、ちょうど良い明るさ、ちょうど良い価格、そしてシンプルなデザインのフットライトが登場したことです。これは私だけかもしれませんが、屋外用のフットライトを探す際にちょうど良いものがなく、いつも悩みます。今回発表されたZEROシリーズのフットライトはそれらをすべて網羅しているような気がします。


図12 ZEROシリーズのフットライト
面発光と光源が見えにくいバッフルタイプ、さらに正方形タイプ、横長長方形タイプの4種類。この4機種に絞っている点も好感が持てる。

新しく開発されたスポットライトは最初に見たときには、コンパクト化の流れにある現在においてすこし器具が大きすぎないかと思いました。パナソニックのSmart Archiシリーズにも同様のジャンルのスポットライトがありますが、それを意識しての事かと思いました。よくよくメーカーの話を伺ったところ、昨今の大規模施設に使用される屋外照明においては、その安全基準が非常に高くなっており防水性能はもちろん、高所に設置した際の耐風圧力が高くなければ、そもそも器具選定の土俵に上がれない場合があるとの事。このスポットライトはどんなプロジェクトでも採用可能なように堅牢性を十分高めた作りになっているからこその形状のようで納得しました。そういった条件から器具の性能、使用、デザインが決まってくるとはあらゆる状況に対応しなければならない現代ならではの事情であるなと感じました。

そしてもう一つ素晴らしいと思ったのは会場で配られていたZEROシリーズのカタログです。大光電機は近年カタログのデザインに非常に力を入れており、その見やすさや使いやすさは業界でもトップレベルではないかと思います。ZEROシリーズのカタログも素晴らしい出来栄えなのですが、なかでもカタログで使用されている写真がとても良いと思いました。器具の使用例などはCGが用いられることも多いですが、新しいシリーズにも関わらず、実際に器具を使用した事例の写真がしっかりと掲載され、事例写真だけでなく、器具自体の写真なども非常に丁寧に撮影されていて、製品のコンセプトなどが分かりやすく伝わってきます。カタログのデザインは製品のデザインと同じくらい重要なものであると改めて感じます。

こういったハイクオリティな屋外LED照明のシリーズは、照明業界全体に良い刺激と競争をもたらしてくれるものと期待しています。

2. LIXILの屋外用LED照明

建築照明デザイナーが開発に携わっている事でも注目が高まっているLIXILの屋外用照明ですが、建材メーカーで知られるLIXILが手掛ける屋外用照明「美彩」シリーズのクオリティの高さに驚きました。普段私自身がこんな器具があったらいいなと思っていたり、なぜここを改善しないのだろうと思っているような事が実現されているものが多くありました。まずは製品全体が非常にコンパクトです。屋外照明は堅牢性、防水性などが求められるため、どうしても野暮ったいサイズ(少し大きい)になってしまいます。大きな施設であればそれでもすんなりマッチしますが、住宅や小規模な店舗などではスケール感が合わない事が多くあります。LIXILの美彩シリーズはまさにそういったプロジェクトにピッタリのサイズ感で、デザインもクセがなくシンプルでどんな空間にもマッチしそうです。またどんな手法にも対応できるように器具のバリエーションも豊富で、建築家や照明デザイナーの要望も十分満たすことができる品揃えとクオリティです。


図13 LIXILのブース

    

    

    

    
図14~21 コンパクトでシンプルなデザインの「美彩」シリーズ

美彩シリーズの素晴らしいところは器具のデザインや光の性能だけでなく、専用電源(トランス)の設置方法や、配線の施工性に多くの工夫がみられることです。器具をコンパクトにするとLED照明の場合はどうしても専用電源(トランス)を別置にする必要性が生じます。美彩シリーズでは壁付タイプ、地中埋設タイプ、埋設タイプの専用電源(トランス)が用意されており、しかもそれを複数の器具で同時に使用できるようになっています。これまでもコンパクトな屋外用LED照明はいくつも登場していますが、私自身は器具1台に対して専用電源(トランス)が1台必要で煩わしかったり、専用電源(トランス)の設置場所が確保できなかったりという理由で導入を断念することが少なくありませんでした。このシステムだと難しいことは考えず、コンパクトな器具を躊躇することなく導入できそうです。


図22 埋設用電源(トランス)に接続する器具
一台の埋設用トランスで60wの容量があり、複数の器具を接続することが可能。

配線にも工夫が見られます。一般的に住宅で地面に突き刺して使用するスパイク照明のほとんどはキャブタイヤケーブルに屋外用コンセントが付属したものになります。これは3~5mの長さのものがほとんどなのですが、実際に照明計画を行うとこの仕様では長さが足りず、ケーブルを延長しなければならないという問題が生じます。むしろそのケースの方が多いくらいです。そういった場合はケーブルを切断し、新しい配線を結線し結線部分はジョイントボックスなどで保護するというやり方になりますが、この手法はメーカーの保証の対象から外れるケースが多くなります。それならば、という事でコンセント仕様になっていない器具を探そうとすると、特に住宅向け照明ではそのような器具はほとんどありません。このような仕様になっているのは、もし結線部分などに水が浸入し不具合が生じた際にメーカーと施工者の間で責任の所在が曖昧になってしまう事を防ぐためだと思われます。美彩シリーズの器具では、キャブタイヤケーブルの先端に防水コネクタが採用されており、専用のジャンクションボックス内でコネクタ接続することにより配線の延長ができたり、そのまま屋外に転がしておける専用の防水ジョイント(保護等級IP67)も用意されています。

まさに設計者が現場で直面する問題に対する的確な回答が用意されています。こういったところに単にデザインにこだわっただけではない本気度を感じます。


図23 美彩シリーズの屋外用LEDライン照明

通常は器具裏から器具を挟み込むような形になっている取り付けクリップが、器具を横から取り付けられるようになっている取り付けクリップ。器具を設置できるスペースはあっても施工者の手や工具が入らないことで間接照明が取り付けられないという話もよくある事。横付け可能なクリップがあることで、クリップ自体の取り付けが楽になるうえ、メンテナンス時の器具の取り外しも容易になる。こういった細かい部分もなるほど思う。

3. 海外メーカーの屋外用LED照明

前述のとおり、海外では日本よりも屋外用LED照明が充実していますが、海外メーカーの製品を日本のメーカーが販売するといった新しい展開も今回のライティング・フェアでは見られました。

ライティング創

ライティング創では特に屋外用照明で定評のあるドイツのWe-ef社の器具を取り扱うようになったとの事で、We-ef社の器具がいくつか展示されていました。もともとライティング創はホテルや店舗などに適したコンパクトでハイクオリティなLED照明が得意分野でしたが、屋外照明が不足していたのでその弱点を補う意味でのパートナーシップという事なのだと思います。今後の展開が気になります。


図24 ライティング創のブース

    
図25,26 We-ef社の屋外用LED照明(ブラケット、地中埋設照明)

    
図27,28 We-ef社の屋外用LED照明(スポットライト)

LUCI(JAPAN SHOPに出展)

LEDテープライトなど、主に間接照明の分野が専門のLUCI(LUCIはJAPAN SHOPでの出展)でも新しくドイツのLEDライン照明メーカーであるLED LINEARとパートナーシップを結び、日本国内でLED LINEARの製品を販売する事となりました。LED LINEARの器具の最大の特徴はこれまでもこのコラムでたびたび紹介してきた面発光タイプのフレキシブル照明を屋外で使用できるという事です。LED LINEARは面発光タイプのフレキシブル照明にいち早く着目し、多くの器具を発表してきました。その照明を国内で使用できるようになったという事は大きなニュースです。


図29 LUCIのブース(JAPAN SHOPの会場にて)


図30 LED LINEARの取り扱いに関する告知
LED LINEARの存在を知っている人からすればもっと扱いが大きくてもいいようなニュースである。

    
図31,32 LED LINEARの器具
面発光でフレキシブル(曲げられる)、さらに屋外で使用可能というLED照明。

LED LINEARといえば保護等級IP68の防水性能を有する器具もありますが、今回展示されたのはIP67の照明でした。(それでも充分すぎるほど優秀な防水性能ですが)本国ドイツのカタログやHPに掲載されている器具の多くは日本でも使用可能との事ですので、詳細は直接相談してみると良いでしょう。

SD Lighting

以前よりドイツのMeyerというメーカーの屋外用照明を取り扱っているSD Lighting。地中埋設照明、ライン照明、スポットライトなど様々な屋外用LED照明のバリエーションがあります。特に10度以下の狭角配光のスポットライトが豊富であることが魅力です。


図33 SD Lightingのブース

    
図34,35 SD Lightingで取り扱っているMeyerの器具
様々な器具、様々な配光のバリエーションが存在する。ハイパワーな器具だけでなく、コンパクトな器具もあり、日本市場との相性も良いと思われる。

4. 屋外用RGB照明(白色チップを搭載したRGBWなども含む)

屋外用のLED照明でカラー演出可能なRGB照明と言えばフィリップスカラーキネティクスなどが真っ先に思いつくところではないかと思いますが、今回はスリムな面発光ライン照明タイプや、コンパクトなスポットライトなどが見られました。

エイテックス

国内では保護等級IP67の防水性を有する高性能な屋外用LED照明を数多く取り扱っているエイテックスでは単に面発光するだけでなく、さらに曲げることも可能なフレキシブルタイプの屋外用RGB照明「フルカラーテープライトディフューザ―」が展示されていました。現在製品化に向けて開発中との事で製品化が楽しみです。(年内中には発売予定との事)

    
図36,37 フルカラーテープライトディフューザ―の展示(製品は開発中)
曲がる屋外用RGB照明。様々な演出の可能性が広がる。

FEELUX JAPAN(以下FEELUX)

韓国発のLEDライン照明を数多く取り扱っているFEELUXでは、これまでインテリア向けの製品を主に取り扱ってきましたが、新しく保護等級IP66の屋外用RGBタイプのLEDライン照明「FLX Stix ODV」を発表しました。屋外用であるにも関わらず、ここまでスリムで面発光するRGBタイプの屋外用ライン照明は他にはあまりないと思います。

    
図38,39 FEELUXのブース
新製品の「FLX Stix ODV」を前面に押し出したブースデザイン。

    
図40,41 新製品の「FLX Stix ODV」
器具端部から出ているコネクタを使って器具を連結する。

アイ・スペック

アイ・スペックで取り扱っているチェコ発のANOLIS(アノリス)というメーカーの屋外用RGB(RGBWも含む)照明も日本では見かけないコンパクトなスポットライトがあり、新鮮でした。


図42 アイ・スペックのブース


図43  ANOLIS(アノリス)の屋外用RGBWスポットライト「ArcSource Outdoor 4MC」

カラー演出が可能な屋外用スポットライトの中では非常にコンパクトなボディで、フード、スパイク、アームなどオプションも豊富。RGBWタイプの器具なので白の発色も美しい。保護等級IP67という高い防水性能も魅力。

    
図44,45  ANOLIS(アノリス)の屋外用RGBドットライト「ArcDot」
ファサードの演出などに使えるドット照明。専用のシステムと組み合わせることで映像表現も可能。通常、ファサード照明でRGBのドット照明を実現するには、テープライト状の器具や、建築化照明として照明ボックスを作るなど手間が非常にかかる手法であるが、このドットライトであれば器具だけで完結できる点が非常に良い。保護等級はIP65。

トライテラス(JAPAN SHOPに出展)

JAPAN SHOPでブースを出展していたトライテラスでもフレキシブルタイプ(曲げられる)屋外用RGB照明が展示されていました。建築照明のみならず、サイン・ディスプレイの分野でも重宝されるでしょう。


図46 トライテラスのブース

    
図47,48 トライテラスのフレキシブルタイプの屋外用RGB照明

フィリップスカラーキネティクス(フィリップス ライティング ジャパンブース内)

RGB照明の老舗ともいうべき、フィリップスカラーキネティクスではより白色の美しさにこだわったIntelliHue(以下インテリヒュー)というシリーズが展示されていました。インテリヒュータイプの器具には赤-オレンジ、緑、青、ミントホワイトという4色が搭載されており、それにそれぞれのチップの出力を最適に調整するクロマシンクアルゴリズムを採用することでより高精細で美しい色を出力することができるそうです。以前はカラー演出が可能なスタンダードタイプと、色温度のみ変えられる(2700K~3500K)iWシリーズという器具がありましたが、この機種の登場で通常のカラー演出に加え2000K~10000Kの電球色から白色の調整が可能になりました。さらにその色温度は黒体軌跡上の色を正確再現することが可能な上、黒体軌跡から、プラスやマイナス方向に色温度を微調整することも可能になりました。この機能があれば他社のどんな照明器具の色味にも合わせることができそうです。そして演色性も向上し、2700K時、4000K時のいずれも約Ra93という高演色になっています。従来のスタンダードタイプとiWのいいところを合わせてさらにアップグレードしたような何でもできる器具になりました。


図49 フィリップス ライティング ジャパンのブース


図50 RGBにミントホワイトのチップを加えたIntelliHueシリーズ
高精細な色彩表現と、細かな色温度調整が可能(2000K~10000K)


図51 フィリップスのクラウド上のシステムから照明を操作できる「ActiveSite」
このシステムにより、クラウドにアクセスできる環境であれば、世界中どこからでも照明器具を操作できたり、照明器具の動作状況、異常などを遠隔地から確認する事が可能になる。

コンパクト・スリムな照明が主役に

これまでは比較的静かなブームであった開口径φ50~60mmの極小ダウンライト、コンパクトなスポットライト、スリムなライン照明などが、今回の会場では主役級の存在感を放っていました。LEDの発光効率向上、放熱技術の向上、レンズ・反射鏡制御技術の向上、電源(トランス)のコンパクト化など様々な技術の進歩を経てLED照明は本来持っていたコンパクトさという特徴を今、最大限に発揮しているように思います。

山田照明

コンパクト・スリムという事においては今回のライティング・フェアの中で最も強いこだわりを感じたのが山田照明です。以前のコラムでも紹介しましたが、昨年新しくリニューアルされたショールームでもコンパクトな照明器具を前面にアピールした展示内容でしたが、さらにバージョンアップした新しい製品が見られました。ブースは主に開口径φ50mmのLINE50シーズ、幅16mm、高さ64mmのペンダントBladeline Finch、40mm×40mmのフロアスタンド照明STICKなどから構成されています。また、それらが山田照明のオリジナル無線照明制御システムECO wineによってコントロールされています。コンパクト×無線制御というまさに最先端のコラボレーションです。ブースの奥に進んでいくと屋外をイメージした空間が広がっています。そこではスリムでありながら電源(トランス)内蔵という屋外用スポットライトCompact Spot 35シリーズが展示されています。展示されている物のすべてがコンパクト、スリムという事に徹底的こだわりながら、さらにはそこに無線照明制御とタスク&アンビエントの考え方も組み込んで光の質も追及しています。


図52 山田照明のブース

    
図53,54 幅16mm、高さ64mmのペンダントBladeline Finch
レンズで配光制御されたLEDユニットや、極細のLEDライン照明を組み込み込む事が可能。さらにアッパー&ダウン、ダウンのみ、アッパーのみといった選択も可能。天井には開口径φ50mmのLINE50シーズダウンライトも多数展示されている。

    
図55,56 無線照明制御システムECO wineにより色温度が変化する40mm×40mmのフロアスタンド照明STICK
この他にもレンズで配光制御されたLEDユニットを組み込んだものなど様々なバリエーションがある。


図57  Compact Spot 35シリーズ
φ35mmという細いボディの中に電源(トランス)を内蔵することで100Vで使用可能なコンパクトなスポットライト。配光は20°、36°が用意され、直付け、スパイク、ブラケット、ローポール、ハイポールとバリエーションも様々。調光も可能という、これまでにない新しいスポットライトのスタイルである。

ライティング創

もともと他社に先駆けてコンパクトなLED照明に取り組んでいたライティング創ですが、新しくスリット照明システム「LINEAR SLIT」シリーズを発表しました。ヨーロッパなどではLEDのコンパクト化に伴い、細いスリットの中にスポットライトやライン照明を組み込んだ照明システムが増えていますが、(過去のLight+Buildingのコラムをご参照下さい)日本ではまだあまり見かけることのない新しいシステムです。スリットの中には、ダウンライト、スポットライト、ライン照明が設置可能です。配光制御されたLED4連のLEDユニット(8w)とさらに光量が強い8連のLEDユニット(16w)があり、ダウンライトの役割を果たします。配光も狭角、中角、広角がそれぞれ用意されているので、どんな空間でも対応ができそうです。スポットライトはダウンライトのユニットがそのまま飛び出したような長方形の形状が特徴的です。こちらはダウンライトの4連のユニットと同じ8wで配光も狭角、中角、広角が用意されています。ダウンライト、スポットライトともに、光源ごとにカットオフアングルをしっかり確保しているため嫌なグレアなどは感じません。拡散光や、輝度で見せる光のラインが欲しいときはライン照明を用います。長さは500mm、1000mm、1500mm、2000mmの選択が可能です。こういったスリム・コンパクトでさらに建築と一体化するような照明が登場すると、空間の照明はこれだけで完結してしまうのではないかと思えてきます。

    
図58,59 スリット照明システム「LINEAR SLIT」シリーズ

aeco light

aeco lightはTONSなどの海外製の照明の販売を行うと共に、自社でもLED照明の開発販売を行っているメーカーで、その製品群の多くはLEDのコンパクトさを意識したものが多いのが特徴です。特に新しいトピックスとしてライティング創でも見られたようなスリット照明システム(スリット幅37mm)が展示されていました。


図60 aeco lightのブース

    
図61,62 aeco lightのスリット照明
ダウンライト、スポットライト、ライン照明の機能を持つユニットを自由に組み合わせることができる。スリット幅は38mmで、天井内に埋め込むことはもちろん、天井直付け、ペンダントとしても使用可能。スリット幅は37mmというスリムさ。


図63 トリムレス仕様のダウンライト
ダウンライトをトリム(枠)をなくし、建築と一体になっているように見せることができるトリムレスダウンライトシリーズ。

    
図64,65 配光を変えることができるコンパクトスポットライト

    
図66,67 その他にもコンパクトなLED照明のバリエーションが豊富なaeco light

LUCI(JAPAN SHOPに出展)

今回はJAPAN SHOPでの出展のみとなったLUCIでは、面発光タイプのスリムなLEDライン照明としては定番の一つになっているシルクスから、新しく100V仕様のシルクスが登場しました。これまでは電源(トランス)一体型で100Vで使用可能なLEDライン照明と言えば、幅、高さともに30mm前後が最少サイズであったと思います。この新しいシルクは18.2mm×18.2mmというサイズで100V仕様を実現しています。これはLEDライン照明の分野においてはかなりセンセーショナルな製品だと思います。明るさは控えめの1m当たり800~900lm程度(色温度によって異なります。)逆に明るさが控えめな分、直接輝度を見せる照明としても重宝しそうです。調光は残念ながら不可となっています。


図68 シルクス100V
長さ(99mm~1443mm)や色温度(2400K~4200K)のバリエーションも豊富。


図69 シルクス100V 横付用の取り付けクリップ
LIXILでも紹介した横付のクリップがシルクス100Vでも採用されている。このクリップがあることで施工性が格段に上がると思われる。

またJAPAN SHOPのみの出展となったことについてメーカーの方に伺ったところ、JAPAN SHOPの方がより多くのジャンルの方の目に留まるチャンスが増えるという事からの決断だったそうです。ライン照明やテープライトに特化しているLUCIのような専業メーカーは、建築空間だけにとどまらずサイン、ディスプレイなど様々な分野で活躍する事ができます。また、ライティング・フェアには行かないけれどJAPAN SHOPには行くという建築家やインテリアデザイナーもたくさんいる事でしょう。LUCIを知っている照明関係者はJAPAN SHOPにブースがあっても当然見に行くわけですし、新たなチャンスを開拓するという意味において、自社の特徴を活かした非常にクレバーな選択だと思います。

アイ・スペック

先程も紹介したi-specで取り扱っているGantomという海外メーカーの照明が非常に気になりました。私は恥ずかしながら初めて耳にしたメーカーでした。手のひらに乗るような小さなLEDスポットライトを多数取り扱っていて、それぞれにカラーフィルターやゴボを取り付けることができ、小さいながらも本格的な照明演出が可能です。保護等級IP65~68のものが揃っていて、屋外でも使用可能です。DMX制御に対応したタイプもあるので、この器具を使えば様々な新しいアイデアが浮かびそうです。日本には比較できる製品がないのではないかと思うほど素晴らしい製品であるにも関わらず、ひっそりとした展示だったのが非常にもったいなく感じました。

    
図70,71 Gantomのコンパクトスポット
本格的な舞台照明をそのまま手のひらサイズにしてしまったような器具。しかも屋外でも使用可能。

遠藤照明

遠藤照明からは新しいグレアレスダウンライトが出展されていました。一般的なミラーコーンに加え、よりグレアレスなブラックコーンを使用した機種も用意されているなど、こだわりを感じます。グレアレスダウンライトの中には開口径φ50mmのコンパクトタイプも含まれています。3000Kと2800Kの2種類の色温度があり、2800KタイプはRa98の高演色タイプとなっています。ベースダウンとユニバーサルダウンがあるので、どんな状況にも対応可能です。遠藤照明からもコンパクトタイプのグレアレスダウンライトが登場したことで、今後はこの分野の競争がさらに激化しそうです。


図72 遠藤照明の開口径φ50mmのグレアレスダウンライト
ハロゲン110v50wクラスの明るさ。もうワンランク上の明るさがあるとさらに使い易くなる。

パナソニック

パナソニックのブースでは、あまり目立ちませんでしたが開口径φ55mmのコンパクトグレアレスダウンライトが展示されていました。このダウンライトの特徴は100形と150形の2種類の明るさが用意されている事、そして0%~100%の調光が可能という点です。100形で他社のハロゲン12v50wクラスと同等の明るさ、150形のタイプはそれ以上の明るさが得られます。(150形、28度配光、2700Kの中心光度2547cd)この明るさと0%~100%調光というスペックは数あるコンパクトグレアレスダウンライトの中でも頭一つ抜きに出ている存在です。


図73 パナソニックのブース

    
図74,75 パナソニックの開口径φ55mm、コンパクトグレアレスダウンライト

ウシオライティング

様々な新製品があったウシオライティングのブースですが、中でも特に気になったのが100v仕様の棚下ダウンライトです。棚下ダウンライトと言えば薄型であるものの、ハロゲンランプの時代からトランスが必要なものが多く、施工の手間やその置き場所に頭を悩ませることがありました。この棚下ダウンライトであれば器具だけで完結できます。しかも面発光する拡散光タイプで嫌なグレアを感じることもありません。棚下だけでなく、懐がほとんどない廊下などではダウンライトとしても使用できそうです。


図76 ウシオライティングのブース


図77 電源(トランス)不要の100v使用の棚下ダウンライト
穴径φ60mm、埋め込み深さ30mmというコンパクトさ。演色性がRa95というのも嬉しい。参考出品されてた展示品は白熱電球の色温度変化(光を絞ると色温度が下がる)を模した調光調色タイプ。単に電源不要でコンパクトというだけでなく、光の質にも抜かりがない所にこだわりを感じる。

器具(ハード)の展示ではなく、器具の使い方(ソフト)を提案したブースの増加

日本の照明展示会では器具を陳列し、器具そのもの機能や特徴を来場者に見てもらうというハードを見せる手法が多いように思います。海外の照明展示会ではメーカーごとに毎年大きなコンセプトが設けられ、その大きな流れの中で自社の器具を使った空間づくりを行い、そこで器具の使い方の提案(ソフト)を見せる展示が主流です。日本では空間のイメージよりも明るさなどの性能、型番や値段など具体的なハードの情報をユーザー側が欲している傾向があるので、その違いも致し方ない部分はありますが、この数年欧米スタイルのコンセプトやストーリーを重視した展示ブースの存在が増えつつあります。

トキ・コーポレーション(以下TOKISTAR)

世界の照明展示会の経験が豊富なTOKISTARは、いち早く欧米スタイルのプレゼンテーションを取り入れ、前回の2015のライティング・フェアではカジノをコンセプトとしたブースデザインで一際注目を集めていました。今回のTOKISTARのブースは「光で遊べ!」というテーマのもとに前回から大幅にグレードアップしたプレゼンテーション、ブースデザインで会場では前回以上の大きな注目を集めていました。


図78 トキ・コーポレーションのブース

まず、今回はライティング・フェア開催前から来場者を楽しませようという試みがありました。通常関係者には事前にライティング・フェアの招待状が送られてくるのですが、それはオフィシャルの封筒に入って送られれてくるため、どのメーカーもパッと見同じ招待状に見えます。TOKISTARの招待状は完全にオリジナルのものをパッケージから作成し、その招待状には小さなLEDの光源が入っていました。銀河系の光がブラックホールに飲み込まれ、宇宙が闇の世界になってしまったので、そのLEDを会場のTOKISTARブースに来て点灯させることで銀河系に光を取り戻そう、というストーリーだそうです。こういった試みは今までに例がなく、特別な印象を受けるため、自然と会場やブースに足が向いてしまう非常に秀逸なアイデアだと感じました。また、事前に今回のブース制作のメイキング映像(https://www.youtube.com/watch?v=7zgXIapNypc)を編集したムービーをSNSを使って拡散させ、期待感を煽るという手法も今までにない試みだったと思います。

    
図79,80 事前に送られてきた招待状とLED光源

実際、ブースにはたくさんの人がブースを訪れ、ブースの光を失った銀河を模した壁面には次々とLEDがはめ込まれ、光を取り戻していました。私が最後に見たのは最終日の午前中でしたがほぼすべてのLEDが銀河にはめ込まれていました。

    
図81,82 光を失った銀河を模したパネルにLEDをはめ込む
図81(左)は2日目の状態、図82(右)は最終日の状態。ブースに訪れた来場者の数を視覚的に見せることで、スタッフの士気も高まる。

その他にも銀河系に光を取り戻すというストーリーのもと、光を使って遊ぶというコンテンツがいくつも用意されています。それが単に遊ぶだけでなく製品の特長をうまく活かした内容になっているため、遊びながら光の効果、TOKISTARの技術力の高さを直感的に感じることができます。

    
図83,84 READ MEと題されたコンテンツ
配光の違う2種類の光を使い分けて微妙な凹凸のある壁面の文字を読み取る。図83(左)は柔らかな伸びのある拡散光が特徴のライトヴェール。間接照明では拡散光でかつ伸びのある光を作ることは非常に難しい。一方、図84(右)はレンズ制御された狭角配光の光を連続させているトキラックスWGを使用しているため、光は遠くまで飛ばせるものの、小さな凹凸は拾いやすい。そのために文字が浮かび上がる。


図85 壁面を柔らかく照らすライトヴェール
図83の壁面を照らしているライトヴェールの光は一見面発光タイプの拡散光に見えるが、実は反射鏡制御された小さな光を連続させたもの。小さなウォールウォッシャーダウンライトが連続しているイメージ。だからこそ拡散光でありながら伸びのある光が実現できる。

        
図86~88 SHOOT MEと題されたコンテンツ
超狭角配光のフォーカルスポットに偏光レンズを組み合わせて、壁面に描かれた宇宙人を一網打尽にするという遊び。図86(左)は光が二つに割れてしまう配光。図87(中央)はもう一息で一番上の宇宙人まで届かない。図88(右)は伸びのある細い光ですべての宇宙人を貫くことができる。


図89 フォーカルスポットと偏光レンズ
SHOOR MEのコンテンツで使用されていたフォーカルスポットと偏光レンズ

他にもたくさんのコンテンツや展示が用意され、その随所にTOKISTARの高い技術力を感じることができました。昨今どの業界においても体験というものに価値を見出しているように思います。コンセプトやストーリーにこだわりながら、さらに体験という付加価値を盛り込んだTOKISTARのブースは細かい話を抜きにしたメーカーとしての総合力を見せつけられた気がしました。

DNライティング

間接照明に特化したDNライティングのブースでは新しい色温度可変のLEDライン照明HAS-LED-FPT(2400~5000K)を用いた空間演出が目を引きました。間接照明の専業メーカーらしく、照明器具を見せず間接照明の光のみで語るブースデザインが非常に良かったと思います。


図90 DNライティングのブース

    

    
図91~94  色温度可変のLEDライン照明HAS-LED-FPT(2400~5000K)を使った間接照明のデザイン
天井部分のミラーの映り込みで視点によって効果が倍になって感じられたり、空間が広く、高く感じる。

    
図95,96 幅8mmの極細LEDライン照明XC-LEDを使った間接照明のデザイン
器具のスリムさを活かし、棚の木口に器具を仕込んだ間接照明。

エイテックス

前回に続き今回もデザイナーの橋本由紀夫氏によるブースデザインが一際会場で存在感を放っていました。先にも紹介したフレキシブルタイプの屋外用RGB照明「フルカラーテープライトディフューザ―」を用いてタンポポの花がコンセプトになっているそうです。曲がる、色が変わるという器具の特徴を明快かつシンプルに表現したブースデザインです。一目見たときは「なんだこれは!」とちょっとびっくりしますが、見た人は必ず立ち止まってぼんやり眺めてしまいます。やがて緩やかな変化に心地よくなってしまうから不思議です。前回に引き続き大胆なコンセプト一点集中のこのブースデザインは今後ライティング・フェアの名物になりそうです。

    

    
図97~100 エイテックスのブース
フレキシブルタイプの屋外用RGB照明「フルカラーテープライトディフューザ―」を使ってデザインされたタンポポの花

大光電機

ブースを壁で覆い、ブース内の照度を落として屋外空間に見せる演出は、屋外照明の新ブランドZEROシリーズのプレゼンテーションに最適な空間でした。


図101 大光電機のブース

遠藤照明

「光の解剖展」と題したブースでは、人が好む照明手法はどちらなのか?という実験的試みがなされてたり、新しいブラックコーンのグレアレスダウンライトの効果を最大限に感じてもらうために用意された真っ黒な空間など、これまでの遠藤照明とは一味違ったブースの構成が新鮮でした。


図102 遠藤照明のブース


図103 壁面の間接照明とダウンライトという手法が異なる2つのエントランス

    
図104,105 ブラックコーンのグレアレスダウンライト
普通の視線の高さではどこから光が照射されているかわからない。(図104)照明に近づき下から覗き込むようにするとようやく照明の存在が確認できる。(図105)


図106 グレアレスダウンライトの展示
先にブラックコーンの効果を体験してから器具の陳列を見るとより興味が高まる。


図107 遠藤照明が掲げる新しいコンセプト「エシカルライティング」
エシカルとは「倫理的」という意味。光の手法、質、制御そういった技術を高度に絡み合わせて、「人と地球にやさしい未来の光」を目指すという意味が込められている。

ルートロンアスカ(以下ルートロン)

ルートロンのブースではホテルのゲストルームにターゲットを絞った照明制御システム「myRoom」を中心とした展示がされていました。「myRoom」システムはゲストルームの調光制御のみならず、空調やカーテンの開閉などもコントロール可能です。
ルートロンのブース自体がホテルのゲストルームの一室のようにデザインされていて、図解や器具を見るだけでは理解が難しい照明制御システムの話を実際に触れて体感する事で直感的に理解する事ができます。各部屋独立した照明制御の「myRoom Prime」とホテル全体で各部屋のシステムを管理する事ができる「myRoom plus」があります。


図108 ルートロンのブース


図109 ホテルのゲストルームそのもののブースデザイン


図110 照明の調光やカーテンの開閉はこのPALLADIOMキーパッドで行う


図111 様々なデザインと機能があるPALLADIOMキーパッド

    
図112,113 PALLADIOMキーパッドは室内が暗くなるとバックライトが消える
就寝時等にキーパッドの輝度が気にならないようにとの配慮。

    
図114,115 タブレット端末による操作
PALLADIOMキーパッドだけではなく、専用のソフトを用いればタブレット端末で操作も可能。室内のパースの操作したアイテムをタッチするだけでコントロールができる。写真はタブレット端末でカーテンとロールスクリーンを操作している様子。

パイフォトニクス

パイフォトニクスはホロライトと呼ばれる特殊な照明で知られているメーカーです。ホロライトはレンズによる光学制御で四角の光(平行光)や曲がる光など、他では見られない特殊な光を生み出します。こちらのブースは従来通りの器具を陳列して各々光を見せるというスタイルではあるのですが、扱っている光が特殊であること、それぞれの器具の特徴を活かした圧倒的物量と光量で演出されたブースは毎回問答無用の迫力と説得力があり、個人的に非常に好きです。ハードとソフトがいい意味で相乗効果を発揮している好例だと思います。ブースに行けばこの器具はこんな光です!という事が一目で分かります。すべての光がレンズで制御された細い光であるため、たくさんの器具を陳列してもそれぞれの光が干渉することなく、存在を主張しているのが面白い。普通の照明メーカーならばあり得ない事です。光の絵筆を使ってブースに絵を描いているような印象です。

    


図116~118 様々な光の効果をつかって彩られたパイフォトニクスのブース


図119 ホロライトで照らされたブースのフレーム
ホロライトの細い平行光であれば、フレーム限られた面だけをライトアップする事が可能。


図120 ホロライトのレンズを使ったマスクを被ったホロライトマン
こういったパフォーマンスもらしさが出ていて好感が持てる。

その他気になった物

その他、画像を中心に気になったメーカーや器具を紹介します。

dyson(JAPAN SHOPに出展)

少し前の話になりますが、あのdysonからデスクスタンドが発表され非常に驚きました。そして今回、新しくオフィス向けのペンダント照明が発表されました。家電メーカーと侮るなかれ、明るさ、光の質、グレアコントロールなど非常に高いレベルでデザインと光学性能が融合したペンダントです。調光もDALI、PWM、0-10v、1-10vと世界中で対応できる仕様になっています。


図121 ダイソンのブース


図122 ダイソンのデスクスタンド
光を自分の好みのポジションにジャストフィットする機能が素晴らしい。

    
図123,124 ダイソンの新しいペンダント「cu beam duo」
デスクを照らすタスク照明と天井を照らすアンビエント照明の機能を併せ持つ。消費電力は83wで3000Kタイプの場合、器具光束8875lm。ダウンライト部分のシェードは可動式で開口の大きさをコントロールすることでカットオフアングルを調整しグレアを軽減する事ができる。このペンダントを並べるだけでタスク&アンビエントの最先端のオフィス照明が完成する。

ウシオライティング

φ59mmのLED光源ユニット「シグナス」を搭載したスポットライトが参考出品として展示されていました。コンパクトかつ高演色、高品質なシグナスの光を搭載したスポットライトの製品化が楽しみです。


図125 φ59mmのLED光源ユニット「シグナス」
ダウンライト、スポットライトなどに搭載する事で高品質な光が得られる。


図126 シグナスを搭載した配線ダクト仕様のスポットライト
コンパクトかつ高品質な光が期待される。

コイズミ照明

コンパクトなLED照明の代表格として定着しているmicroシリーズのスポットライトとペンダント照明(天井を照らすアンビエント照明の機能を持っている)を組み合わせた「Minimum Slot Line System」はオフィスや店舗などで即戦力になりそうな印象を受けました。配線ダクトは一般的なものを使用しているため他の器具も簡単に取り付け可能な点も良いと思います。

    
図127,128 ペンダントと配線ダクト組み合わせたMinimum Slot Line System

また、ノングレアに徹底的にこだわったオフィス向けベースライト「Office de Down」の完成度も非常に高かったと思います。

    


図129~131 ノングレアにこだわったオフィス向けベースライト「Office de Down」
器具内に2つの反射鏡を設けることで、光源を直接見せることなく光を照射する。2700~5000Kの範囲で色温度を変えることも可能。約3500~4000lmの明るさが得られる。調光方式はPWM、DALIに対応。蛍光灯のような輝度のラインが天井にズラリと並ぶよりも遥かに心地よいオフィス環境が得られると思われる。

岩崎電気

2020年のオリンピックを視野にスタジアム照明、特に演出の分野に着目した展示が注目を集めていました。


図132 岩崎電気のブース

    
図133,134 照明制御システム「ITACS LC」を使った照明演出
人の動きを感知して照明演出が変化するプレゼンテーション。
「ITACS LC」はDMX、DALIといった照明・音響演出に欠かせない機能を搭載し、アイイメージセンサで明るさや人の動きを感知して照明演出に反映させることが可能。スタジアムなどの大規模施設での照明演出を想定している。

Style tec

Style tecは調光制御システムの分野を専門とするメーカーです。そのブースで面白いものを見つけました。光学マウスのセンサを色見本の上に乗せると、その色が光によって再現されるというシステム。すごくシンプルな現象ですが、大の大人がはしゃいでしまうほど楽しい。きちんとした色見本だけでなく、紙にカラーペンで色を塗った部分にマウスをかざしてもその色を認識しますし、自分の服にマウスを当てるとその色が光で再現されます。どのようなケースかは分かりませんが、ぜひプロジェクトで使ってみたいと思いました。


図135 Style tecのブース


図136 色見本にマウスを乗せると正面の壁面を照らす光が変化する。

    


図137~139 色見本の上でマウスを動かすことにより光の色が変化する様子

まとめ

いつも通りのペースで書いたつもりですが、いつも以上に長くなってしまいました。単純にそれだけ見どころの多いライティング・フェアであったということだと思います。今回は丸2日間会場にいたのですが、それだけの時間を使ってもまだ時間が足りないと思ったのは久しぶりです。

個人的には大光の屋外用LED照明ZEROシリーズのインパクトが特に大きかったように思います。インテリア用の照明に関してはほぼ出揃った感のある日本のLED照明ですが、屋外用照明には未開拓の分野、発展途上の分野がまだまだ残されています。今回のライティング・フェアをきっかけに高品質な屋外用照明の分野では不動の地位を守っていたパナソニックのSmart Archiシリーズをはじめ、各照明メーカーが刺激をし合って、日本の屋外用LED照明市場が益々活性化していく事を期待します。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在は住宅、集合住宅、店舗などの照明デザインを手がける。
URL http://ripple-design.jp

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