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連載コラム

ミラノ「World Light Show」訪問記 その(2)照明器具

[ 2003年7月25日 ]

照明デザイナー 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

2-1 はじめに

 5月下旬、イタリア・ミラノの国際展示会場(Fiera Milano)で開催されたINTEL(インテル)のWorld Light Show(WLS)を見てきました。20日〜24日の5日間開催された規模の大きな照明見本市で見ごたえのある内容でした。その見聞録を3回に分けて記しています。前回は21世紀の主光源と認知されている「LEDの動向」について記しました。2回目の今回は照明器具動向について記します。

 見本市の「INTEL」とは、International Exhibition for Electrics, Electrical technology, Lighting and Householding Appliance componentsのことで、建築・工場等に関する電気や電子及び照明技術を一堂に集めたヨーロッパ最大級の産業見本市で、5つの展示(照明のWorld Light Show、住宅&ビルオートメーションのBuilding Show、発電や送電など強電関係のPower Show、電子技術産業のComponents Show、そして工場生産オートメーションのFactory Show)構成から成り立っていました。照明の展示会場WLSはFiera Milanoの北端に位置する14〜16ホール(出展社数は前回と同等の326社です)。その真中の15ホールの1、2階両フロアに、屋外用大型ポール灯や店舗・オフィスなど施設照明のヨーロッパ主要照明器具メーカーが多数出展していました。省エネ光源として主流のT5(ティーファイブ)蛍光ランプ使用器具や新型セラミック・メタハライドランプ搭載スポットライトなどの新デザインの施設用器具で活況でした。

 
写真左:WLSの入り口部 写真右:照明器具メーカーの集まる15号館


2-2 建築化照明器具とT5蛍光ランプ

 省エネ・省資源光源として施設空間に積極的多用されているT5(ティーファイブ、直径16mm)蛍光ランプ(以後T5FLと記す)搭載の器具が、WLS展示照明器具の主流でありました。この高周波点灯蛍光(Hf)直管ランプが市場にお目見えしたのは1995年のHannover Messe(ハノーバーメッセ)・照明館でした。器具主要光源が白熱ランプから省エネルギーの蛍光ランプへと市場ニーズが急変しはじめたころで、T8(直径26mm)蛍光ランプ器具全盛時での出現でした。当時ではT5FL搭載器具はなくランプのみのデモンストレーション展示でしたが、その後急速にT5ランプ(直管型のFLと環型も併せて)搭載器具はヨーロッパ照明見本市で発表され続けます。昨年開催の世界最大の照明見本市Light+Building(フランクフルト)でもこのT5ランプ搭載器具が主流でした(日本では普及してない。最近まで日本のランプメーカーが導入を見送ってきたためだが、省資源で省電力・高効率のこのT5FL、今春のライティング・フェア―東京・ビッグサイト―で器具展開が展示されていました。今後日本市場でも普及が期待されましょう!)。
 昨年まで、このT5FL搭載器具の使用形態はワイヤ吊り下げ方式がほとんどでした。今年のWLSでは各種の用途展開が見られ、中でも間接光の配光分布を主眼とした建築化照明仕様器具に注目しました。

 
写真左:DESIGN AWARD 2003 受賞のASTRON(TRILUX社) 写真右:建築化照明指向の器具(esse ci社)


 この各種用途展開の背景には、T5ランプの多様化と同時にインバーターのマルチワット化や小型化があり、そしてそれらの部品が市場に普及(日本ではまだ未普及)したからだと考察されます。今後ヨーロッパではさらにT5ランプの照明器具デザイン多種多様の展開が予測されます。

 
超薄型T5FL器具の事例 Regent社のT5光源仕様器具


2-3 エクステリア照明器具動向

 海外照明見本市でいつも楽しみにしている照明器具に街路灯があります。グローバル化が一般化されつつある今日、照明器具も規格やデザインなど世界標準化の傾向があります。しかし、街路灯は地域ごとの特性を有する器具としてバラエティーに富んでおり、見て回っていても楽しいものです。地域によって気候や風土が異なるように街並みも異なり、それぞれの街にはその街に似合う街路灯が望まれます。特に都市国家として歴史を持つヨーロッパではなおさらです。このWLSの街路灯や建築物周辺に設置するエクステリア照明器具も、見ごたえがありました。10m超のいろいろな様式(ロココ調、アール・ヌーボー、アールデコ調、モダンなど)の街路灯が点灯、しかもサイズや材質違いのものなどデザインバリエーションも多様でした。緩やかなカーブ形状のポール灯やアジャスタブル仕様のスポット型ポール灯は新規性があり注目した製品でした。

 
写真左:ポール灯展示状況 写真右:カーブ形状の街路灯


 イタリアのアルミキャスト照明器具には多くの秀作があります。その中でも小型エクステリア器具は高い定評があり、出展されていたLED防水器具や外壁へのレンズ使用配光器具などは脚光を浴びていました。

 
写真左:ing.Castaldi社のLED防水器具 写真右:Simes社のレンズ光器具


2-4 スポットライトの多様化

 店舗空間の天井高がある欧米では、小型スポットだけでなく比較的サイズの大きな器具が多用されます。そのため、スポットライトのデザインは多種多様。今年のWLSでも新提案のスポットライトが見られました。普及しはじめた新光源によるタイプ(ラインボルトハロゲン、セラミックメタルハライドランプ、コンパクト蛍光ランプ、LED)や、アジャスタブル機能付きタイプの多様化、さらには建築施設機能との複合化タイプなど新提案が見られました。
 特に、ラインボルトハロゲン(最近までのヨーロッパはローボルトハロゲンが主流)やセラ・メタ・ランプの普及は新しい店舗空間づくりとその照明演出を可能にしつつあります。

 
写真左:各種の光源使用の新型スポット事例 写真右:アジャスタブル型スポット事例


 前回では、デモンストレーション・モデル展示していたLED・スポットライトを紹介しました。今後の店舗空間においてもランニングコスト(使用電気料金)が重視され、省電力型光源のLEDやコンパクト蛍光ランプ搭載の店舗用器具が出現されましょう。特に光学的制御のしやすいLED・スポットライトは急増することでしょう。

 次回(最終回)は、注目の「120Wコンパクトランプ」や「省エネ制御システム」などについて記します。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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