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広島大、光を散乱、強度500倍、酸化チタンの粒子、フィルム状に加工。

[ 2018年10月3日 / 日経産業新聞 ]

 広島大学の斎藤健一教授らは光の強度を効率よく高める新しい材料を開発した。酸化チタンの粒子をフィルム状に加工。フィルムの表面で光が散乱して強度が500倍高くなる。従来に比べて光の強度を高める効率が約25%高いうえ、安価になる。太陽電池や光センサー、ディスプレーなどの効率を上げる素材として活用できる。3年後をめどに実用化を目指す。

 開発した酸化チタンフィルムは厚さ10マイクロ(マイクロは100万分の1)メートル。厚さ方向に100層ほど粒子が重なった構造だ。市販の粒径数マイクロメートルの酸化チタン粉末を水とアルコールを混合した溶液中に入れ、数ギガ(ギガは10億)パスカルの圧力がかかる容器中で粉砕し粒径550ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどの微粒子にした。ガラス基板上に溶液をたらし乾かしフィルムを作る。

 光に反応して赤く光る色素で効果を試した。フィルムを使うと光が散乱し、色素に吸収される光の量が増える。約500倍色素の発光強度を強められることが分かった。局所的には最大で3万倍になった。

 これまでも金や銀の微粒子を使い、光を強める技術は開発されてきた。金属の場合は微粒子の表面に光がまとわりつく「プラズモン共鳴」という現象を利用して、光を強める。ただ貴金属を使っているため高価だった。酸化チタンなどの半導体でも光の散乱を使えば同様の効果を持たせられるのではないかと注目されていた。

 新物質は安価なうえ、微粒子の粒径が300〜600ナノメートルの場合に金や銀より光の強度を高める効果が約25%高かった。

 太陽光電池の光を吸収する物質の近くに開発したフィルムを挟むと光を強めて、吸収率を高められる。またすでに酸化チタンが光触媒として利用されている空気清浄や抗菌、浄水などの効率の向上にもつながる。(中島沙由香)

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