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連載コラム

「省エネ新光源・LEDの動き」(その1)モーターショーから見る照明トレンド

[ 2005年11月24日 ]

照明デザイナー 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

 ヨーロッパ最大のモーターショーがフランクフルトメッセ会場で9月に開催されました。10月にはアジア最大の東京モーターショーが幕張メッセ会場で開催され、大盛況に終わりました。海外取材人4,700人を含めた内外報道関係者は12,300人を上回り、期間中の入場者は142万人と、日本自動車産業界のグローバルワイド化を物語るかのようでした。世界最先端技術を駆使した「省エネ化」と「快適性」が自動車業界のトレンドであり、そのトレンド提案である次世代のコンセプトカーに多くの注目が集まっていました。

 そのコンセプトカーの照明にはLEDの多用化が明示されており、昨今の照明業界動向と同様(省エネと快適性)の様相(それ以上かもしれません)でした。この省エネルギーの光源LEDについて、最近の事例を紹介します。

 
1. 9月のフランクフルトモーターショー会場
2. フランクフルトモーターショーの様相
 
3. 10月の東京モーターショー会場全景/4. 東京モーターショー 盛況の様子


 2005年10月22日からの第39回東京モーターショーは連日多くの来場者でありました。関心を集めたコンセプトカー(ハイブリッドや電気自動車もありましたが)の照明はLEDが多く使用されていて驚きました。LEDは車内のスイッチ表示灯(インジケーター)として20年程前から用いられてきましたが、今秋のモーターショーではついにヘッドランプにまで用いられるようになったのです。

 ところで、自動車用照明・表示装置(車載照明商品)には大きく外装用と内装用とに分かれます。インテリアとエクステリアで、それは照明業界と同じです。自動車の外装用照明には進行方向を照らす「照明灯(前哨灯=ヘッドランプ等)」、第3者に自動車の存在を示し注意を与える「表示灯」、そして第3者に対し運転者の意思を示し注意を与える「信号灯」の3種類があります。また内装用照明ではインスツルメントパネル(ダッシュボード)などの表示灯(ナビゲーター等のバックランプも含め)、天井部やドア部に設置された室内灯や足元灯などがあります。これらの照明表示部のいたるところにLEDが、それも今年のモーターショー・展示コンセプトカーに、多用されていたのです。

 車載として白色LEDが多用され始めたのは高輝度白色LEDが量産され始めた90年代後半からで、当初、内装用照明としてヨーロッパ車に応用され、次いで日本、米国に波及しました。外装へのLED使用もヨーロッパが先行したが、今日では世界中の新車に採用化されつつあります。ちなみに東京モーターショーで車載外装照明にLEDが見られた個所は(ほぼ全てではあるが)、ヘッドランプ、フォグランプ、リアコンビネーションランプ(テール、ストップ、ターン、リフレックスリフレクターの機能を持つ)、ハイマウント・ストップランプ、ドアサイドターンランプでした。

 応答性や視認性の長所を有すLEDは、従来の光源(キセノンやハロゲン等のランプ)より点灯までの時間が早く(約0.2秒短縮)、これによりストップランプへの認識タイミングが早まり追突事故回避に貢献=安全性の向上と認識されています。また従来の光源より省エネでありバッテリー容量減少化で車重量減となり燃費向上が証明されています。さらに省スペース性によってデザインの多様化やトランクルームの容積拡大効果なども得られます。LEDは確実に、21世紀の自動車に欠かせない存在になりつつあると実感したモーターショーでした。

 
5. 6. トヨタLEXUSのヘッドランプとリアランプ
 
7. 8. NISSAN展示カーのヘッドランプとリアランプ
 
9. 10. アウディ車のヘッドランプ
【その他、出展車のLED使用事例写真】
 
11. スズキのヘッドランプ/12. トヨタのヘッドランプ
 
13. 身障者用コンセプトカー ヘッドランプ/14. ヘッドランプ(社名不明)
 
15. ヘッドランプ/16. ホンダ リアランプ

17. プジョー リアランプ
 
18. 19. リアライト(社名不明)
 
20. 車載インテリア照明事例 BOSE
21. 愛知万博に出展されたコンセプトカー(トヨタ)ヘッド部のLEDライン
 
22. バイク ヘッドランプ/23. OSRAM LED展示事例
 
24. カーナビ・バックランプのLED(社名不明)
25. スタンレー社のヘッドランプ事例
 
26. 27. 豊田合成のブースとLEDをバックランプとして使用したメーターの展示例


 東京モーターショーの2週間ほど前の同一会場(幕張メッセ)では「CEATEC JAPAN 2005」が開催されていました。このシーテック、電子情報に関連する企業の3団体が結合して開催される展示会で、日本最新の電子技術製品が出展されます。その展示製品群に電子デバイスも含まれLEDやELなどの最新製品が見られました。それから注目した事柄を紹介します。

 今年の夏の初め、日経新聞紙に掲載された記事に釘づけにされました。シチズン電子が70ルーメン/ワットの白色LED開発に成功したと記されていたのです。これはすごい!ぜひ実物をこの目で見てみたい、、、と思いました。なぜなら、一般的に白熱電球が15ルーメン、蛍光ランプが60〜100ルーメン(種類により異なる)と云われますから、この数値70は本当にすごい、世界最高であろう!照明の世界がますますLED化しそうである。そんな思いを持ったのです。そしてこのLED、「CL-L100」がCEATEC JAPAN 2005に出展されると聞いて、10月7日に見てきました。

 まぶしい、強い!見ていられないほどの強烈な光を発光していました。まだ参考出展のレベルではありましたが、確かにその輝きは新聞記事のルーメンを示しているかのようでした。今後、一般使用への熱や輝度への工夫が望まれますが、光量(明るさ)不足といわれていたLEDも確実に実用化の明るさに近づいたことを体験できました。

 
28. 29. シチズン電子の出展ブースと注目のハイパワーLED「CL-L100」


 多くに人が集まっていた展示コーナーがありました。4センチ角ほどのガラスレンズがついたハイパワーLEDで、すでに商品化されている防雨型のものでした。この出展社、世界で最初にLEDを量産化(1976年の高輝度赤色LED)したスタンレー電気で、自動車用LEDヘッドランプなども展示されていました。

 
30. スタンレー電気のブース
31. 4センチ角ほどのガラスレンズがついたハイパワーLED

32. 自動車用LEDヘッドランプ


 LED以外に注目している光源・有機ELも出展していました。今春、東京ビッグサイト国際展示会場で開催されていたライティング・フェアで披露されていたものと同様のものですが、新光源として徐々に量産化されつつあり、今後が楽しみです。


33. 有機ELの展示風景


 最近、私のもとに送られてくるイベント案内や企業PR誌等にもLEDの作品や事例紹介が多くなってきました。1年前は1ヶ月に3〜4件であったものでしたが、6〜7件いやもっと多かったりと確実に使用事例が増えています。その中のいくつかを紹介したいと思います。

 ヨーロッパ照明界の老舗器具メーカー・ルイス・ポールセン社から送られてきた小冊子に、コペンハーゲンの新オペラハウスの照明計画事例が掲載されていました。北欧の落ち着いた空間形成の中に、LEDの光も適応するよう配慮されていました。屋外の広場床面にLED器具「ウィービー」7個ずつクラスターにまとめ埋め込まれたものと、館内バルコニーの美しいプロポーションを印象づける為に設けた長方形スリット内配置とのことでした。目立つことなく空間との調和を保ちながら、LEDならではの小型サイズの光演出、上品なるものを感じた次第です。

 
34. コペンハーゲンのオペラハウス
35. 屋外テラスの広場を見る。床に埋め込まれたLED器具
 
36. 37. 38. 使われたウィービー器具達

39. 館内バルコニー壁面につけられた長方形のLED内蔵スリット
 
40. 41. ニューヨークのタイムズスクエアのLED看板

42. 使用されたエイテックス社のLEDシリコンライン


 友人から教示していただいたインターネットのLED情報ページには、ニューヨーク市内のビル壁面サインの画像がありました。LED白色光を生かした大型広告サイン看板で、シリコンによる防水機能を有した日本製(LEDも)LEDユニットを使用したものでした。美しくそしてセンスあるこのサイン看板はタイムズスクエアの交差点にあり、今春ニューヨークで開催されたライトフェア視察時に宿泊したホテルと近い場所にあったのです。きっとこの看板を見ながらニューヨーク・ライトフェアを視察したのだと思ったのでした。そのライトフェアもLEDによる照明競演がされていたことを思い出します。次回はこのライトフェアや、その後に視察したINTELワールドライトショーの印象、そして来春予定されている"JAPAN SHOP特別企画−次代を彩るLED Next Stage"なども紹介したいと思います。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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