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連載コラム

第26回 3.11を想う ~半年が過ぎて、日本のあかり文化について~

[ 2011年10月7日 ]


はじめに

 3.11の東日本大震災後の半年を迎えた9月16日、温暖な気候の瀬戸内海に面した四国愛媛県松山市の中心地にそびえるシンボル・松山城がLED照明でライトアップされました。今春からLEDによる照明効果を市民に披露する予定でしたが、3.11震災後の節電需要により減光されていたのです。それが、照明学会の全国大会が市内の愛媛大学で開催されるのを機に、開催中日の夜に特別点灯披露されたのでした。松山市民カラーのオレンジでの照明もプログラミングされたLEDライティングの効果は、大きな省エネ(電気代88%もの減/前水銀灯光源対比)だけでなく、日本3大連立平山城のひとつであり四国最大の松山城の美しい白い漆喰壁に、とても鮮やかに映り栄えし、降りしきる雨のもやの中でもくっきりとその美しさを強調させていました。日本城郭の優美さは世界の人たちが認知するもので、21世紀の主光源といわれるLED照明の巧みなる演出効果、新たな日本のあかり文化創出を感じさせてくれました。世界トップランナーで研究開発してきた日本のLED、今後その実用化のための研究が求められる昨今ですが、松山城のLEDライトアップ、美しく見ごたえありました。


図1 LEDライトアップの松山城(雨天時)

図2 松山城 リニューアル前後の照度比較。括弧内がリニューアル前の水銀灯照度(画像提供:照明計画をした宮地電機)

 2011年の夏、日本経済の中心地である首都圏は省エネと自然環境への意識を高く持って過ごした暑い日々でした。昨年と異なる想いを持って・・・。 35度以上の連日の猛暑日と、そして熱帯夜が続きますが、室温は28゚C、いや30゚Cの空調節電協力をしながら、さらに連日のごとくの地震速報(小規模の揺れ)や福島原発の情報に、私自身も昨年とは異なる想いを持って過ごしました。そのような日々の中で「日本のあかり文化調査委員会」(照明学会の分科会)を新設しました。省エネや環境共生が叫ばれる(1992年のリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議=地球サミット)ようになって20年目の今年、いみじくも3.11の震災影響もその引き金になったことですが、照明業界は省エネ・環境共生への実践に余儀なく、それもグローバリズムを有して早急に対応を迫られています。このグローバルはTPP(環太平洋連携協定)とも関連し、隣国の国々や発展途上国製造製品の輸入化も急速展開されましょう。昨今のLED照明事例で隣国製品が多用される実情を垣間見るにつけ、いかに日本の照明がMade in Japanでグローバル対応できるか?に想いを持つようになりました。ビジネスにコストパフォーマンスは必須で、そのために21世紀のあかり文化の創出が今後の日本照明業界には必要と想うのです。
 2001年からSSLを生業にして想ったことは、日本のあかり文化の凄さでした。LEDやOLEDでの照明器具デザインやその照明演出空間デザインの試行に、上手くいかないことが多く、悩んだり壁にあたったり失敗したりしてきました。その時ごとに創作のヒントが日本のあかり文化から得られたのです。日本のあかり文化の素晴らしさを再認識したのです。今回の連載コラムはこの「日本のあかり文化」と繋がる事柄を、前回紹介できなかった有機EL照明動向や海外で活躍する日本人デザイナーのことなども併せて紹介します。

ライティング・フェア2011と有機EL照明

  3.11の震災で開催最終日が中断された今春のライティング・フェア2011会場には、注目すべき有機EL照明が見られました。1993年に山形大学工学部(山形県米沢市)で世界初の有機EL照明白色光が輝き、(開発者は城戸淳二教授、当時は助手)これが有機ELの照明用光源への起点で、日本から有機EL照明が始まったのです。その実用化への提案モデルは2007年のライティング・フェアから世界に先駆け出展されており、今年も数々のメーカーからデモ・モデルが見られました。日本照明業界最大手のパナソニック電工やヨーロッパ照明業界最大のPhilips、さらには、ロームやルミオテック(下記の有機EL照明デザインコンペ特設会場内)、カネカなどもパネルなどが併せて見られました。また山田照明の出展ブースにも有機EL照明スタンドが展示されていて驚きました。用途提案を積極的に展開し、多くの来場者に注目されていたのがNECライティングのOLEDコーナーで、床、壁、天井とそれぞれの照明器具形態を展示していました。


図3 パナソニックの有機EL照明パネル展示コーナーの様子

図4 Philipsのブース内ショーケースに展示されていた有機EL照明パネル


図5 用途空間を演出している天井や壁面設置の有機EL照明器具のNECライティングの様相。

 なお同展示会場には「有機EL照明デザインコンペ2010の入賞・入選作品発表展示会場」を設け、4日間(最終日は地震で中断されたので3日半ほど)で延べ2万人超の来場者が訪れました。その展示は過去の最優秀賞作品や最新有機EL照明パネル等もあり、数年後の有機EL照明実用化と併せ、数々の見所ある展示でした。海外からの視察グループも多く来場し、関心の高さを覗い知ることができた「有機EL照明デザインコンペ2010」(応募数777点中19点)の発表展示でした。


図6、図7 来場者が多数訪れた有機EL照明デザインコンペ2010の入賞入選作品展示会場の様相。

図8 最優秀賞の「エキスパンドライト」/
デザイン:稲田真一
図9 優秀賞のひとつ、「E Light」/デザイン:宮本厚樹


図10 NEDO賞の「Night pergola」/デザイン:前見文徳

 コンペ作品から、現在の製造技術を生かした優秀デザイン作品の試作検討が進められています。その試作モデルは10月開催のCEATEC JAPAN2011「NEDOブース/小間番号-2B12」で展示されました。
 なおこの有機EL照明のデザインコンペ、今年度は東日本大震災のことを鑑み、自粛することとなりました。被災地の早期復興を願い、そのあかつきには再開をしたいと考えております。昨年応募された有機EL照明ファンの方、今年こそ応募をしようと考えていた学生の方々、来年の有機EL照明のデザインコンペ2012をご期待ください(詳しくは主催のLBA JAPAN NPOのホームページをご覧ください)。

Euroluceの有機EL照明を見て

 前回の本コラムで今春4月開催のイタリア・ミラノの照明展Euroluce(ユーロルーチェ)2011のLED照明動向を紹介しました。世界の照明デザインの先端を顕示するイタリアモダンデザインの製品群の中では、LED照明器具新作でも注目するものが多数ありました。しかし有機EL照明については会場で特に注目する新しい動きは見られませんでした。照明展開催期間中、会場ではなくミラノ市内のギャラリーで有機ELの照明パフォーマンスが見られました。そのいくつかを紹介をします。
 私が知った有機EL展示会場はパナソニック電工、MODULAR、カネカや三菱化学「Verbatim」、そしてルミオテックで、その多くはすでに日本で発表していた照明演出手法の延長という感をもちました。日本でのライティング・フェア2011で出展したパネル性能と同内容での展示が大部分で、そのパフォーマンス的演出を展開していたのです。しかもインスタレーションであり、有機EL照明器具として用途提案あったのは、わずかでした。今後の有機EL照明に必要なものは、有機EL照明特性を活かした新用途開発の提案であり、パフォーマンスではないと思います。Euroluceにもミラノ市内で展開していた有機EL照明の展示会場にも、実用への作品や製品試作は少なく、筆者としては少々残念でした。
 しかしながら、デザイン先端地・ミラノでのパフォーマンスですから、パフォーマンスのみを主目的とするなら、それはそれで理解できます。 なぜならマスコミへのプレスリリースには大変効率よいからです。特に東アジアのインテリア関連メディア取材は多く(日本からもプレスが多数訪問)、告知効果があるからです。 とはいえ、有機EL照明のビジネスを思考するなら、インスタレーションだけでは無意味です。現にミラノ市内で現在有機EL照明が見られるのはショールームを有するMODULARだけでありましょう。派手なパフォーマンスも時には有効でありましょうが、コストパフォーマンスではまだ評価が得られない有機EL、実用化への応用研究とOLEDにふさわしい用途開発を重点的にすべしでありましょう。


図11 世界初の量産型有機ELパネルを発売し、照明器具も発売始めたルミオテックの展示会場風景

図12 屋外の木に吊ってあるのが「HANGER」と名づけたルミオテックの照明器具新製品。


図13 ルミオテックのギャラリー内部。ミラー貼りで演出する有機ELのインスタレーション。


図14、15 派手なパフォーマンスを展開していたカネカの展示会場。会場では日本酒も無料提供され、カラフルなパネル色光とでパフォーマンス効果は絶大でした。


図16 日本国内で開催されたカネカOLEDデザインコンペ、その作品も展示されていた。

 ミラノでの有機EL照明パフォーマンスは市内ギャラリーで展開されていたと記しましたが、それはFuorisalone(フォウリサローネ)と称する市内各所で開催されるギャラリー展示全般を示したもので、家具見本市のsalone開催期間中展開しています。世界中から家具インテリアの関係者が視察し、買い付けに参集することから、年々規模内容は拡大しマスコミも世界中から取材に来るようになったのです。そしてこのマスコミへのアピールをしたい若者たちのために、salone会場の端に作品(オリジナル家具や照明器具)展示する会場(satellite)が設けられています。日本人も数多く出展しており、世界で活躍を目指す若者たちの熱気が感じられるのでした。

海外での活躍を期待する日本人デザイナー

 次代の若者たちに、ぜひ世界で幅広くデザインワークしてほしいと願い、この項を記します。前述のmilano salone satelliteにてプロダクト作品を展示していた日本人の出展コーナーは12ほどもあり、Fuorisaloneまで加えたら、30箇所ほどになるかと思います。そしてその1箇所(展示コーナー)には数人のメンバーでの出展が多く、デザイナー数では100人以上の若者男女がオリジナル作品を展示し、世界に向け発信しているのです。 
 今回のミラノで注目したのは「Tenon」と名した家具シリーズです。展示の在り方にも惹かれ(作品のよさを引き立てた展示)、展示家具同様にバランス感覚の良さを、ブースの外から見つめていました。筆者は以前、家具デザインもしたことがあって、木製家具は関心大なのです。 この家具デザイナーなら世界で、日本のよさを有したデザインワークが展開できそうだ!と感じていました。 受付には女性がいました。大柄の男性がその女性に英語で語りかけはじめると、一人の青年が近づき説明をし始めたのです。その青年が展示家具「Tenon」のデザイナーで角田陽太氏(32歳)でした。家具だけでなく生活用品全般にデザインを手がけているプロダクトデザイナーでした。ロンドンのロイヤル・アート・カレッジ在学時代に参画したイタリア・Artemide社のプロジェクトで、デスクランプのデザインにも関与していること知り、頼もしく思った次第です。「現在は活動の拠点を日本においてはいるが、絶えず世界との連絡を絶やさず、世界中どこへでも出かけてデザインすることがモットーです!」と語っていた角田氏、今後の活躍を期待します。LED照明器具で世界商品のデザインも期待します。 


図17 作品と一緒に撮影に応じてくれた角田陽太氏。1979年 仙台市生、東京造形大卒業後渡英し現地デザイン事務所で修行。12007年ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを終了後、帰国。
東京に拠点を移し、デザイン活動を開始、現在に至る。詳細はWebサイトで。


図18 角田氏の作品「Tenon」

 照明デザインの本場、イタリア・ミラノで照明デザインを10年ほど前から取り組んでいる日本人女性に注目し、日本でも活躍して欲しいと願っていましたら、今年から拠点を日本に移し、イタリアと行き来しながら実践していることを知りました。渡辺麻衣子氏です。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科を1998年卒業後、イタリア政府給費生(ロータリー財団奨学生)として、ミラノ工科大学建築学部デザイン学科で照明デザインコースを学び(2002年まで)、そしてミラノを中心に照明メーカーと商品開発を実践してきた女性ライティングデザイナーです。2005年にPENTA社から発売された商品シリーズ名「TOCCO」で、女史の名を知った方もいるかと思います。木製のルーバーを組み木したこの日本的製品は、2008年にイタリア・コズミット財団パーマネントコレクションに選定(GLOBOLUS、TOCCO、 SWEET ICICLE LAMP)されています。他にもイタリア老舗の照明メーカーOluceからも、LED照明器具などが発売されているのです。ヨーロッパでプロダクト照明デザインした商品を複数有する日本人女性照明デザイナーは現在のところ、渡辺氏以外いないと思います。 
 現在、M+K DESIGNの名で田中康一氏とチームを組み、照明のプロダクトから照明演出設計まで手がけるデザイン事務所を都内に構え、今後もイタリアと日本とで照明デザインを手がけて活きたいと語っていた渡辺麻衣子。日本のあかり文化のよさを、さらに広く世界に発信されること期待します。


図19 イタリアPENTA社から発売されている商品シリーズ「TOCCO」、素材は木(ウェンゲ/オーク)、フロストアクリル 光源:ハロゲンラ ンプ。詳細は渡辺氏のホー ムページを参照。補記:PENTA社 (1974年創業)は、筆者が世界の照明展を視察し始めた頃に知った老舗の会社です。

 筆者も若い頃に短期間でしたが、海外生活を経験しました。日本を離れた生活は大きな期待と不安が交錯した日々であったこと思い出します。海外生活で学び得たものはとても大きく、今でもそのときの糧が支えになっています。次代の若者が、世界で広く見識を広めスキルアップし、先進性にトライしている事柄について、次回も紹介したく思います。

日本のあかり文化とSSL

 8月中旬、島根県益田市の文化遺産を未来につなぐ実行委員会担当者から電話があり、遺跡から多くの灯明皿が発掘され、「中世の灯りをテーマにしたワークショップを企画しようとしているので協力を!」とのお話をいただきました。―――半月ほど前の東大阪市で開催された「吉岡幸雄・日本の色、千年の彩展」で1000年前の紅花の朱色と灯りのつながりあることを知り、さらにその2週間後には有田・佐賀県立九州陶磁文化館でみた柿右衛門様式磁器燭台(18世紀前半)などの絵付けと造形の美しさを知ります。そして2週間後に控えた照明学会の新設委員会「日本のあかり文化調査委員会」の開催準備で気遣うこと多い時でした。―――『なんとタイミングがよいのだろう。日本のあかりについてあれこれ見聞きし、その文化の素晴らしさに再認識していた矢先に、中世の灯りとは・・・』、これは縁のあるお話だと思い、即断でお引き受けしたのです。
 20世紀は欧米の照明文化が世界を席巻しましたが、19世紀半ばまで日本はその空間照明への演出にも灯具類(現代用語では照明器具)でも、また光源の豊かさにおいても世界トップランナーのひとつであったのです。たとえば深い庇(ひさし)を持つ日本建築様式、部屋奥への採光では庭や広縁に射す太陽直接光をバウンドさせたまぶしさのない反射光であり、さらに和紙貼り障子による優和な透過拡散光が室内の隅々まで拡がるのです。このような拡がりのある照明演出を展開できた国は世界には見当たらないでありましょう。灯具にしてもその種類の多さは群を抜き、しかも機構やデザインも、当時としては機能的で美しい有機的フォルムでした。たとえば和紙貼り蛇腹構造の「ちょうちん」、日本が生んだ世界の名作照明器具といえます。また光源のろうそくを調べると、日本のあかり文化のすごさが推察できます。日本においてろうそくの始まりは仏教伝来とともに中国から伝わった蜜ろうそくで、蜜蜂の巣から採取した蜜ろうが原料でした。(輸入品が主)室町時代になると安価なろうそくを考案します。火によく燃える松脂を材料にした松脂(まにやに)ろうそくです。さらに安土桃山時代には漆やはぜの木の実のろうを抽出し固めた木の実ろうそく(和ろうそく)を作り出します。この和ろうそくは、江戸時代には全国各藩で殖産製造されるのでした。明治になり鉱石油からのパラフィンロウソク(洋ロウソク)が欧米から伝わり、普及し今日となります。以上のように日本では蜜ろうそく~松脂ろうそく~木の実ろうそく~洋ロウソクの4種も使ってきた歴史があり、世界でも類を見ないほどろうそくを用いた種々の灯具が作り出され実用されました。多様の用途開発が繰り返されたのです。
 日本のあかり文化、知れば知るほど、みやびな和から侘び寂びの幽玄まで、その質と量の豊かさ、深みを知らされます。


図20 有田の金襴手様式灯明具(冨岡常泰氏贈 色絵貼花菊花文短檠 佐賀県立九州陶磁文化館蔵)短檠【たんけい】に引っ掛ける穴が上部にあり、 白い部分に菜種油を浸し、灯心を付けて灯したと思われる。※「短檠(たんけい)」とは、語意では短い角材を示すが、足利時代には燭台(しょくだ い)そのものを示すようになった

図21 図20の底部の絵柄(点灯しない日中、下から見上げた時の美しさにも配慮工夫がなされている)


図22 江戸時代のちょうちん(画像提供:照明文化研究会より)

図23 ろうそく(左が松脂ろうそく、右が和ろうそく)と燭台(画像提供:照明文化研究会より)

 「日本のあかり文化とSSL」、2年ほど前から意識し始めた事柄です。LEDやOLEDで照明器具をデザインし、それを用いて空間照明計画を実践するたびにあかりの違和感を覚え対処してきた筆者は、20世紀の照明知識や経験則ではなかなか快適な照明空間を創り出せないことに気づかされます。LED照明の色ムラや輝度ばらつき、光量不足やグレア対応などと向き合い思考錯誤した数年間、そのつど対処の術となったのが日本のあかり文化からのヒントでした。私には20世紀の光源で培った知識や、世界の照明事例で参考になるものは見つけられなかったのです。OLEDの場合も同様の体験をし、室礼の歴史や様相を参考にして対処したのでした。2008年のALL LEDの街あかりや、2009年のライティング・フェアでのALL OLED照明空間を手がけて思考すること、SSLの普及には日本のあかり文化を知ることが肝要との思いを強くしたのです。
 3.11以降、省エネへの関心は急速に高まり、消費電力の大幅減が見込めるLED照明への代替化が進みつつあります。同じ省エネ光源としての位置づけである蛍光ランプは少量とはいえ有害物質の水銀を有しており、近い将来はLEDや有機EL照明に移行すると想定されます。
とはいえ、照明環境(ものの見え方や情緒性などの快適性)より効率を優先させるLED照明事例もあり、蛍光ランプより不快感が高いLED照明の利用が気になるのです。LED照明は不快な環境創出になりかねません。いかに21世紀型新光源SSLで、省エネで心地よいあかり空間(照明環境)を創出するか?新たなるスキルが求められます。日本の四季ある風土でのさわやかなる照明、千年の灯り文化を擁して培った日本人の素晴らしき彩とあかりへの感性を再認識すること、それらを生かす知識学習=日本のあかり文化を知ることが大切と思うのです。

 「3.11を想う」と記してのこのコラム、震災後の照明環境への意識は省エネ化が確実に定着しLED照明が増えました。このこと自体は喜ばしいことと歓迎し、省エネや環境共生への志向は今後も変わらず、より積極的になりましょう。筆者は以前から日本は世界のトップランナーとしてSSL(LEDとOLEDの照明)を研究開発していると説き、早期の日本発世界商品の創出を願ってきました。今後はいかにSSLの快適な(ここちよい)照明環境創りの提案を日本からできるか!でありましょう。「心地よい」、なんとよい日本語の響きでありましょう。そう思うのは筆者だけでなく日本人ならすぐ理解できましょう。「心地よさ」を創出するにも多くのノウハウがあり、それを消費者にも共有することが肝要であります。 消費者の意識がよりここちよさを明確に望む方向になったとき、市場ニーズとして顕在化しましょう。
 10月21日は「あかりの日」です。照明の大切さや意義を、改めて認識してほしいと願い、日本の照明4団体(照明学界、日本電球工業会、日本照明器具工業会、日本電気協会)が制定したもので、全国でよりよい照明のあり方について考えて!と、PR活動を展開します。照明文化の向上による豊かな社会の創造と、エネルギーの有効利用をめざし、この「あかりの日」の前後にいろいろなイベント活動を照明関係者は実施するのです。たとえばLED照明の普及を願うJLEDSはシンポジウムを、上記の日本の照明4団体はLED工作教室や省エネへのシンポジウムや講演会などを開催します。ちなみに筆者も協力参加しており、中でもわがふるさと中部でのシンポジウム(照明学会東海支部主催)で講演をします。「日本のあかり文化と照明デザイン」と題してで、日本人のすばらしい照明観とSSL照明への快適照明について、コメントします。中部地域のコラムファンの方、「あかりの日記念講演会」お楽しみに!

※補記 図22と23は、提供を「照明文化研究会より」としています。その照明文化研究会のことは本コラム第24回「温故知新」の中で一部紹介してますが、今回の資料は10年ほ ど前に照明文化研究会・初代会長であった深津正氏から借用した書籍の画像です。深津正氏が関与された書籍であったことは記憶しているのですが、出典本はお返ししており、どの書籍であったか把握できず「照明文化研究会より」と表記しました。どなたかご存知の方、ご教示いただけましたら幸いです。

照明技術・デザイン最新事情
執筆者:落合 勉

照明デザイナー
M&Oデザイン事務所代表
LBA JAPAN NPO 理事長、愛知県立芸術大学非常勤講師、照明文化研究会 会長


1948年愛知県三河生まれ、ヤマギワにて照明を実践。
1991年横浜にてM&Oデザイン事務所スタート、現在に至る。
2001年からLED照明デザインワークに特化しての活動を展開、そして2006年からはOLED照明普及にも尽力。
2006年のALL LEDの店舗空間、2008年のALL LED街あかりや住空間、2009年のALL OLED照明空間など手がけ、SSL快適照明を探求提案。
器具のプロダクトデザインや照明計画などを行う傍ら、国内外の照明関連展示会や企業などを訪れ、グローバルな照明最新情報をインプットする。コラム(http://messe.nikkei.co.jp/lf/column/ochiai/index.html)参照。
趣味は古灯具探索で、日本のあかり文化の認知普及活動を展開中。
2009年7月、Light Bridge Association JAPAN NPOを設立し、理事長に就任。
次世代のあかり文化を担う「あかり大好き人間」の育成を目指している。

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