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光の透過、磁力で制御、東大、光スイッチ、省エネに応用。

[ 2017年12月1日 / 日経産業新聞 ]

 東京大学の千葉大地准教授らは豊田工業大学などと共同で、電気的に金属膜の磁力をオンオフし、透過する光を制御する技術を開発した。コバルトの薄膜の性質を利用した。光通信を支える小型で省エネルギーの光スイッチとして応用できるとみている。5年以内に技術の確立を目指す。

 光は様々な方向に振動しているが、偏光板に通すと一定の方向にだけ振動する光だけが取り出せる。2枚の偏光板を90度ずらして重ね合わせると光は通らないが、1枚目の偏光板を通した後の光に磁場をかけると振動の方向が回転し、2枚目の偏光板を光が通過するようになる。

 研究グループは強い磁力を持つコバルトに着目した。コバルトを薄膜にすると磁力がなくなるが、電荷をためると再び磁力を持つようになる。原子2個分の厚さの透明なコバルト薄膜を一方の電極とするコンデンサーを作った。

 2枚の偏光板の間にコンデンサーを挟み光を照射する。コバルト側を陽極として電圧をかけると、薄膜上に電荷がたまって光の振動の方向が回転するので、一部は偏光板を透過するようになる。逆に陰極にすると、薄膜は磁性を失ったままなので光は透過しない。

 現状では光は数ミリ度しか回転せず、透過量が少ない。実用化には10度程度まで回転させる必要があるという。回転の度合いは薄膜の厚みに比例するが、コバルト薄膜を厚くすると光を透過しなくなる。今後、他の物質を組み合わせるなどして工夫する。

 光で情報をやりとりする光通信の光スイッチとして利用できる。電圧操作だけで光の透過を制御できるので、省エネになるという。

 研究成果は米物理学専門誌アプライド・フィジックス・エクスプレス(電子版)に掲載された。

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