ライティング・フェア

ライティング・フェア 2019 | 2019年3月5日(火)〜8日(金) 東京ビッグサイト
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徳島大、医学とLED融合――血液浄化・鼻アレルギー治療など研究、産学連携、再興めざす。

 産学連携で先駆けながら近年、足踏み傾向にあった徳島大学が巻き返しに向けた取り組みを加速している。強みの発光ダイオード(LED)応用研究と医学などを組み合わせた連携プロジェクトを目玉に据え、事業化支援の強化にも乗り出す。農林水産業の6次産業化を担う人材を育成する新学部設置など地域貢献も強めて生き残りを目指す。

 2月6日、青色LEDの研究でノーベル物理学賞を受賞した米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授が母校の徳島大を訪れ、賞金の一部を寄付した。日亜化学工業に勤務していた時に大学を訪れ実験装置を使わせてもらったことなどが受賞にもつながったといい「先生方への感謝の気持ち」と語った。

学部横断チーム

 徳島大は中村氏を輩出した工学部のほか医、薬、歯の各学部、文理融合の総合科学部を擁する。医学部は四国初の設置で、徳島県の人口あたりの医師数は全国2位。工学部は実験装置を手作りするなど、ものづくり重視の伝統を継承する。昨年には工学部卒で中村氏と同期の東原敏昭氏が日立製作所社長に就任した。

 これまで大塚ホールディングス、日亜化学工業、ジャストシステムなど革新的な地元企業の草創期を研究の助言や卒業生の供給で支援。いち早く連携担当部局を設置し、2005年の経済産業省ランキングでは企業から見た産学連携に熱心な大学の3位になった。政府助成の減少などを背景に近年の実績は足踏み気味だったが、ノーベル賞受賞でLEDに脚光が集まることも追い風に巻き返しの動きが始まった。

 新たな目玉は強みの医学とLEDを組み合わせる医工連携「LEDライフイノベーション研究プロジェクト」。医学、工学の両方に通じた木内陽介名誉教授が調整役となり学部横断の研究チームを組織し、研究助成金の獲得を推進する。現在のチーム数は19に上る。

 徳島県石井町にある植物工場の実験施設。イチゴの苗や実の成長に適したLEDの光の波長を探る実験が行われている。「高麗ニンジンやマツタケをLEDを使って栽培する条件の解明を目指す」(宮脇克行准教授)

 血液浄化、鼻アレルギー症治療、魚の餌になる微生物の捕獲なども研究テーマで、企業の参加も着実に進んでいる。ただ地元中小の参加はまだ少なく「県の力を借り、研究成果を地元中小が事業化できるようにしたい」(木内名誉教授)。

企業訪問を強化

 県は販路開拓や製品開発を支援し関連産業を集積させる「LEDバレイ構想」を推進中。現在は法人向け照明を手掛ける中小企業が多いが、LEDの長寿命を背景に将来の市場飽和も予想される。徳島大は県からの協力要請も受けており、プロジェクトを通じた新産業創出を目指している。

 野地澄晴副学長は「大学の事業化支援システムも必要」と話す。四国内の大学に代わり技術移転を手掛けるテクノネットワーク四国(高松市、四国TLO)の機能や組織を徳島大の試行成果を基に強化する。大学が少額を負担し試作品を開発するなど、特許の事業可能性を判断しやすくして企業に売り込む計画だ。

 「来てくださいではなく、こちらから足を運ばなくてはだめ」(香川征学長)。昨年4月からは提携先の阿波銀行の取引網を活用し企業訪問を強化。四国TLO専務を兼務する産学連携担当教授が企業の課題を聞き出し教員と引き合わせて事業計画の作成支援も手掛ける手法を導入した。今後は事業化支援で他大との相乗効果も狙う構えだ。

地域貢献も強化

6次産業化担う新学部構想

 国立大学法人は2016年度から文部科学省による運営交付金が重点配分される本格改革期を迎える。特色ある大学づくりと地域貢献が求められるなか「徳島県の基幹産業である農林水産業の活性化がテーマに浮上してきた」と香川学長は話す。

 徳島大が16年度の学部再編で新設を検討しているのが「生物資源産業学部(仮称)」だ。農林水産業の6次産業化を担う人材育成と研究に産業界と連携して取り組む。

 徳島大は四国の他の3県の国立大と異なり、農学系の学部がなかった。県からの強い要請もあり、研究者の確保などをこの3年で進めてきた。新学部は工学部や総合科学部のバイオテクノロジー系学科などを統合。食品の機能性や生薬などの研究を手掛ける医薬系学部との連携、起業・経営教育の導入で従来型農学部との違いを打ち出す。

 全国最悪の糖尿病死亡率という地域課題の解決を目指す「とくしま『健幸』イノベーション構想」も進行中だ。産学官で糖尿病の予防・診断・治療の研究開発とその事業化を狙う。文科省の支援認定を受け、重症化の抑制などで徳島大が中心となり研究を進める。

 過疎、防災、観光振興などの解決策づくりの支援や地域リーダーの育成にも乗り出す。今春にも徳島市のキャンパスに県内の自治体やNPO法人、企業、住民との地域連携の相談窓口を設け、協力できる教員を大学全体から探し出して紹介する。地域の意見や要望に対応しやすい体制を整え、地域貢献を強める。

(徳島支局長 上原吉博)

【表】とくしま「健幸」イノベーション構想における共同研究企業  

 英アストラゼネカ
 日本水産
 大塚製薬工場
 日本ユニシス
 メカノジェニック
 徳島データサービス
 倉本産業など

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