連載コラム

2011夏 照明展示会探訪

[ 2011年9月16日 ]

日本国内においてライティング・フェア等の大規模な照明展示会で、白色・電球色等の一般照明用としてLED照明のラインアップが充実し始めたのは2007年頃からではないかと思います。省電力でありながら40,000時間という驚異的な寿命をもつLED照明は、次世代の省エネ光源として注目を浴びていましたが、冷静に照明器具として評価すると当時のLED照明は明るさ、価格、グレア、色温度や演色性といった光の質等あらゆる面で、従来の光源や照明器具に置き換えて遜色ないパフォーマンスを発揮するには多くの課題が残っていました。

しかしLED照明はその後急速に進化していきます。既に第3回のレポートでも紹介したとおり現在(2011年)、器具によっては総合的に評価しても従来の光源や照明器具と比較しても遜色ないレベルまで完成度が高まっています。省エネ性ばかりに注目が集まるLED照明ですが、この進化のスピードもLED照明の大きな特徴であると思います。

そのスピードを物語っているのが各メーカー主催の照明展示会です。ここ数年、照明器具が従来光源からLED照明に移行し始め、新商品の9割以上がLED照明となってからは半年に1回程の早いペースで新商品の展示会を行う照明メーカーもあります。展示会の度にLED照明は明るくなり、コストダウンし、演色性が向上しバージョンアップしていくので、照明メーカーの展示会は最新の照明業界の動向やトレンドを知る絶好の機会です。

今年の5月~8月の間は各照明メーカーの展示会ラッシュでした。筆者のスケジュールの都合で全ての照明メーカーの展示会は取材できていませんが、今回はその中で取材ができたいくつかの展示会について最近のLED照明のトレンドなどにも着目しながらレポートをしたいと思います。また、東日本大震災以降の節電によりLED照明が注目され、今後はさらに需要が加速していくものと予想されます。この節電というキーワードが展示会にどのような影響を与えているのかも注目したいところです。

1.大光電機

今回で第3弾になるLEDカタログ「LZシリーズ」など、LED照明の機種が非常に充実している印象がある大光電機ですが、今回の展示会では新商品の紹介に加え刷新されたショールームの紹介等もありました。商品+空間のプレゼンテーションが印象的な展示会でした。特に新しくなったショールームのプログラムは非常に明快で、クライアントに照明設計の意図を説明する場合などに大いに役立ちそうです。

高木部屋が高木家にリニューアル(ショールーム2F)
ショールームの2階では住宅照明のエキスパートとして知られる、大光電機の照明デザインチームTACTの高木英敏氏が提案する住宅照明をテーマとしたショールームが、これまでの「高木部屋」から「高木家」にバージョンアップしリニューアルされたとの事。「高木家」ではLDK、洗面所、トイレ、ベッドルームなどの空間をショールームに用意し、それぞれの空間で器具の紹介だけではなく、実際の設計に即実践できる上手な照明器具の使い方も提案しています。もちろん、照明器具の多くはLED照明を中心にプランされています。




図01 新しくリニューアルされた高木家の概要(展示会で配布された資料より)

LDKの照明は、通常のショールームでもよく見られる何種類ものダウンライトを点灯し比較できるスタイルになっていますが、他のショールームと少し違うのが、照明の配置などにこだわっている点です。ダウンライトをグリッド状に配置するよりもユニットにまとめた方がスッキリ見えるとか、低ワットの照明を多数配置するよりも、少しパワーのある照明を使って灯数を減らした方が天井がスッキリ見えるといった提案がされています。


図02、03、04 高木家のLDK照明プラン1
LED照明の効果だけでなく、照明の配置パターン等意匠的な内容も検討できる。

これらの点灯比較は住宅を建てる施主はもちろん、建築の設計者などにも非常にわかりやすいプログラムです。また、LDKで使用されている新商品の白熱電球60w相当、φ75mm のLEDダウンライトは、これまで小径の住宅向けLEDダウンライトが少なかっただけに天井をすっきり見せたい時などには重宝しそうです。



図05、06、07 高木家のLDK照明プラン2
リビング・ダイニングと同様にキッチンでも照明の配置パターンと明るさの検証ができる。


図08 高木家の洗面所の照明プラン
高木家にはトイレや洗面所の照明プランの提案もされている。
ダウンライトの配置によって鏡に映る顔がどのように変化するかなどの検証ができる。

寝室空間では言葉では説明が難しい建築化照明(間接照明)の照明効果が体験できます。単純に建築化照明の明るさを体験できるだけではなく、アドバンテージキセノン、蛍光灯、LED等、建築化照明でよく使う光源の照明効果を比較することもできます。アドバンテージキセノン等の白熱系の照明は、調光で光量を落とすと色温度が低くなり赤みを帯びた光となり、一方でLEDや蛍光灯は色温度に大きな変化がない、といった意外と知られていない光源による照明効果の違いを分かりやすく体感できるプログラムになっています。また、3月のライティング・フェアでも見られたプレゼンテーションの手法ですが、寝室空間で実践されている建築化照明のディテールスケッチが壁面にプリントされています。器具の取り付け詳細などが明快に分かる秀逸なプレゼンテーションです。


図09、10 調光時におけるLEDとアドバンテージキセノンの色温度の違い
調光で光量を落とすと白熱系のアドバンテージキセノン(右)は色温度が下がり赤みを帯びた光になる。
逆にLED(左)は調光で光量を落としても色温度の変化はほとんどない。


図11 寝室の壁面に描かれている建築化照明(間接照明)のディテールスケッチ
ディテールの解説により、器具がどのように取り付けられているかがよくわかる。

体験型照射シミュレーション(ショールーム3F)
ショールームの3Fには施設向けの照明、その中でも主にLEDのスポットライトが多く展示されています。様々な内装材にLED照明を照らし、素材の見え方を検証できるスペース、ハロゲンランプとLED照明の明るさ、色温度、消費電力などが比較できるスペース、スクリーンに実際の器具を照射してLED照明の実際の光を体感できるスペースなどが展開されています。


図12 ハロゲンランプとLEDスポットライトの点灯比較1
色温度には若干の差があるが、ハロゲンランプと比較してもほぼ遜色ない明るさと配光である。


図13 ハロゲンランプとLEDスポットライトの点灯比較2
LED(左)とハロゲンランプ(右)の消費電力が表示される。


図14 照明を照らした場合の内装材の見え方
様々な内装材をLEDスポットライトで照らす。配光や色温度の違いによる内装材の見え方が検証できるスペース。


図15 LEDスポットライト照射体験コーナー1
スクリーンに最新のLEDスポットライトを照射して実際の照明効果を確認することができる。


図16 LEDスポットライト照射体験コーナー2
器具はカタログのようにサイズ、消費電力別にマトリクス上に棚に収められているのでスポットライトのラインアップが非常にわかりやすい。


図17 LEDスポットライト照射体験コーナー3
スポットライト専用のオプションも取り付けが可能。照明効果は期待できるものの、照度減少の予測が難しいオプションの照明効果を確認することができる。

3Fには新しくなったLEDスポットライト「andna」シリーズや美術館などにも使用できる高演色型スポットライト、そのほかウォールウォッシャータイプのスポットライト「Shoku」が展示されています。特に新しく小型のスポットライトが発表された「andna」は店舗や住宅などでも使い勝手が良さそうです。


図18 ウォールウォッシャータイプのLEDスポットライト「Shoku」

施設向けのハイパワーLED照明(ショールーム1F)
ショールームの1Fでは施設向けのハイパワーなLZシリーズの新商品が展示されていました。特に注目したいのはPHILIPS(フィリップスエレクトロニクスジャパン)のFortimo LEDモジュールを採用したダウンライトです。これまでの粒々の発光体が目立つLED照明とは異なり、面発光するLEDモジュールの採用により、マルチシャドウを解消したダウンライトです。(マルチシャドウ、PHILIPSのFortimo LEDモジュールについては第3回コラム参照)

今回展示されていたのはコンパクト蛍光灯FHT32w×1相当のタイプ、コンパクト蛍光灯FHT32×2相当タイプのダウンライトとウォールウォッシャーダウンライト(主に壁面を照らす事を目的としたダウンライト、以下ウォールウォッシャー)でした。ダウンライトにはグレアレスを意識した鏡面コーンタイプと店舗などでよく使用される白色コーンタイプの2種類のコーン仕上げが用意されています。展示スペースでは店舗をイメージした3mと4mの異なる天井高をもつ空間がセッティングされており、3m天井にはFHT32w×1相当のタイプ、4m天井にはFHT32×2相当タイプのダウンライトが設置されていました。見た目の明るさは充分でコンパクト蛍光灯やHID35wクラス、70wクラスの代替照明として十分使えそうな印象です。

ダウンライト、ウォールウォッシャー共に白色(4,000K)、電球色(3,000K)の選択が可能です。価格はFHT32w×1相当のタイプが34,800円(ウォールウォッシャーダウンライトが35,800円)、FHT32×2相当タイプが43,000円(ウォールウォッシャーダウンライトが44,000円)との事です。店舗照明などでよく使用されるHIDランプ(高輝度放電灯、インテリアではコンパクトメタルハライドランプなどが良く使用されています)を使用した照明の場合、器具とは別にランプや安定器で2~3万円ほどの増額が見込まれますから、多くの器具は定価で5万円以上はしてしまいます。電源と光源が器具と一体になっているLED照明はHIDランプを使用した器具と比較するとコストパフォーマンスも高いといってよいと思います。

また、今回のPHILIPSのFortimo LEDモジュールを採用した新しいダウンライトの多くがφ150のタイプです。HID70w等の代用として高天井で使用する場合はφ150でも問題ないと思いますが、3m前後の一般的な天井高さで使用する場合はφ125~φ100のダウンライトがあるとさらに使い易いと思います。


図19 1Fの店舗空間をイメージした展示スペース
新作のハイパワーなLEDダウンライト、スポットライトを展示している。


図20  Fortimo LEDモジュールを採用したFHT32w×1相当の明るさをもつダウンライト(鏡面コーン)


図21  Fortimo LEDモジュールを採用したFHT32w×1相当の明るさをもつウォールウォッシャー
照明業界全体をみてもLEDのウォールウォッシャーはまだ数が少ない。

その他にも1Fの展示スペースには、新しくサイズがコンパクトとなり光量がアップしたLZシリーズのダウンライト、ユニバーサルダウンライト、ディスプレイ用のシンプルなLED照明「lily」などが展示されていました。


図22  LZシリーズの新商品の一覧


図23 LZシリーズの新しいダウンライト・ユニバーサルダウンライト1


図24 LZシリーズの新しいダウンライト・ユニバーサルダウンライト2


図25 シンプルなディスプレイLEDライト「lily」
非常にシンプルなデザインなのでディスプレイ照明以外にも応用できる。

住宅向け照明カタログ「LIFE」の新商品群(ショールーム10F)
ショールーム10Fでは住宅向け照明カタログ「LIFE」に掲載されている新商品の展示スペースになっています。その中で注目したのはLED電球を使用する事を前提に設計された器具です。これまでブラケット等の密閉型器具、断熱施工に対応したS型ダウンライトでは熱の影響などからLED電球は使用できませんでしたが、最近その欠点を改善したLED電球が登場しました。新商品群の中にはその新しいLED電球に対応した密閉型のブラケット・シーリングライト等がありました。室内に比べてメンテナンスが煩わしい屋外や浴室などの照明器具にLED電球が使用できるようになると大変便利です。また3月のライティング・フェアでも展示されていたシームレスタイプのLEDライン照明等も展示されていました。


図26 LED電球(密閉型タイプ)を使用したブラケット・シーリングライト


図27 シームレスタイプのLEDライン照明

2.遠藤照明

かなり早い段階で既存照明からLED照明への大胆なシフトを行っていた遠藤照明は、照明業界の中では既にLED照明のトップブランドというイメージがあります。3月のライティング・フェアでは他メーカーが大々的にLED照明をアピールしている中で、遠藤照明のブースはどちらかというと地味な印象を受けましたが、おそらく夏に行われるであろう展示会に力を注いでいるのだろうという予感がしていました。
その予感通り、遠藤照明の展示会は非常に充実しており、5月24日~5月27日(東京の展示会の日程)に開催された展示会の後、7月1日の電力使用制限令を受けて「15%節電緊急対策 展示会&セミナー」を7月20日~7月22日(東京の展示会の日程)に開催しました。僅か2か月間の間に2度も大きな展示会が企画・開催されたのです。今回の展示会で第4弾となるLED照明のカタログ「LEDZシリーズ」には照明業界トップの2,700アイテムが展開されているとの事です。

遠藤照明も大光電機と同様にショールームを最大限に活かした新商品の展示を行い、一部の展示は今後も継続して残されるそうなので、改めてクライアントとショールームで照明効果を確認することが可能です。今回は取材させて頂くことができた7月に開催された「15%節電緊急対策 展示会&セミナー」の内容についてレポートします。

展示内容は大きく分けると店舗向けとオフィス向けのLED照明の2つに分類され、それぞれのエリアで新商品のLED照明を使用した事例空間、従来光源を使用した事例空間が並列で展示されています。二つの空間を見比べることでLED照明の見た目の明るさや演色性といった機能的な面だけでなく、消費電力やランニングコストといった経済的な数値についても一目で分かるような効果的な展示がされています。遠藤照明の展示会はこのような空間の比較ができるスペースが複数用意されており、他のメーカーにはない大きな特徴となっています。

また商品展示だけではなく、LED照明を導入した事例の消費電力削減効果など、実例のデータなどを紹介するセミナーが同時に開催され、展示会全体を通して具体的な数値やデータが強く印象にのこりました。

店舗照明LED化の提案
遠藤照明のLED照明には器具のタイプ別に3つのシリーズがあり、それぞれラウンド形状のLEDモジュールを採用したRシリーズ(主にダウンライト・スポットライト)、ライン照明や面発光照明等のLシリーズ、スクエア形状のモジュールを採用したSシリーズと呼ばれています。ダウンライトやスポットライトの使用頻度が高い店舗照明にはRシリーズが適していますが、今回の展示会ではRシリーズからさらに明るくなった、Rsシリーズが紹介されています。例えばこれまで12v50wのダイクロハロゲンランプと同等の明るさを持つRシリーズは「R-7 12.7w」と呼ばれるものでしたが、新しいRsシリーズでは「Rs-5 10.5w」という機種が「R-7 12.7w」と同等の性能を発揮できるようになりました。RやRsに続く数字がLEDの粒数を表していますので、LEDの粒数・消費電力が減っても明るさは同等という事はRsシリーズのLEDの効率が向上しているという事がよくわかります。


図28、29 Rsシリーズのラインアップをまとめたマトリクス
色温度、配光共にバリエーションが豊富。
ハロゲンランプの代替として使用されることの多いRs3~Rs7は白熱電球の
色味に近い2,700kの色温度が展開されている。


図30 コンパクトメタルハライドランプ Ra81 3000k(右の2体)とLED照明Ra85 3000k(左の2体)の
演色性の比較
LED照明の方が商品の色味がハッキリ見える印象をうける。
明るさも充分で器具の価格も従来のコンパクトメタルハライドランプより安い。

かなり作り込まれた商業空間をイメージした展示スペースでは、従来光源(コンパクトメタルハライドランプ、ローボルトハロゲンランプなど)で構成された空間と、LED照明で構成された空間の比較を行っています。単に明るさだけでなく、消費電力、イニシャルコストについても具体的な数値が示されています。このモデルケースでは消費電力は64%、イニシャルコストは31%ダウンとなっています。見た目の印象に加え具体的な数値を示すことでLED照明の優位性を示す説得力のあるプレゼンテーションです。


図31 従来光源(コンパクトメタルハライドランプ、ローボルトハロゲンランプなど)で構成された空間(右)と、LED照明で構成された空間(左)の比較
従来光源(右)のスペース:床面平均照度1,637lx 消費電力1,814w イニシャルコスト:1,134,700円
LED照明(左)のスペース:床面平均照度1,561lx 消費電力613.6w イニシャルコスト:783,400円

オフィス照明LED化の提案
遠藤照明の展示会の特色として挙げられるのがオフィス用のLED照明が充実している事があげられます。震災以降、オフィスでの節電は企業にとって非常に大きな問題です。現在多くのオフィスで使用されている蛍光灯も省エネ光源ではありますが、さらなる節電ということでオフィス照明のLED化も非常に注目されています。オフィス照明の展示エリアでは店舗照明の展示エリアと同様に、その社会的ニーズに対して具体的な提案を示すような展示になっていました。

3月のライティング・フェアでは新しく規格が定められた直管形LEDランプが注目されていましたが、遠藤照明では独自のLEDモジュールを組み合わせた直管形蛍光灯タイプのベース照明やスクエアタイプのベース照明のラインアップが充実しています。遠藤照明ではこれらライン状や面発光するタイプの照明をLシリーズと呼んでいます。


図32 Lシリーズのラインアップ
用途に合わせて様々なコンセプトのLEDモジュールを揃えている。

オフィス照明の展示エリアではLシリーズのLED照明と従来光源を比較した事例空間が幾つか提案されていました。どの提案も基本的に、従来光源と同等の床面・机上面照度を保ちながら、消費電力も蛍光灯以上に削減できるという提案です。しかしながら寿命ではLEDには一歩及ばないものの、長寿命・高効率である蛍光灯はコストパフォーマンスも高く総合的に評価すると非常に優秀な省エネ光源です。蛍光灯の代替光源としてLEDを使用する場合、現時点では白熱電球・ハロゲンランプなど代替としてLEDを使用したケースのような大幅な消費電力削減は難しいようです。またイニシャルコストの面では蛍光灯よりもLED照明の方が高くなってしまうケースもあるようです。そのような場合は40,000時間の長寿命と省電力というLEDの特性を考慮し、ランニングコスト削減によってイニシャルコストの増額分を回収すると考える必要がありそうです。


図33、34 オフィス空間における従来光源(図33)とLED照明(図34)の比較事例1
コンパクト蛍光灯FHP32wを3本使用したスクエアベースライト(約96w)と、
LEDのスクエアベースライト80wを4台ずつ使用したオフィス空間の事例。
照度はほぼ同等、従来光源の消費電力が404w、LED照明が303wとLED照明の
省エネ性が示されているがイニシャルコストの方ではLEDの方が高い。


図35、36 オフィス空間における従来光源(図35)とLED照明(図36)の比較事例2
Hf蛍光灯32wを2本使用した高出力型のベースライト(約100w)と、直管型蛍光灯タイプのLEDベースライト65wを4台ずつ使用したオフィス空間の事例。
照度はほぼ同等、従来光源の消費電力が403w、LED照明が260wとLED照明の省エネ性が示されている。
こちらの事例ではLED照明の方がイニシャルコストが安い。

上記の提案では明るさ、消費電力、イニシャルコストの比較だけなく、調光制御した場合のLEDZシリーズの特性についても語られています。蛍光灯と同じ調光比率で比較するとLEDZシリーズのLED照明の方が消費電力が少なくなります。(遠藤照明のwebサイト参照)LED照明+調光制御でさらなるオフィスの省エネ化を提案しています。


図37 オフィス向けのLシリーズのLED照明をまとめたマトリクス
他社を圧倒する品数に驚かされる

LEDライン照明
間接照明などに使用可能なLEDライン照明も展示されていました。特に新しく登場したBLOCKというLEDに注目しています。これまでLEDライン照明といえば最も短いモジュールが300mmというものが一般的でしたが、150mm、100mm、70mmという新しいモジュール展開が特徴です。その名のとおりライン照明と言うよりはブロック照明という呼び方がぴったりです。白熱電球40w~80w相当という明るさで、電源一体というところが大きな魅力です。既にこのBLOCKモジュールを採用したブラケット照明なども展開されていますが、LEDならではのコンパクトさ、電源一体という利点を活かして特注照明などを検討する際の光源としても重宝しそうです。


図38 短いLEDライン照明「BLOCK」
150mmタイプ(白熱電球80w相当)、100mmタイプ(白熱電球60w相当)、
70mmタイプ(白熱電球40w相当)


図39 BLOCKモジュールを使用したブラケット照明

震災復興への取り組み
遠藤照明ではカタログの中でハートマークが記載されている器具の売り上げの1%を東日本大震災で被災した地域への義援金として日本赤十字社を通じて寄付する取り組みを行っています。(対象期間:2011年6月1日~2012年3月末日)これからの省エネ社会を実現する為に欠かすことのできないキーワードになっているLED照明の普及が、震災復興へと繋がる素晴らしい取り組みだと思います。


図40 ハートマークが記載されたLED照明器具(LEDZ vol.4のカタログより)

3.コイズミ照明

大光電機、遠藤照明と並び近年急速にLED照明のラインアップを充実させてきたのがコイズミ照明です。コイズミ照明のLED照明は「cledyシリーズ」と名付けられています。以前に比べると施設向けのLED照明よりも住宅向けのLED照明が充実しているという印象がありましたが、早い段階でPHILIPS社のFortimo LEDモジュールを採用し、マルチシャドウを解消したハイパワーなダウンライトを発表する等、施設照明の方も他社を追従しています。

夏の展示会では、6月上旬に住宅向けの新商品、7月中旬には施設向けの商品の展示会と2回に分けて開催され,
LED照明の新商品が活発に展開されています。今回は7月中旬に行われた施設向けの展示会の内容を中心にレポートします。

PHILIPS Fortimo LEDモジュールを採用したダウンライトの進化
これまでコイズミ照明のダウンライトで採用されていたPHILIPS Fortimo LEDモジュールは電源(トランス)が必要なタイプでしたが、今回の展示会では3月のライティング・フェアで展示されていたFortimo LED Twistableモジュール(以下Twistableモジュール)を採用した新しいダウンライト(2011年9月発売)が展示されていました。Twistableモジュールは電源一体型であり、発光部分のパーツが取り外し・交換が可能という点が大きな特徴です。これまでのシリーズでは3,000lm(HID70wクラス)、2,000lm(FHT57wクラス)のモジュールを採用したハイパワーなφ150mmのダウンライトのみでしたが、1,100lm(FHT32wクラス)のTwistableモジュールを採用した新しいダウンライトではφ150mmの他にφ125mmの機種も用意され、2.5m~3m程度の一般的な天井高さでは非常に使いやすくなりました。器具の価格は12,800円と非常に低価格ですがTwistableモジュールは別売りになっています。(Twistableの参考価格14,000円)それでも、LEDの省エネ性を考慮すると充分なコストパフォーマンスが発揮されていると思います。また、モジュールが交換できることで、今後LEDの性能が向上すればモジュールを交換するだけで器具のアップデートが完了するというメリットもあります。Twistableモジュールを使用したダウンライトは、ベースダウンライトのみの展開で、鏡面と白色の2種類の反射板が選択できます。


図41  PHILIPSのFortimo LEDモジュールを採用したダウンライトのシリーズ


図42  PHILIPSのFortimo LEDモジュール
一番右側の縦一列が新しいTwistableモジュール。

COBタイプのダウンライト
先に述べたPHILIPS社のFortimo LEDモジュールのように面発光するLEDと並び、マルチシャドウを解消するLEDとして、ダウンライトやスポットライトに積極的に使用されているのがCOBタイプと言われるLEDです。COBとはChip on boardの略です。COBタイプのLEDは、拡散版でLEDの光を面発光させるPHILIPSのFortimo LEDモジュールとは違い、LED素子を実装したパッケージ(LED照明の中の光を発している小さなパーツ)の発光部分が従来のLED照明のように点のように発光するのではなく、発光部分が大きくなり面発光します。コイズミ照明では、マルチシャドウを解消した照明器具としてFortimo LEDモジュールを使用したダウンライト以外にも、COBタイプのLEDを使用した機種も新しく展開しています。


図43、44  COBタイプのLEDダウンライト
発光部分の面積がFortimo LEDモジュールよりも小さい為、φ125、φ100、φ75等の小径のダウンライトにまとまっている。
ベース照明に適している広角配光タイプは反射鏡ではなく、レンズで配光制御を行い、狭角配光タイプは反射鏡によって配光制御を行っている。
白熱電球やダイクロハロゲンなどの代替照明としての使用に適している。
価格も1万円~2万円前後とコストパフォーマンスも高い。

低価格のレトロフィットシリーズ
LED電球を使用したレトロフィットシリーズ(レトロフィットについては第3回コラムを参照)のダウンライトが非常に低価格であることに驚きました。器具にLED電球が付属している状態で白熱電球100wクラスが11,800円、白熱電球60wクラスが7,800円という低価格です。家電量販店などではLED電球だけでも2,000円~3,000円はしますので、驚きのコストパフォーマンスです。当然LED電球タイプなので明るさはそれ程期待できませんが、バックヤードやコストをかけずにLED照明化したい場所にはありがたい器具です。


図45  レトロフィットシリーズのダウンライト

jiakariシリーズの充実
コイズミ照明の店舗向けのLEDダウンライト「jiakariシリーズ」は、今回の展示会でこれまでの5倍近くアイテムが増えました。COBタイプやFortimo LEDモジュールタイプとは違い、従来型のLEDダウンライトですが、全面パネルでLEDの粒感を消しマルチシャドウの軽減を行い、30度の遮光角を確保しグレアに配慮した設計になっています。ハイパワーなLEDダウンライトには30度以上の遮光角を取っている機種はそれ程多くないので照明をプランニングする側にとっては使いやすい器具になりそうです。


図46、47  jiakariシリーズのダウンライト
明るさ、サイズなどの選択肢が格段に増えた。様々な空間で対応できるようになった。
鏡面と白色の2種類のコーンが用意されている。

デスクスタンドが人気
震災以降、節電の影響でオフィスではLEDのデスクスタンドの需要が高まっていると聞きます。空間全体の照度を確保している蛍光灯を減灯し、デスクの明るさはLEDのデスクスタンドで確保するオフィスが増えているようです。


図48 オフィスでの需要が高まっているLEDのデスクスタンド


図49 マルチシャドウが発生しない面発光タイプのLEDデスクスタンド

4.パナソニック電工

これまでに紹介したメーカーと一線を画す展示会を行っているのがパナソニック電工です。「V-box」という今回の展示会は、5台のトレーラーのコンテナ部分をLED照明の展示スペースに改造し、全国を巡回するという非常にユニークな試みです。各トレーラーにはそれぞれコンセプトが設けられていて、そのコンセプトに基づいた商品展示を行っています。(V-boxの概要についてはパナソニック電工のホームページをご覧下さい。)今回は埼玉スーパーアリーナで開催されたV-boxをレポートします。


図50 会場の様子
会場に5台のトレーラーが並ぶと壮観である。


図51 コンテナ部分が展示スペースに改造されたトレーラー

トレーラー1 コンセプト号
順路の最初はトレーラー1「コンセプト号」です。ここではパナソニック電工が提案するFeuについてのプレゼンテーションが行われています。Feuとは空間の明るさ感を表す指標で、今後、照明計画を行う際の新しい明るさの指標の一つとして期待されています。2つの同じ空間がある場合、同じ床面照度でも壁面などの鉛直面を照らした空間の方が明るく感じる傾向があります。床面照度だけでは分からない「明るく感じる感覚」=「空間の明るさ感」を数値化したものがFeuです。数値が大きいと「空間の明るさ感」が高くなる事を示しています。(Feuの概要はパナソニックのホームページをご覧下さい。)


図52 トレーラー1の大型スクリーンで展示会全体のプレゼンテーションを行う様子


図53、54 トレーラー1でのFeuのプレゼンテーション
左の空間(図56) Feu6、床面照度450lx、消費電力230w
右の空間(図57) Feu12、床面照度250lx、消費電力150w
Feuを上手に使えば消費電力を抑えながら空間を明るく見せることができる。
さらにそのプランニングをLEDで行えば高い省エネ効果が期待できる。

トレーラー2 施設照明号
トレーラー2は施設照明がテーマになっていて、3月のライティング・フェアでも展示されていた直管形LEDランプを使用したオフィス照明の展示が中心です。ランプメーカーでもあるパナソニックならではの展示です。


図55、56 直管形LEDランプを使ったオフィス用ベースライト


図57 直管形LEDランプと同じモジュールを使用した一体型のオフィス向けのLEDベースライト

トレーラー3 屋外照明号
トレーラー3は屋外照明がテーマです。人間は暗い場所では短波長の青色に近いものが明るく見えるというプルキニエ現象の働きを防犯灯に応用したLED防犯灯アカルミナがユニークです。暗い場所において目の光への感度がピークになる507nmに近い波長を多く含んだ光の効果で、同じ消費電力の一般的な白色LEDと比較した場合、アカルミナの方が明るく見える効果があるとの事です。


図58 LED防犯灯アカルミナの展示
人が暗い場所で明るさを感じやすい波長を含んだ8,000kの白色LEDの光

トレーラー4 店舗照明号
トレーラー4では今回の展示会の主役であるワンコアタイプのLEDダウンライトが展示されています。3月のライティング・フェアでも一部展示がありましたが、V-boxではワンコアタイプのLED照明を全面に押し出しています。コイズミ照明の展示会レポートで紹介したCOBタイプと同様の考え方で、面発光するLEDモジュールを採用することでマルチシャドウを解消したものがワンコアシリーズです。

ダウンライトの径はφ100mmとφ150mmが用意され、φ100mmは天井をすっきり見せられるように新規物件用、φ150mmは既存のダウンライトからLEDダウンライトへのリニューアル用という使い分けが提案されています。コンパクト蛍光灯FDL27w相当の100型、コンパクト蛍光灯FHT32w相当の150型、コンパクト蛍光灯FHT42w相当の200型の3種類が展開されています。さらに調光可能なタイプも用意されています。施設照明としても充分な明るさがありながら価格は2万円~3万円前後とコストパフォーマンスが高いダウンライトです。


図59 コンパクト蛍光灯のダウンライト(左)、ワンコアLEDダウンライト(中央)、
従来品のLEDダウンライト(右)の比較
従来品のLEDダウンライト(右)はマルチシャドウが解消できていない。
コンパクト蛍光灯のダウンライト(左)とワンコアLEDダウンライトでは見た目の明るさはほぼ同等でありながら、
消費電力はワンコアLEDダウンライトが3機種中最も少ないという事を示す展示。


図60 ダウンライトリニューアル用のプレート
ダウンライトをリニューアルする際にダウンライトの径が合わない場合に使用する
リニューアル用のプレート。

ワンコアLEDダウンライト以外では器具個別調光が可能なLEDスポットライトが気になりました。特に美術館・博物館などの展示空間の照明として非常に役立つと思われます。


図61、62 器具個別調光が可能なスポットライト


図63 新しくなったLED電球のラインアップ
ライティング・フェアでも展示されていた配光が広がって、S型ダウンライトや密閉型器具でも使用が可能になった新しいLED電球をトレーラー4にて展示。

トレーラー5 住宅照明号
最後の5台目は住宅照明号です。住宅照明なのでペンダントやブラケットなど意匠的な器具が多いですが、LEDの特徴を活かしたコンパクトでシンプルな照明も数多く見受けられました。照明設計者というよりも建築設計者に対して非常にわかり易いプレゼンテーションであったと思います。


図64 ダイニングをイメージした住宅向け照明器具の展示空間


図65 取り付け方向が自由な角型のLED照明
スポットライトやブラケットなど取り付け場所に応じたフレキシブルな使い方ができる。
デザインもシンプルで使いやすい。

東京スカイツリーのライトアップ用LEDの実機展示
パナソニック電工といえば東京スカイツリーのライトアップに使用するLED照明の設計を担当することで話題になっていますが、展示会場では東京スカイツリーのライトアップに使用するLED照明の実機が展示されていました。写真撮影はNGでしたが、スカイツリーに使用する実機が間近で見られるということもあり、展示ブースは多くの人でにぎわっていました(スカイツリーに使用されるLED照明の紹介はこちらをご覧ください)。ニュースなどの映像でみた照明実験時のLED照明のパワーにも驚きましたが、最新のLED照明投光器のパワーを実際に自分の目で見て益々スカイツリーの完成が楽しみになりました。


図66 東京スカイツリーに使用するLED照明実機の展示スペース

5.ヤマギワ

筆者の都合で展示会の取材はできませんでしたが、ヤマギワでも新しい京橋のショールームで展示会が開催されていました。展示会後の別の日程ではありましたが、展示会にて発表した器具などを取材させてもらう機会を頂きましたので、照明業界の最新のトレンドを知る意味でもその内容もレポートします。

X-series LEDの進化
大光電機やコイズミ照明などはPHILIPSのFortimo LEDモジュールを採用してマルチシャドウを解消したダウンライトを展開していますが、ヤマギワはマルチシャドウを解消した器具として米国のXicato (シカト)社(以下Xicato)のXSMモジュール(丸型)とXLM(角型)モジュールという面発光するXicatoオリジナルのCOBタイプのLEDモジュールを採用したダウンライト・スポットライトを展開しています。


図67  XicatoのXSM(丸型)モジュール(上)とXLM(角型)モジュール(下)
2000lmクラスの新製品が登場しHID35w相当のパフォーマンスも発揮できるようになった。

XSMモジュール(丸型)に1300lm、2000lmが、XLMモジュール(角型)に2200lmが新しく登場し、それに合わせてダウンライトのラインアップも一新されています。ヤマギワのX-series LEDの特徴は大きく3つあると思われます。一つ目は狭角配光の魅力です。発光面がコンパクトなXSMモジュール(丸型)を採用することで反射鏡制御による狭角配光を実現しています。狭角配光の特性を活かして、ダウンライト以外にもXSMモジュール(丸型)を採用したスポットライトが展示されています。


図68  狭角配光のスポットライトで照らした壁面
画像手前の天井に設置してある2台の狭角配光(11°)のスポットライトで壁面を照らしている。
離れた位置からも際立った印象を与えられる。

もう一つはグレアレスであるという点です。他社でもグレアレスタイプのLEDダウンライトはありますが、X-series のLEDダウンライトは特に優れたグレアレスの性能を持っていると思います。


図69  ショールームでカーテンを照らすX-series のLEDダウンライト
点灯状態でもLED特有の輝度感を感じさせない。

3つめはハイクオリティなウォールウォッシャーです。ダウンライトの中でもウォールウォッシャーはLED照明のウィークポイントである色のバラツキを考慮したうえでのデリケートな配光制御が必要です。LED照明でもウォールウォッシャーは幾つか登場していますが、従来光源を使用したウォールウォッシャーと比較すると今一歩のものが多いのが現状です。今回ヤマギワから発表されたφ100のウォールウォッシャーの完成度はLED照明の中では非常にハイレベルだと思います。φ100mmとコンパクトさも使いやすく評価できます。


図70 X-series LEDφ100のウォールウォッシャー
点灯状態でもLED特有の輝度感を感じさせない。
柔らかい光で壁面上部まで照らす。

また、XSMモジュール(丸型)はモジュール自体がIP66という防水性能を有しているので、屋外照明にも非常に組み込み易いというメリットがあります。


図71  XLMモジュール(角型)を採用した角型のウォールウォッシャー
点灯状態でもLED特有の輝度感を感じさせない。
よりハイパワーな角型のウォールウォッシャーもある。


図72  XSMモジュール(丸型)を採用した屋外用の地中埋設照明
ハニカムルーバーのオプションも用意されグレア対策も万全。


図73  XSMモジュール(丸型)を採用したスポットライト型のポール照明。

LEDデスクスタンド
ヤマギワでもコイズミ照明と同様にLEDのデスクスタンドが展開されています。やはり節電の影響で需要が伸びているとの事です。



図74  LEDデスクスタンドのラインアップ



図75、76  折りたたむと間接照明として使えるLEDデスクスタンド。コストパフォーマンスも高い。



図77、78  新しく発売(2011年9月末)されるLED1灯タイプの「LED TASK LIGHT」
LED1灯タイプの効果でマルチシャドウを防止する。アルノー・コレン&アキ・コレンによる日仏デザインデュオ
「A+A Cooren」によりデザインされたシンプルなタスクライト。

その他気になったもの


図79  LED電球と電球形蛍光灯兼用のダウンライト
E26口金のダウンライトであれば実際は点灯可能であるが、メーカー側でLED電球と電球型蛍光灯兼用として展開している機種は少ない。
バッフルタイプやE17口金サイズもあり、価格も非常に低価格なので住宅などでは非常に使いやすい。


図80  LED独特のマルチシャドウの効果を利用したペンダント照明。
照明デザイナー内山章一氏デザインの「U-PENDANT」
短所と捉えられがちなLED照明の光の指向性を逆に利用した美しい影のデザインが印象的。

6.まとめ

各メーカーの特色
今回の取材を通して筆者が感じた各メーカーの展示会の特色を簡単にまとめてみたいと思います。

・大光電機
ハード面に当たる照明器具の提案だけにとどまらず、ショールームをうまく使ってソフト面に当たる最新のLED照明の使い方を上手に解説し、ソフトとハードの両面がバランスよく融合した提案を行っており、照明の専門家ではない人もわかり易い展示会。

・遠藤照明
面発光タイプ・COBタイプ・ワンコアタイプなど他メーカーは一台一灯型のLEDを展開する中、従来型のLED照明の性能をアップデートしながら、施設照明に特化し独自路線で他社を圧倒する品揃えが特徴。特にオフィス向けのLED照明が充実している。高性能・低価格のLED照明が特徴で、具体的な数値による徹底したデータ比較で自社のLED照明の優位性を示すプレゼンテーションが秀逸。

・コイズミ照明
施設向けのLED照明が充実したことで、施設・住宅の両方にバランスよく対応できるようになった。面発光タイプ・COBタイプ・従来型のLED照明など幅広いラインアップがあり、コストパフォーマンス重視、クオリティ重視など設計者が用途に応じて器具を選択できるという柔軟性を感じる展示構成。

・パナソニック
トレーラーを使って全国を巡回するという他社とは一線を画すプレゼンテーションが独創的で良い。3月のライティング・フェアの内容と重複するものも多いが、トレーラー毎にコンパクトにコンセプトをまとめたことで見る側が非常に理解しやすい展示内容にまとまっている。LEDの啓蒙活動という点で社会的貢献度が高い。

・ヤマギワ
美しい配光やLED独特のグレアを感じさせないクオリティの高いLED照明のラインアップが印象的な展示内容。特にXicatoのXSMモ ジュール(丸型)を採用したウォールウォッシャーの完成度が高い。

同じLED照明ですが、各社ともに開発のコンセプトが異なり、その思想がそのまま展示会に反映され、各メーカーの特色になっているのだと実感しました。

面発光タイプ・COBタイプ・ワンコアタイプが主流に
今回取材した展示会で最も強く感じたことは、面発光タイプ・COBタイプ・ワンコアタイプといったLEDを採用した照明器具の躍進です。その勢いは3月に行われたライティング・フェアを上回ります。今回紹介したメーカーの他にもCOBタイプのLEDを採用し、クオリティの高い照明器具を展開しているメーカーもあります。


図81、82  COBタイプのLEDを採用した器具の例
ウシオスペックスのダウンライト(図81)とウォールウォッシャー(図82)
光のクオリティには定評のあるウシオスペックスのCOBタイプの
LEDを採用したダウンライトとウォールウォッシャー。
ほとんどグレアを感じる事無く、ウォールウォッシャーの美しさも業界トップレベル。

こういった一連の流れは、LED照明が明るさから光の質を追求する段階へステップアップした証拠です。今後は一台の器具に対して一灯のLEDというスタイルが益々増えていくことでしょう。

震災・節電の影響
今回の取材で各メーカーの展示会を回っていて知った事ですが、東日本大震災以降、節電や電力使用制限令の影響でLEDのデスクライトの売れ行きが好調であるという事実は新しい発見でした。震災による節電が照明を見直すきっかけになるというのは皮肉なことですが、蛍光灯のシステム天井で全体を明るくという考え方が一般的なオフィスの照明が見直されるのは、非常に良い事だと思います。ベース照明(アンビエント照明)を落とし、デスクスタンド(タスク照明)で作業スペースの明るさを確保するという考え方は、タスク・アンビエント照明といって建築照明では良く用いる手法です。全体を均質に明るく照らす手法に比べて、落ち着いた印象の空間になり、照明器具を上手に選択すれば省エネ性も向上します。

このような、話題ばかりなら良いのですが、LED照明の急速な需要増には不安もあります。節電の影響で急速にLED照明の需要が高まり、器具の光の質(色温度の美しさ、演色性の高さ、まぶしくないか?等)はさておき、とりあえず照明はLED照明に変えておこうという企業も増えているのではないかと思います。一般照明用のLEDの歴史はまだ浅く、従来の照明器具と違って、メーカーや機種によってその性能は様々で、その性能差に開きがあることも事実です。導入したは良いが数年後にはトラブルを抱えてしまうようなケースがあるかもしれません。このような時期だからこそ我々のような照明設計者はきちんとしたLED照明の知識を身につけ、適切なアドバイスができるような体勢をいつでも整えておく必要があります。特にLED照明は開発のスピードが速いので、時代の流れに取り残されないように展示会にこまめに足を運び、最新のLED照明の知識をインプットしておきたいものです。

光のデザインレポート
執筆者:岡本 賢

岡本 賢(おかもと けん) 
照明デザイナー/Ripple design(リップルデザイン)代表

1977年愛媛県生まれ。2002年株式会社ライティング プランナーズ アソシエーツに入社し、幅広い分野のプロジェクトに参加し建築照明デザインを学ぶ。2007年独立し、Ripple designを設立。現在も様々な空間の照明計画を行っている。
URL http://ripple-design.jp

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