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連載コラム

ミラノ「World Light Show」訪問記 その(1)LED

[ 2003年6月26日 ]

照明デザイナー 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

1-1 はじめに

 5月下旬、INTEL(インテル)のWorld Light Show(WLS)を見てきました。緑の木立から日差しがまぶしいイタリア・ミラノで、20日〜24日の5日間開催された規模の大きな照明見本市です。一月ほど前の4月中旬に同じ場所(国際見本市会場=Fiera Milano)で、Euroluce(ユーロルーチェ)が開催〈家具見本市で有名なSALONE(サローネ)との共催〉されました。Euroluceが住宅インテリア装飾用照明器具の展示に対し、WLSは屋外用大型ポール灯や店舗・オフィスなど施設照明が主展示の見ごたえのある内容でした。このWLSの見聞録を3回に分けて記します。今回はその1回目で、世界の照明業界の関心事「LED動向」について記します。


INTEL"World Light Show"の入り口
 
写真左:Fiera会場内の状況 写真右:WLS会場内風景


1-2 INTELとWLS

 INTELは主催者の名称であり、なおかつ展示会の名称でもあります。主催者は、ASSOCIAZIONE INTEL。1978年設立のANIE(イタリア電気電子産業団体)会員企業が母体の協会で、電子電気工業技術や照明機器分野の世界の有力経営者らとの情報交換や商談を行っています。INTELとは、International Exhibition for Electrics, Electrical technology, Lighting and Householding Appliance componentsの略で、建築・工場などに関する電気や電子及び照明技術を一同に集めたヨーロッパ最大級の産業見本市(隔年開催)です。その見本市は照明の"World Light Show"(WLS)、住宅&ビルオートメーションの"Building Show"、強電(発電や送電)関係の"Power Show"、電子技術産業の"Components Show"、そして工場生産オートメーションの"Factory Show"の5展示エリアから構成されています。

 
写真左:Building Show 写真右:Power Show
 
写真左:Components Show 写真右:Factory Show


 全会場面積105,000平方メートル、全出展社1,600社ほどの広いINTEL会場の14〜16ホールを使用して展示展開していたのが照明のWLSです。前回の2001年から様相を新たにしたこの照明見本市は、出展社数は前回と同等の326社(約半数がイタリア国内企業)で、ヨーロッパ主要照明企業も多数出展しての活況ある様相でした。出展内容は照明器具、光源、通電パーツ、照明用材料、照明システムなど多様で会期中来場者で混雑していました(全入場者数は主催者発表で100,000人)。
 このINTELではDESIGN AWARD 2003と名付けられたイベントを開催しており、出展製品をInnovation、Technology、Designの観点から表彰しています。

 
写真左:DESIGN AWARD 2003の会場風景 写真右:DESIGN AWARD 2003の受賞製品例


 2003年3月4日(火)〜3月7日(金)、東京国際展示場「東京ビッグサイト」にて開催されたライティング・フェア2003(THE 6th INTERNATIONAL LIGHTING FAIR TOKYO)では、世界的にも最先端のLEDが紹介されていました。その1カ月後のEuroluceでLEDは一部しか見られなかったと聞いていたで、WLSではどのような出展傾向なのか、大いに関心を持ってミラノに向かいました。実は4月のEuroluceはイラク戦争とSARS(サーズ)回避から旅行を取りやめたため、5月のWLSはどうしても見ておきたかったのです。
 今回の視察で――前回(2001年)のINTEL"WLS"との違いもいくつかありましたが――最も驚いたことにLED展示数の多さがあります。これは驚異(日本器具メーカーにとっては脅威?)でした。多種多様なLED製品が展示会場のそこかしこに見られたからです。3月に掲載した「ライティング・フェア訪問記(1)」でLEDは日本が最先端をいっていると記しましたが、認識を一部訂正しなくてはならないほどの展示内容でした。


1-3 LEDの製品群

 INTEL会場の北東端にあるWLS照明館(14〜16ホール)に行くには、他の4展示エリアを通りながら向かいます。それらの展示製品表示部位にLEDが多用されているのを横目に見ながら照明館に向かうのです。(地下鉄Fiera駅下車、徒歩30分ほどでWLS入り口にたどり着く)WLSへの入り口は3個所ありますが、私は他の展示エリアの様子をうかがい知るため、Fiera駅からの入り口を利用しました。
 まず14ホールの1階は照明関連部材の出展社が占めていました。電子パーツのインバーターやランプカバーのアルミやアクリル、通電パーツのスイッチやソケットなどの部品です。この部品出展社の30%ほどが何らかのLED部材や製品を展示していたのです。前回のWLSでは見かけることがまれでしたので、その伸長は驚異でした。しかもその内容は、光源としてのLED、3〜20個装着の基盤一体型(モジュール)、モジュールを固定するパッケージ(ソケット)、各種の小型電子トランス、さらにはLEDの配光制御カバーやオプション、それらを用いたデモンストレーション・製品モデルなど、各種いろいろそして華やかに展示されていました。

 
写真左:Lumiledsのブース 写真右:LEDのデモンストレーション・製品モデル
 
写真左:VMLのブース 写真右:Tridonicブースでの各種のモジュール


 15ホールはヨーロッパを代表する照明メーカーが展示を競っていました。Zumtbel社、Targetti社、Flos社、Osram社、Philips社など。その中でもLED照明器具製品を積極的に展示していたのがTargetti社で、エクステリア製品を幅広く紹介していました。

 
Targetti社のLED製品例


 16ホールには中小の照明専業の出展社(アジアからの出展社も)が多いのですが、ここでもLED製品群が見られ、LEDアプリケーションの豊富さとその展開の迅速さに驚いた次第です。

 
16号館での展示LED


 LEDのハード・コア技術は確かに世界先端を有する日本ですが、そのソフト・アプリケーションでは確実に遅れをとりつつあると感じ、帰国しました。日本の建築やデザインは今や世界トップレベルといわれます。車や家電品のみならずファッションにおいても然りです。中でも照明は光産業分野の中枢でありましょう。その21世紀の光源と称されるLED付加価値製品群創出のために実用製品化のさらなる取り組み・対応が望まれます。そして景気回復のためにも!

 次回は、施設用照明の新たなる動きなどを記します。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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