連載コラム

ライティング・フェア2003訪問記(2)

[ 2003年4月18日 ]

武蔵野美術大学非常勤講師 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

2-1. はじめに

 先月、3月4日から開催されたライティング・フェア2003の感想を記しています。前回は、会場を圧倒していた世界をリードする21世紀の省エネ光源"LED"について紹介しました。しかし会場には、LED以外にも省エネへの取り組みが数多く披露されており、新光源や照明器具、高効率の部材研究や用途提案、ソーラーや風力による発電点灯システムなど多種多彩でした。それらの中から留意したスリム蛍光ランプ、直径15.5ミリのT5ランプについて記したいと思います。

 私はあかりが、照明が好きです。その中でも器具(プロダクト)が好きで海外の照明見本市を視察し続けていますが、1995年4月のドイツ・ハノーバーメッセの変貌には驚きました。省エネを強烈に意識した展示に変っていたからです。このハノーバーメッセは世界最大の工業見本市で、その見本市会場の照明館(ホール9と10)は、当時世界最大質量の照明展示を誇っていました。その展示内容が前年と大きく様変わりしたのには大いに驚きました。前年と違って省エネ指向が強くそれも広い会場全体に示されていたからです。その中心的光源はT8(直径25.5ミリ)直管蛍光ランプが圧倒的でしたが、スリムなT5(直径15.5ミリ)ランプも登場していました。

 世界の三大ランプメーカーであるOSRAMやPHILIPS、GE各社の展示コーナーに発表されていたのです。また、先取性ある器具メーカーの出展ブースにはT5直管蛍光ランプ搭載器具もわずかですが展示されていました。そして翌年から、ランプや器具のバリエーション展開が積極的にされ、今日ではヨーロッパにおける新製品主要光源となっています。


2-2. T5蛍光ランプ...、と省エネ光源

 T5蛍光ランプは、従来の蛍光ランプと比べて断面積が約1/3、管径が細いことで器具がコンパクトになります。さらに高周波点灯方式により、効率の向上がなされ、専用の電子安定器(インバータ)との組み合せで調光制御も簡単、そして長寿命、高効率、コンパクト、省資源といった特徴も挙げられ、21世紀の光源とも言われます。

 このT5蛍光ランプですが、日本では環形のスリムランプとしてすでに広く普及しており、家庭の天井シーリング照明器具に多用されています。この環形のT5ランプは、日本が世界に先駆け発表(1996年)し実用してきましたが、直管タイプは日本市場に導入されませんでした。そのT5直管ランプが今年のライティング・フェアに、施設向け省エネ製品として発表、大いに注目されていたのです。

 プリンス電機では、店舗やオフィス向けにT5直管蛍光ランプ搭載の照明器具を各種発表していました。特に冷凍冷蔵陳列庫内で使用可の「FLRシリーズ」はスリムに収まり注目されていました。ダイア蛍光でも店舗向け新製品5シリーズを発表。中でもシームレス型は蛍光ランプ特有の黒化解消をめざした画期的製品として人気でした。

 
写真左:プリンス電機 写真右:ダイア蛍光

 店舗向けスリムランプ(直径20ミリのT6直管・エースラインランプ〉で先行していたニッポ電機は、デジタル調光のシームレス器具や使い勝って良いコンパクトサイズの棚・什器照明「LUS-M」などで、お洒落な展示ブースを演出していました。


ニッポ電機

 世界初のT5環形ランプを発表した東芝ライテックは、T5ランプを正方形にした「ネオスリムスクエア」搭載の新製品を展示し、注目を集めていました。この製品は、「ネオスリム」の姉妹品ですが、従来にないデザインの照明器具創出が予想され、今後の品揃えが楽しみです。


東芝ライテック

 小泉産業は、T5直管ランプを使ったZUMTOBEL社の新作吊り下げ器具を都市高層マンション向けに提案(新市場開拓)しており、ユニークでした。
 その小泉産業に展示されていた「SOLID FACE series」(未発売)は蛍光灯の新タイプを搭載しており、スリムな発光部のデザインは魅力的でした。この発光部の新光源、日立照明の「水銀レス平面蛍光ランプ」といい、器具開発は日立照明とのコラボレーションとのことでした。なお、このランプ、水銀を使っておらず環境に良い21世紀光源として発売が待たれます(この新光源、日立照明の展示ブースで詳しく紹介されていた)。

 
写真左:小泉産業、日立照明 写真右:日立照明/日立ホーム&ライフソリューション

 NECライティングの展示ブースにも参考出品ながらキセノンガス使用「水銀フリー平面光源」(新タイプの蛍光ランプ)が出展されており注目しました。
 T5環形ランプを13〜41ワットまで品揃えした松下電器産業の省エネ指向は展示製品随所にみられ、積極的な取り組みがうかがえました。その中でも「無電極パルックボール」は三万時間寿命の無電極ランプをE26の使いやすいソケットタイプにしており、電球の約1/5の省電力消費と相まって画期的製品でした。前回紹介した「照明用LED光源(E26)」同様、普及が待たれます。

 
松下電器産業

 今回は、省エネ・省資源の蛍光ランプ「T5ランプ」を中心に取り挙げましたが、ハロゲンランプやセラミックメタルハライドランプなども効率や演色性など技術進歩しており、ウシオライティングの"UCM"、GEの"CMH20WG8.5"、日本フィリップスの"CDM"などには多くの来場者で賑わっていました。次回は遠藤照明やピーピーアイシーのようなデコラティブ照明器具を紹介します。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

バックナンバー

PAGE TOP