連載コラム

ライティング・フェア2003訪問記(1)

[ 2003年3月31日 ]

武蔵野美術大学非常勤講師 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

1-1. はじめに

 ライティング・フェア2003の中央メイン通路に掲示されたテーマ展示パネルには......。
 1997年、地球温暖化問題で京都国際会議が開催され議定書が採択されました。この議定書では、先進国等に温暖化防止のために温室効果ガス排出量の削減目標が設定され、さらにその方策が取り決められました。日本においてもこの京都議定書実施に向け各種の取り組みが開始されています。2002年には「省エネルギー法」なども改正され、照明業界でも地球温暖化防止対策に積極的かつ具体的展開を検討しています。そして、"2010年度に1990年度比−6.6%"の省エネ目標を掲げ、その目標達成に取り組みます。インバータや高効率ランプの開発、その普及促進、センサーや配光制御による照明ロスの低減化などが考えられています。特に新技術を利用した照明器具の開発・市場導入は、多大の省エネ効果が期待できることからその普及が熱望されています(白色LED光源や無電極ランプの省エネランプ、ソーラー灯やハイブリッド灯などの自然エネルギー利用器具など)......。

 使用電力が白熱電球の1/5以下といわれるLED、日本国内の交通信号機すべてをLEDに交換すると原子力発電所2カ所分の省電力になるといわれています。そのLED信号機の初の本採用が昨年の夏過ぎから、東京・銀座中央通りで開始されました。そして昨年末には銀座の交通信号機は一新されていました。その昨年末、「ケイタイあかり展」というLEDを用いた展覧会が東京で開催され話題を呼びました。このイベント、LED照明作品だけの展示会としては前例がなく、世界初のLED展として雑誌や新聞、TVなどに取り上げられ紹介されたのでした。2〜3年先に実用化が想定できる斬新な出展照明作品に、来場した老若男女はLEDの楽しさや可能性を知ったようでした。


1-2. 世界最先端の照明テクノロジー"LED"

 驚異でした。これほどのLED新技術の数々とその用途(器具事例)が一堂に会し見られる照明見本市は世界広しといえどもいまだない......。それが第一の感想です。

 昨年のフランクフルト/light + buildingやラスベガス/ライトフェア、さらにはミラノ/ユーロルーチェやINTEL・ワールドライトショー等などでもこれほどのLED最先端製品群が展示されることはありませんでしたし、今後もないものと思われます。確かに会場の規模は上記国際照明展と比較すれば面積・出展社は少ないものの、省エネ・省資源、さらには環境負荷への配慮などの照明製造技術では高い質・量を明示していました。特にLEDはすごいと感じました。そしてそのアプリケーションまでも見られるのだからイタリーから来ていた友人は照明テクノロジーのパワーに驚愕し帰国しました。もちろん、LED以外にも世界の照明関係者が注目する新製品が随所にあり後記しますが、まずはLEDについての見聞を記します。

 LEDとはLight Emitting Diode(光るダイオードの意)で、電気を直接、光に変えるのでエネルギー的に白熱電球より高効率とのこと。このLED、1962年に米国GEの研究者によって赤色LEDが作られ照明への使用提案がなされました。以来、橙、緑の順で開発され、93年には日本で青色LEDが、さらに96年に画期的な白色LEDが開発(日本で)されました。その後、青色と白色LEDの開発競争が進みコストパフォーマンスが改善され、白色LEDの照明活用が始められました。LED、生まれは米国ですが、育ちは日本といえましょう。現在、世界LED生産高の約5割(白色LEDでは8割弱)を日本が占めているといわれています。


1-3. 様々なLED

 今回のライティング・フェア2003は、"人に地球に...やさしいあかり"をテーマに省エネ光源やその器具、そして安らぎの照明器具等多彩なる新製品展示で大盛況でした。日本企業の多くはLED新製品の出展に配慮しており、松下電器産業からは電球型LED(64個)ランプ(参考出展)、松下電工からはLEDユニットやLED屋外灯等が、東芝ライテックからは近未来のオフィスと住空間向けに多様なLED参考作品やLED常夜灯などが展示されていました。山田照明からはチップ棒型高ワットをスタンドや直付けウォールウオッシャーとしてユニークな用途提案をしていました。

 
写真左:松下電器産業 写真右:東芝ライテック

山田照明

 器具メーカーの森川製作所ではデザインされたLEDローポール灯が、ランプメーカーの森山産業では基盤不要のMORI回路LEDや100V電源照明用LED器具なども展示されていました。小泉産業やオーデリックでも屋外向けの足元を照らすLED器具が、カラーキネティクス・ジャパンからはLEDスポットライトが、ヤマギワからはユニークな新着輸入のLED商品......と、各社様々な様相の活況を呈していました。

 
写真左:森川製作所 写真右:森山産業
 
写真左:小泉産業 写真右:カラーキネティクス・ジャパン

ヤマギワ

 さらに、海外からの出展LED製品プレクシネオン(ILIGHT JAPAN社)や高ワットLEDを装備したヘッドライト(LUMILEDS LIGHTING社)、そして台湾からの出展メーカー(PARA LIGHT ELECTRONICS社)の白色LEDにも多くの人が集まっていました。他にトキ・コーポレーションのイルミネーションや道路照明システムのかがつう、小糸工業でもLED製品を有しており、随所にLEDが目立った会場演出でした。


LUMILEDS LIGHTING社
 
写真左:かがつう 写真右:小糸工業

 海外からの出展で忘れてはならないランプメーカーに、GE、PHILIPS、OSRAM(3社とも日本法人や合弁会社で営業)があります。それぞれLED製品を有していますが、今回は三菱電機オスラムのみが演出用のカラーミックスLED等を展示していました(GE、PHILIPSは他の光源での展示展開)。


三菱電機オスラム

 初回のライティング・フェア2003訪問記はLEDについて記しました。次回は日立の新省エネ光源や独自の省エネ・省資源のT5型蛍光ランプの製品展開している各社を取り上げます。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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