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連載コラム

第20回 LED Next Stage 2010を視察して(その1)

[ 2010年4月1日 ]

はじめに

 桜前線が元気に北上する季節となりました。ライトアップされるあかりも白熱ランプからLEDへと移りつつあるようです。昔から電球といえば茄子形をした白熱ランプをイメージしてきましたが、省エネ化の促進もあり、日本照明業界は2012年に白熱ランプは製造販売中止となります。代わってLED電球が急速普及展開をみせはじめているのです。
 そのLEDの照明総合展が東京ビッグサイトで開催されました。第3回目となるLED Next Stage 2010(主催:日本経済新聞社)で3月9日~12日の間、アジア最大の店づくり・街づくりのための総合展示会「街づくり・流通ルネサンス」(同時開催:JAPAN SHOP、建築・建材展など)の一環として開催されました。その来場者数はLED Next Stageだけで83,826名(4日間)と大盛況でありました。
 LED Next Stage 2010の会場には、前回(隔年開催で2008年)同様に海外からの出展社や来場者も多く見られ、賑やかなる様相を呈していました。各出展社の最新LED照明の事柄は後で記しますが、このLED展にちなんで企画されたシンポジウム「さらに拡がるLEDの可能性」(特別協力:LED照明推進協議会)や会場内セミナーなどには会場いっぱいの聴講者で溢れ、LED照明への関心の高さがはっきりと判る程でした。

図1
図1 LED Next Stage 2010の会場入り口風景

図2
図2 LED Next Stage 2010の会場内の様相

図3
図3 LEDシンポジウム「さらに拡がるLEDの可能性」の会場風景

図4
図4 展示会場内に設けられたセミナーコーナーの様子

 会場内セミナーコーナーは、会期中毎日7コマの講演が組まれ、関心を呼ぶテーマばかりで連日満席(立ち見で溢れるほど)でありました。その講演内容はコンビニエンスストアや駅ナカストア、マンションデべロッパーや商店街などの最終ユーザーによるLED照明の使用事例紹介や、その経験を通じての提言や近未来へのあり方など、事業化展開を進めるLED照明関係者にとって興味ある事柄であり、私自身、すべての講演をじっくり拝聴したいほどでした。

図5
図5 会場内セミナーコーナーのプログラム

 特に改正省エネ法とLED照明の実施事例を解りやすく紹介した神谷利徳氏の講演に関心を持ちました。4月からの改正省エネ法により、エネルギー使用効率を年1%以上ずつ改善することが努力目標とされていますが、省エネ活動を前向きに進め、事業経営にも有効的なLED照明の活用法事例の数々、機知に富み、聞き入ってしまいました。また、話題の世界最高の電波塔「東京スカイツリー」の照明デザイナーである戸恒浩人氏の照明デザイン手法や、ユニクロショップのLED照明ファサードなど斬新な光演出で注目のインテリアデザイナー、グエナエル・ニコラ氏の空間照明演出なども、最新のLED照明デザイン情報として価値あるものでありましょう。

 他にもJLEDS(LED照明推進協議会)によるLED照明の基礎知識を学べるセミナーやクイズなど、盛りだくさんのセミナー内容で楽しいものでありました。

 ところで筆者も、LED照明の使い方について「LED塾」開設とカリキュラムの紹介をしながら講演させていただきました。LEDは20世紀の光源と違い、その光の質も量もそして形状もサイズも今までにないものです。20世紀型の光源やその照明器具と同様の概念で取り扱って失敗した経験を有す筆者は、LED照明には新概念での対応が必須と伝えたく、21世紀型の新光源による21世紀型照明計画や、そのための照明工事のあり方が検討されるべし、と提言しました。 「LED Next Stage 2010」に来場された方々や出展社の方々も、展示された新製品を見ながら新たなる照明形態のあり方を思考されたことでありましょう。LEDは20世紀の光源でなく、新たな、今までにない価値ある提案ができる光源です。そのような思いを持ちながら見学をした「LED Next Stage 2010」、留意した事柄を次に記します。

照明器具メーカーと新規参入メーカー、展示の違いについて

 出展社数は前回の「LED Next Stage」より大幅に増えて145社(前回は57社)にもなり、しかもその出展社も展示内容も変わりました。その象徴的様相は会場中央部に大きなスペースで出展していた、日本を代表する照明メーカーと新たに照明業界に参入したLED照明器具販社との対比で、その展示内容には大きな差異があり、とても興味ある対比でありました。
 会場中央とは、「LED Next Stage」の会場・東3ホール入口からのメイン通路と東1~3を連なる中央通路とが交差する付近で、パナソニック電工や三菱電機照明+三菱電機オスラム、さらには東芝ライテックなどの日本の大手照明メーカーが並んで出展している場所です。その中央通路を挟んで反対側には防犯カメラ業界からの新規参入企業・LEDISON(社名はマサミツ、本社宮崎県で、昨年から本格的にLED照明製品群の販売を展開)と、名古屋の老舗時計会社「明治」のネオンサイン事業部として1999年から発足し、今ではLEDイルミネーションの有数の会社であるエフェクトメイジ社が共に各種LED照明製品を展示していたのです。
 この中央通路を挟んでの対比は、日本のLED照明製品と輸入LED照明製品(隣国)との比だけでなく、その事業展開の姿勢の差異が展示品アイテムに反映されていました。日本グループの主要展示製品群はLEDの電球とダウンライトとオフィスのベースライトで、新築空間のLED照明製品群というより、省エネ効果を追求したリニューアル対応製品との印象を受けました。対して新規参入の出展企業ブースは、商業施設向けの演出用LED照明製品群=イルミネーションから店舗ベース照明のダウンライトやスポットやブラケットなど、多種多様の製品群(近隣の国からの輸入製品)で、新築空間向け製品群との印象を受けました。
 品揃えのバリエーションでは、LEDISONやエフェクトメイジ社が勝っていましたが、省エネ性やLED照明の演出では大手照明メーカーのブースの方が効果的であったように見受けました。

図6,7 図6,7
図6、7 会場中央部の様相

図8
図8 特別企画のグリーンストア2010セミナー会場からの風景

図9
図9 パナソニック電工のブース正面。ファーストフードショップがLED照明に
リニューアルしたシミュレーション事例。LEDダウンライトが多用されている。

図10
図10 東芝ライテックの正面。LED電球を積極的に展開。

図11
図11 三菱電機照明のブース。オフィスのLEDベース照明器具と
高天井にはLEDラインライトを提案。

 パナソニック電工ではEVERLEDS製品群が広く知られ、新作も展示されていましたが、留意したのは「東京スカイツリー」の紹介です。パナソニック電工ブースは会場中央にあり、その最も目立つ場所に、東京スカイツリータワーのLED照明計画を大画面(6メートルほど)に映し出したのです。その映像に思わず足を止め、雄大な完成予想の照明演出をしばしの間、見続けていたのは私だけではありませんでした。圧巻でした。
 次いで東芝ライテック、ここで留意したのは展示ブースの最初に目に映るE-COREの省エネLED電球ではなく、ブース奥の目立つことなく展示されていた「食品展示用LED電球」の照射する小さな箱でした。その色彩度合いに驚いたのです。これは凄い!LEDならではのあざやかさだ。こんな彩度は今まで体験してないぞ!"と心の中でつぶやいていました。物の見え方は演色性=Ra(100が最高値)で評価しますが、それは20世紀の光源による見え方の評価であって、21世紀の新光源であるなら新たなる評価基準があって然りでは?この小さな箱の中のあざやかな品物たちならRa=130以上だろう。思わずそう判断してしまいました。このLEDランプ、Raの演色評価数でなく、まだ評価が定まっていない彩色評価数なる新たな基準=彩色性で評価するべきでは?と思った次第でした。
 三菱電機照明のブースで印象に残ったのは、高天井のLEDライン照明の直下の明るさです。FLR40ワット2本相当に適応する直下照度確保可(86lm/w)というから合点しましたが、このLEDラインの出現で、LEDでは照度は取れないとの認識はなくなることでありましょう。しかもこの「LEDライン(商品名)」は連続調光もでき、さらに色温度まで変化可と表記されており、価格次第でコンビニエンスストアのベースライティングなどにすぐ適応しそうだ!と思いました。
 
 LEDISONのブースにはヨーロッパで見かけるデザイン仕様のLED照明器具(店舗空間向け)が数多く出展されていました。それらの仕上げは綺麗で、日本市場でも十分受けいれられると思われました。LEDISONの各種の展示製品の中で注目したのは、高天井向けLEDペンダントで水銀ランプの1000ワットの代替製品としているものです。水銀未使用のLEDですので、RoHS準拠製品として市場に受け入られましょう。

 一般的に、商業施設空間は良い製品であっても配光や設置仕様などの器具特性と空間や建築仕様、予算などと合致しないと販売・設置につながりません。特にLED照明器具の特性をいかに認知・普及させるかは大事です。さらに商業空間は照明演出にこだわりますので、LEDによるLEDならではの照明手法の提案が望まれましょう。

 エフェクトメイジ社の展示ブースにもLEDISON同様、商業施設向けの輸入LED照明器具が多様に出展されていました。前回の出展時はビル外装イルミネーションへのLED器具が主でありましたが、今回は店内演出のためのダウンライトやスポットライトなどのLED照明器具が充実していました。

図12
図12 パナソニック電工のEVERLEDS製品展示ブース。
(センサー付きLEDダウンライトや建築化照明活用のLEDブラケットなどの展示事例)

図13,14 図13,14
図13、14 東芝ライテックの「食品展示用LED電球」の展示コーナーと、
オフィス用天井埋め込み器具「E-CORE FOR OFFICE」

図15,16 図15,16
図15、16 LEDISONのLEDペンダントとその説明パネル

図17
図17 エフェクトメイジ社のブース内様相

LEDメーカーの展示と動向について

 今回のLED Next Stageには日本を代表するLEDメーカーが出展していました。
 LEDメーカーにはいくつかの形態に区分けされます。まずLEDの基本となる発光部「素子(チップ)」を主として生産するLED素子メーカー、その素子を基盤(パッケージなど)に装着するLEDデバイス(部品)メーカー、そしてそのデバイスを複数個並べたり、ヒートシンク(外部放熱器)などをセットしてLED器具に組み立てやすくした灯具部製造のモジュール(基本装置部品)メーカーもあります。これらもそれぞれLEDメーカーと称しています。 また素子からデバイスまで製造する会社もあれば、素子からモジュール、さらにはLED照明器具まで製造する会社もあり、その事業形態はいろいろです。また昨今は自社工場を持たず、製造を委託する"製造会社"、ファブレスなる事業形態もあり、単にLEDメーカーといってもその形態は多様です。
 
 LEDデバイス(パッケージ)を全面展開している出展社にシチズン電子がありました。高効率116ルーメン/wである新製品(CL-103)のローパワーからミドルパワーやハイパワーLEDパッケージを今回のメイン製品として紹介していました。韓国のソウルセミコンダクター社も同様にデバイス中心の展示でありました。

図18
図18シチズン電子のブース。
自社LEDパッケージの高品質を、マグアダム理論を採用してPR。

図19
図19 シチズン電子の主要製品ラインアップのLEDパッケージ紹介パネル。

図20
図20 ソウルセミコンダクター社のブース

 スタンレー電気やロームや豊田合成は、昨今のLEDブームなる前から事業化展開をしてきた実力あるメーカーで、LEDチップからLED電球など量産化できる体質を有し、今回の出展ブースもチップから器具まで幅広く、さながら総合LEDメーカーの展示様相でありました。LEDへの経験やその実力は高くても、照明器具特性やその空間演出への特徴ある見せ方(展示)に工夫が欲しいと感じた次第。照明には光源事業と器具製造やその照明演出事業など、それぞれ極め、差別化したビジネス競争が展開されています。LED光源で培った世界的技術を用いて、器具やその照明演出のあり方においても、日本発の世界商品となることを、望む次第です。

図21,22,23 図21,22,23
図21,22,23
図21、22、23 スタンレー電気のブースと各種の展示製品とパネル

図24,25,26 図24,25,26 図24,25,26
図24、25、26 ロームのブースと各種の展示製品群

図27,28,29 図27,28,29
図27,28,29
図27、28、29 豊田合成のブースと各種の展示製品とパネル

そのほか、注目したブースや製品など

 今回の展示会は、今春からの改正省エネ法に対応するためのLED照明製品群などを前面に展示していた日本照明器具メーカー展示と、近隣の国々からの輸入LED照明製品を華やかに展示ディスプレーしていた新規参入企業との対比を感じた展示で、いろいろな提案は実に楽しく、興味溢れるLED照明専門展でありました。さすが、世界トップランナーのLED大国・日本の展示会で、各種さまざまのLED照明関連製品が溢れていました。
 LEDのチップやデバイス(パッケージ)、さらにはモジュール等の基礎部品の新作展示は当然ながら、それらを組み込んだ新作照明器具や周辺部材まで、世界最新のLED照明あれこれが出展、小さな出展ブースも見逃せないほど充実の内容でした。各出展ブースの中から留意した事柄を画像と共に取り上げます。

図30
図30 畳が敷き詰められた和の空間、その天然い草(畳表)がLEDの光を透過して幻想的雰囲気を作り出していました。この畳、い草と一緒に編んだ透過素材が発光して畳表が光って見えるとのこと。熊本県八代市に本社がある村上産業のこの新製品「光畳」、衝撃に強く、長寿命であるLEDの特性を生かした畳として今後の動向に注目したいものです。

図31
図31 高い発光効率(110ルーメン/W)と演色性を追求した新型モジュール「Advanced LED Module」は、LEDチップの放熱経路に絶縁物を介さない効果的放熱を実現させたもの。そのLEDモジュールを製造している島根電子今福製作所は、島根県の伝統工芸とコラボレーションし、柔和な照明を提案していました。日本の匠な技との融合が試みられること、うれしい限りです。

図32
図32 薄型LEDダウンライトで注目した丸善電機が、照明関係者に馴染み深いアクリルメーカー・住友化学とコラボレーションして、住宅用のLED導光板照明器具「スミルック/アグレッド」を発表していました。丸型や角型、大小などその明るさは一般的使用に適応であり、LEDの効率アップやコストダウンによって、この薄型LED導光板照明器具は大いに普及しそうです。画像手前がLED導光板器具で、奥の天井器具が薄型ダウンライト。

図33
図33 半永久の完全防水LED専用電源開発メーカーとして注目のナユタが、ユニークな蛍光管型LEDランプを展示していました。日中の明るさを感知して自動的に点灯光量を調光するセンサー付ランプです。すっきりとしたデザインで、これなら別途センサー機器など無用です。まわりが明るくなって減光した蛍光管型LEDランプ(グリーンで点灯)。

図34,35,36 図34,35,36
図34,35,36
図34、35、36 LED王国徳島県と明記された出展ブースには、徳島県内のLEDランプを活用した製品が出展していました。水冷LED植物工場と掲げた野菜製造装置の製造販売会社(シナジーテック)やマイコンセンサー内蔵の小型・薄型・軽量のLED水中照明器具(藤崎電機)、天然木材が移動する点滅文字を浮き上がらせたサイン看板(田中木材工業)などユニークでありました。

図37
図37 水中集魚灯を前面に展示していたイネックス社は、長崎県佐世保市に本社があり、長崎県内で事業展開を主にしている景観資材販社で、10年ほど前からLED照明製品の開発に着手展開をしている会社です。数年前から研究開発を進めてきた水中集魚灯は、長崎県地元水産業にとって意義ある開発であり、海洋国家日本にとっても必須なる製品でもありましょう。省エネのLED水中集魚灯の普及が始まりそうです。

 LED Next Stageは海外からの出展社も多数あり、その内容は多種多様であります。次回はその海外からのユニークな新作LED照明製品や画期的なLED照明の関連材料の数々など紹介します。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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