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連載コラム

「省エネ新光源・LEDの動き」(その3)日本のLED・トピックス

[ 2006年1月23日 ]

照明デザイナー 落合 勉(M&Oデザイン事務所)

1. はじめに

 最近、私のもとに送られてくるイベント案内や企業PR誌等にもLEDの作品や話題事例紹介が多くなってきました。それらのものや、以前から関心を抱いていたLEDの事柄などを取り上げ、あれこれ紹介したいと思います。
 まずはコンビニの看板です。1年ほど前からコンビニのLED化をスタディーしはじめました。日本だけでなく今や世界へ展開しているコンビニエンス・ストア、そのLED化の事例です。


2. ファミリーマートのLEDファサード看板

 昨年初めに、上野駅前のコンビニエンス・ストア『ファミリーマート上野駅前店』を探して行ってきました。角地に建つビル一階のファサードに取り付けられている帯看板を見る為にです。当時、コンビニ業界だけでなくサイン看板業界や、照明業界で密かに話題になっていたLED看板の様相を確かめに行ったのです。このビル、道路との敷地境界線ぎりぎりに建築されており、従来型の看板(40ワット蛍光ランプ搭載)を付けると看板カバーが敷地境界線から飛び出してしまい、違法看板になってしまうとのこと。そこで出っ張りの少ない看板で対処することになり、光源部極小のLEDランプを活用してのファサード看板採用化となったのです(2004年6月に設置)。

 実は、この上野駅前店は初のコンビニファサードLED看板の店ではなく、その2ヶ月前の4月にオープンした横浜市の「ファミリーマート鎧橋店」が初めてだったのです。ファミリーマートはコンビニエンス・ストア業界の中で最も進んだ"エコショップ"(環境保全型コンビニショップ)作りを推進してきました(分別ごみ対策や生ごみリサイクル実施店舗の拡大や低公害車両導入等々)。そして昨年2月に発効された京都議定書を鑑み、省エネ化――消費電力(CO2排出量)の削減化――に積極推進を試みるのでした。当時の執行役員から「省電力光源といわれるLEDを使用してファサード看板を!」の指示のもとに、LED看板の研究開発がスタートしました。そして上記2店舗でのフィールドテストを検証した結果、在来蛍光ランプ使用と比較し消費電力が55%減にもなるという成果が判明。それを受けて昨年8月末には、LEDファサード看板の導入を順次進める発表(来月末までに10店舗導入)をしたのでした。2005年12月末時点では7店舗に設置済みです。

 このLED看板の導入は、環境省が推進する二酸化炭素削減による地球環境保全活動に取り組むもので、今後のファミリーマート店舗展開には同業他社はもとより、大規模小売店舗を展開する各種の店などからも注目されることでありましょう。このLEDファサード看板が日本全国に、そして世界にも広がり、大きな省電力(CO2排出量削減)化へと展開されることを願います。

 
図1, 2 ファミリーマート上野駅前店とそのLEDファサード看板


 図3、4はファサード全面にLED看板設置したサンシャイン南店です。初めの2店舗の実験を経て改良を進めたもので、メンテナンスや取り付けはもちろん、看板表面の輝度やムラ(明暗や色光)などへも対策を加えたものです。図4の画像はプラスチック看板カバーをはずした状態で、LEDのグリッド配灯の様子がわかります。

 
図3, 4 ファミリーマートサンシャイン南店


3. 日亜化学のLED効率指向

 1年ほど前から"ハイパワーLED"の名をよく聞きますが、一般的に1〜5ワットのエネルギー消費するものをLEDではハイパワータイプと称しているようです。このパワーLEDですが、白色LEDが普及し始めた2〜3年前に騒がれた高輝度LED(0.06W程度)と比較すれば、確かに10倍以上も明るい。ですから総称してハイパワーというのも頷けますが、ハイパワーLEDに関しての1ワットが5ワットになったからといって明るさが5倍になるとは限りません。現技術力ではせいぜい3倍程度でありましょう(それでも大変な光量UPですが、、、)。 発光量UPのため負荷をかけるのですから無理が生じ、光エネルギーにならず熱変換へと高まるといわれます。現在のLED発光技術でハイパワーLEDを点灯し続けようとしたら、しっかりした放熱対策を講じなくてはなりません(有効的発光が得られなくなるので)。この熱対策に、世界中のLEDやデバイスのメーカーは新技術開発にしのぎを競っていると聞き及びます。この耐熱性あるハイパワー化と放熱(ヒートシンク)は今後の課題でもあるのです。

 世界のLED作りをリードしている日亜化学工業(以下、日亜と記す)の最近の動向からは、このハイパワー化一辺倒ではないことが窺い知れます。それは先に紹介した昨年度の海外出展製品からも感じられたことですが、LEDの明るさ(輝度)追求だけから、より実用的効率の構築も!と、LED品揃え幅を広げていると見受けられるのです。その事例は次の4つのLEDランプが示唆しています。LEDは日亜が推奨する(世界市場普及を望む)LEDで、海外出展ブースの主要展示製品でもありました。

 
 
図5, 6, 7, 8


 図5(上左)画像は0.5WミドルパワータイプのLEDで、白色LEDは23ルーメンと高効率(高出力)の薄型SMD(表面実装部品のこと)です。カラーバリエーションもB,G,R、さらに電球色もラインナップされており、照明演出用に適応するランプといえます(製品No:NFSW036B)。図6(上右)画像は砲弾型LEDで現在最も明るいもので、日亜自社製品対比で前モデルの2倍の明るさ(光度:18cd)となっている(製品No:NSPW510CS)。図7、8(下左右)の画像は、モザイクタイプの基盤――0.5W(Rigel)及び1W(Jupiter)――に実装したもので、熱対策にも配慮し商品への実装製を高めた(照明モジュールが容易)基板実装タイプです。左が0.5WタイプのNFSW036LJ、右が1WタイプのNCCW023J。

 これら4点はそれぞれ、照明用モジュール制作に使いやすさをと明るさを高め、実用性あるLEDランプへとバージョンUPしてきています。電球色も取り揃え、LEDが徐々に白熱電球に替わってインテリア空間への実用化に入り始めたといえます。日亜の姿勢が確実に、照明業界にも向けられてきたようです。

 LEDはいままで、光度(カンデラ:cd)で表示されてきました。サイン表示や文字パネル等が主用途分野でしたから、視認性の要素の輝度が重視されてきたのは当然でしょう。しかし今後の明視照明(読み書き等)分野には、光束(ルーメン:lm)表示展開が必要です。なぜなら照明ランプや器具設計の、さらに照明計画系の照明業界人は、光束(ルーメン:lm)での明るさ判断をしてきましたから、、、。 よりスピーディーにLEDが照明業界で使われていくには、LED特性を生かしたLEDのための光束(ルーメン:lm)表示のあり方があるべきと思います(分かり易く)。省エネ光源の普及のためにも!


4. 松下のEVERLEDS BAR

 2005年11月に東京にてTokyo Designers' Week2005が開催、そのメイン会場・明治神宮外苑にて開催されたデザイン展「100%DesignTokyo」にLED照明によるデモンストレーション空間が出現しました。すべての照明をLEDのみで、落ち着いた雰囲気の非日常空間を演出したのです。その空間は「EVERLEDS BAR」と称した展示会商談コーナーです。伸縮性ある白い布からの透過光はやさしい拡散光で会場を演出していました。使用LED器具は松下電工のLEDコンパクトダウンライトや面発光LED照明器具、そしてカラー演出用器具「RGBPRO」を使い分けしていました。このコンパクトで熱の出ないLEDの特徴を、最大限に生かした空間を多くのデザイナーが体感し、今までにない清楚なLEDの明かりを再認識したことでしょう。LEDは派手で華やかな演出が目立ってきましたが、このようなゆったり落ち着ける大人の空間演出も容易であること、その新しいLED空間創出が実際に知らしめられたことは、素晴らしいことです。次の独創的LED創出空間出現が期待されます。

 
図9, 10
左/松下電工協賛のEVERLEDS BAR
右/会場内のLED内蔵の机

図11
照明器具はすべて松下電工のLED製品・EVERLEDSシリーズで、
上から丸型ベース器具・高出力丸型、ライン型ベース器具・70ルーメンクラス、
面型ベース器具・高出力面型


 図11はEVERLEDS BARで用いられた製品です。空間演出に欠かせないベースライティングとしての点・線・面への照明演出LED器具です。LEDの良さを活用してコンパクト設計でまとめられています。また建築化照明や内照式看板等の光源として使いやすい仕様にもまとめられており、狭小なるスペース設置に有効であります。取り付けも簡易に工夫されており、いろんな空間に使われるでありましょう。


5. 親子のLEDクリスマスイベント

 手作りのLEDオーナメントが点滅するクリスマスツリー!親子参加で大きなクリスマスツリーできたら楽しいだろうなぁ!そう思うようになって5年目の冬に、この願いが実現できました。400人もの親子が集まった2005年12月10、11日の両日、会場では親子による数々のコラボレーションが展開されていました。それは微笑ましくありまた賑やかなるもので、制作に取り組む親子の有り様はいろいろでした。・・・・・子どもが作っている隣で見守る親もいれば、子供よりお父さんが真剣になって作りこんでいる親子、また仲良く分担し協創する兄弟姉妹など、会場のあちこちでそれぞれの家族愛が見られ、楽しい2日間でした。

 世界中で、LEDが誰でもいつでも容易に入手できる国は日本以外にはないでありましょう。欧米ではまず無理でしょうから、親子で作るLEDオーナメントで飾られたクリスマスツリーなんて今までなかったと思います。エレクトロ二クスの世界先端を行く日本だからこそ、できうることでありましょう。そんなことを思いながら100組の親子たちと一緒に世界最初のLEDオーナメントのクリスマスツリー作りを楽しみました。場所は車の街、豊田市にある住宅展示ショールーム「トヨタすまいるライフ・すまいる館」の1階ホールでした。

 
 

図12〜16 LEDオーナメントサンプル


 上の画像が手作りオーナメントの5サンプルで、それぞれに4〜6個の豊田合成提供のLEDがゆっくりと点滅を繰り返します。


図17 すまいる館1階ホールで制作する親子たちの様子

図18 自分スタイルのオーナメントを作る参加者

図19
LEDオーナメントをツリーに取り付ける様子
(12/25まで点灯展示され続けました)


 クリスマスツリーには、自分たちで好きなように色づけした手作りの、世界で一つだけのオーナメントを親子で取り付けます。電源はツリー枝に巻かれた3ボルトの配線で、銘銘が好きな位置に取り付けます。乾電池2本分の電圧3ボルトですから、触っても安全です。このオーナメント素材ですが、紙であったり透明プラスチックであったり薄い板などで、水性ペンや毛糸などでカラフルに仕上げます。さらに親子で半田付け制作した点滅キット(RGBと白のLEDも付ける)を組み込むのです。制作の時間は1時間ほど、指導員からアドバイスを受けながら作り終えた時の親子の笑顔は、クリスマスツリーに取り付けられたLEDオーナメント同様に輝いていました。

 このすまいる館での親子LEDクリスマスには、半年ほど前に開催していた愛・地球博(愛知万博)での"親子LED展"ノウハウが生かされています。この親子LED展とは、万博オープンと同時に万博会場内ものづくりランド・パピリオンにて開催披露されたもので、第一次審査の通過作品100組が一同に展示(2005年3/25〜4/25)しました。この時のテーマ趣旨は「LEDでピカピカひかる生き物を作ろう!」のタイトルのもと、子供が描く光る生き物を親子で工作する、でありました。企画準備段階での説明会やLED点滅キット制作ワークショップなどを実践してきた経験があったのです。下の画像(図20、21)はその親子での制作の様子と万博会場内展示披露を示したものです。図22は展示した作品事例です。


図20 制作の様子

図21 万博会場内展示

図22 作品事例


 この2つの親子LEDイベントは、任意団体"LEDあかり展推進委員会"(事務局は中部デザイン研究所内)が中心となって企画したもので、筆者はそのメンバーです。省エネ・省資源の21世紀のあかり・LEDの楽しさや素晴らしさを、親子で体験してもらおうと願い、今後も活動を進めていきます。お楽しみに!

 今回のレポートはLED情報満載となりましたが、次回はJAPAN SHOP 2006(3月7日〜10日)で開催される特別企画「次代を彩るLED Next Stage」から、最新情報をお知らせしようと思っています。 了

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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