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パイオニア、曲がる有機EL照明――寿命2倍、車、美しく見せる(NEXTデバイス)

[ 2018年1月5日 / 日経産業新聞 ]

 パイオニアは車載用のフレキシブル有機EL照明を開発した。自由に曲げられるため、デザイン性を高めたテールランプなどを開発できる。明るさや色など自動車メーカーの要求を満たしながら、寿命を従来の2倍に延ばして実用化にメドを付けた。コニカミノルタと共同出資で設立した有機EL照明会社に技術を移管して2020年ごろの実用化を目指す。

 有機EL照明は一部の自動車に搭載が始まっている。しかし硬いガラス基板を使っており、曲面デザインなどが難しかった。パイオニアは柔らかい樹脂基板を使った曲がる有機EL照明の開発を進めてきた。

 樹脂基板はガラス基板に比べて水分が侵入しやすく、有機EL照明を構成する材料が劣化する課題があった。例えば水分で金属電極が酸化すると小さな黒い染みが発生する。直径が200マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの極めて小さな染みでも「美観を損ねる」として自動車への搭載は難しいという。

 パイオニアは水分の侵入を防ぐ無機材料のバリア層を開発した。発光する有機EL層を挟み込むように配置して水分の侵入を防いだ。これにより金属電極の酸化などを抑えて、寿命を従来の2倍の10年程度に延ばすことができた。

 ただ「自動車メーカーからは15年程度の寿命を要求されている」(研究開発部の吉田綾子課長)。今後はパイオニアとコニカミノルタが有機EL照明事業を統合して6月に設立したコニカミノルタパイオニアOLED(東京・港)で実用化に向けた開発を進める。

 開発したフレキシブル有機EL照明は曲率半径が17・5ミリメートルまで曲げられる。厚さは0・2ミリ〜0・3ミリと薄い。ガラス基板を使うと厚さは約2ミリだった。樹脂基板にすることでフレキシブルだけでなく、薄さや軽さ、衝撃耐性を増した。

 パイオニアは有機EL照明でテールランプやターンランプを試作済み。複数の有機EL照明を曲げて花びらのような形に配置した。テールランプ用の赤色と、ターンランプ用の琥珀(こはく)色の2種類で構成する。

 このうち赤色の一部には両面発光タイプの有機EL照明を使っている。二つの有機EL照明を張り合わせて作った。照明の裏に設置した反射板で光を反射させて美しく見せる効果を得られる。

 テールランプの赤色は必要な明るさを満たしている。一方のターンランプの琥珀色は明るさがやや不足しているため、コニカミノルタパイオニアOLEDで高めていく。

 曲がる有機EL照明は高級車や自動運転車で需要が高まりそう。自動運転車はメーカーがデザイン面で新規性を打ち出そうとするためだ。有機ELディスプレーを生産する韓国LGディスプレーも車載向け有機EL照明に乗り出している。(河合基伸)

キーワード
 ▼有機EL照明 有機物の発光層に電気を流して発光させる照明。点光源の発光ダイオード(LED)が指向性の強い光を発するのに対し、有機EL照明は面光源で広い範囲で均一に光る。薄くて軽く、次世代照明として期待されている。

 ガラス基板を使う有機EL照明から実用化が始まった。デザイン性を高めるため、樹脂製基板を使うフレキシブル有機EL照明の開発が活発になっている。

 有機ELディスプレーと共通材料も多いが、照明は明るさを高められるように材料や構造を工夫している。

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