連載コラム

ライティング・フェア2003訪問記(3)

[ 2003年5月6日 ]

武蔵野美術大学非常勤講師 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

3-1. はじめに

 照明デザインの動向を知るのに最適なる展示会の一つ、Euroluce(ユーロルーチェ)が4月9日から14日までミラノで開催されました。このユーロルーチェはインテリアの装飾用照明器具が主の展示で、家具見本市で有名なSALONE(サローネ)との同時開催でした。先月、3月4日から開催されたライティング・フェア2003(THE 6th INTERNATIONAL LIGHTING FAIR TOKYO)の1カ月後の展示会でしたから、ユーロルーチェがどのような出展品傾向か、関心を持っていました。先週、視察して帰国した友人から概要を聞きましたが、華やかなデコラティブ照明器具は見事であり、美しいデザイン製品が多く楽しかったとのこと。しかし出展製品には新技術(LED等の省エネ・省資源)活用の製品は少なかったとも言っていました。東京・ビッグサイトで3月4日から開催されたライティング・フェア2003とは様相を異にしていたようです。

 地球環境問題に取り組んだ"省エネ・省資源新製品"が主展示であったライティング・フェア2003、その感想を連載で記しています。1回目は21世紀の省エネ光源として、日本が世界をリードするLEDを取り上げました。2回目は蛍光ランプの省資源・省エネランプのT5(直径15.5ミリ管)ランプ等を紹介しました。3回目の最終回は照明器具デザインについて記します。

 
写真左:松下電器産業/松下電工 写真右:星和電機
 
写真左:プリンス電機 写真右:東芝ライテック


3-2. 照明器具デザインと部材

 20世紀後半の照明器具デザインは、スカンジナビア諸国とイタリアが先導的役割を果たしてきました。特にイタリアは1950年代後半から斬新で近代性あふれるデザインを創り出しています。

 そのイタリア・モダンデザインの輸入製品を今回のライティング・フェアに展示していたのは、「ABiTA」と名した商品群を展開している遠藤照明やARTEMIDE社の新作を展示していたヤマギワで、カラフルで華やかな雰囲気を醸し出していました。そして、イタリア在住・日本人デザイナーを起用した新製品「Dテクニコ シリーズ」を展示前面に展開していた大光電機や、イタリアンテイストの店舗用テクニカル照明器具「マルチユニバーサルシリーズ」をメイン展示していたオーデリックなどイタリア・モダンデザインの製品が目立ちました。

 
写真左:遠藤照明 写真右:オーデリック

 オリジナルデザインで目を引いたのは、山田照明の「シンプル+シリーズ」やピーピーアイシーのフロアスタンド「コブラ」など独創性あるデザインでした。また、小泉産業が提案し続けている「E.L.H.R」シリーズには熱心なインテリアコーディネーターで賑わっていました。

 
写真左:ピーピーアイシー 写真右:小泉産業

 照明器具デザインに欠かせない通電パーツ(ソケットやスイッチなど)メーカーにも注目しました。特にビージェービーはドイツやイタリアで常用されている各種の部品を披露し、今後日本でも普及すると期待される小型ハロゲンランプ用ソケットやその周辺部材なども紹介していました。他には、アルミ部材等で有名なALANOD社やアラメコ・反射板展示のキープロン、調光機器のルートロン アスカ、さらには光ファイバーの住田光学ガラス社...など、照明器具デザインを左右する部材の出展社も興味深いものでした。また、台湾からの出展メーカーの多さも目立っていました。その中に各種部材メーカーもあり、熱心な商談を展開していました。


ビージェービー

 異彩の展示ブースで、次世代の面光源として注目されているEL(エレクトロ・ルミネセンス)を看板照明用に展示紹介していたカナードは、多くの来場者で混雑していました。次回のライティング・フェアではこの面照明の製品が各種出展されそうです。


3-3. 留意した事柄、今後のために!

 ライティング・フェア2003を視察して注目した事柄の多くをこの訪問記で紹介してきました。また留意した事柄もありました。最後にそれらの中で特に意識した3点(1)セミナー(2)デザイン(3)LEDについて記します。

 (1)のセミナーは、非常に興味ある内容の講演でした。特に「白色LEDによる21世紀のあかり」は、今回のフェアテーマや展示会場出展品と深く連動し、多くの聴講者で満席でした。講演内容は将来展望への多くの提言がなされ、特にLED発光効率の2005年(50ルーメン/ワット)と2008年(100ルーメン/ワット)の目標値は、照明業界の大きな変貌を示唆し、LEDの時代到来を予知していました。従来にない新発想のLED製品誕生は照明の新市場創出をするであろうと、セミナーを拝聴して思いました。

 
セミナー風景

 (2)のデザインですが、特に注目したデザイン的事柄を示します。まず、LEDのアプリケーション事例で巧い提案を見せていた東芝ライテックの「LEDダウンスポット」、それと日立照明とのコラボレーションで参考出品していた小泉産業の「SOLID FACE series」は、今後従来にない新照明器具を彷彿させる斬新性あるデザインでした。

 
写真左:東芝ライテック 写真右:小泉産業

 出展品ではありませんが、展示ディスプレーで他出展ブースと異なる演出空間を展開していたニッポ電機のブースは美しく素晴らしかった。建築化照明の器具を見せるのでなく、本来の照明演出効果を追求した展示ブースに賛同しました。魅力ある照明空間ブースでした。


ニッポ電機

 明快な展示で製品特徴が一目瞭然に理解できた森川製作所のブースも気に入りました。エクステリア製品群のデザインコンセプトが生かされた展示だと感じました。


森川製作所

 照明の展示会は総じて演出が難しいといわれますが、気持ち良い照明空間ディスプレーが更に増えることを願うものです。

 (3)のLEDですが、今年のLEDの展示は白色光源としてのデビューでした。なぜならLEDの特徴を生かした器具や実施実例紹介などは乏しく、アプリケーションもほとんど見られなかった(従来光源の代替が多い)からです。(1)のセミナーの記述部で記したごとく、2005年、2008年と大幅な進化が予想されるLEDは、量産化とあいまってコストパフォーマンスが展開されるでしょう。短期間での市場普及は予想をもしない新形態の新機能型生活用品創出が期待できます。このことは世界的規模のビジネスチャンスを生み、新販路構築への機会でもあるでしょう。世界の最先端を行く日本のLED産業の今後が楽しみです(了)。


補記:5月5日から二ューヨークで「Light Fair International 2003」(ライトフェア)が、そして5月20日からはミラノで「International Electronics and Lighting Exhibitions」(INTEL・ワールドライトショー)が開催されます。どちらも施設照明分野が主体の素晴らしい見本市です。視察への参考になれば幸いです。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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