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次世代の光技術輝かす――「オール徳島」産官学で開発、事業総額90億円、「深紫外」など新市場探る。

[ 2018年11月20日 / 日本経済新聞 地方経済面 ]

 徳島大学、徳島県、発光ダイオード(LED)のトップ企業の日亜化学工業(徳島県阿南市)など産官学が連携し、次世代の光技術を使った新しい市場を創出する取り組みが始まる。10年間の事業総額は約90億円。地元が強みを持つ先端技術を集結させて研究人材の育成・誘致を進め、徳島を国内の光関連産業をけん引する地域として発展させる目標を掲げる。

 徳島大は2019年3月をめどに学内に次世代の光技術の研究拠点となる「ポストLEDフォトニクス研究所」を創設する。高い殺菌効果が発揮でき、将来、LEDに次ぐ大きな産業に育つ可能性がある「深紫外」のほか「テラヘルツ」「赤外光コム」といった最先端の光技術の開発を推進。理化学研究所などから国内トップレベルの研究者を招くことも予定している。

 1993年に国立大学では初めて光を研究する「光応用工学科」が設置された徳島大では今後、光技術での工学部と医学部の連携を強化していく。20年を目標に大学院大学として「創成科学研究科」を新設。専門人材育成につなげる「医光融合プロフェッショナル」プログラムを採り入れて、「医学と工学の双方の視点で医療機器の開発ができる人材を育てる」(徳島県政策創造部)。

 県内の他の大学なども連携する。四国大学(徳島市)が徳島大とともにLED照明による藍の育成などの研究を推進するほか、阿南高専(徳島県阿南市)でも光関連教育を充実させる計画だ。

LED関連150社

 徳島県では05年に「LEDバレイ構想」を策定し、県内にLED関連産業の集積を推進してきた。構想スタート時には日亜化学など10社にすぎなかったLED関連企業は、10年には100社を突破。現在では照明器具、素材・部品デバイスのほか、植物工場、画像処理・計測装置など様々なLEDの用途を事業化する企業が育ち、関連企業は150社を超えた。

 県ではこうした実績を基にさらなる光関連産業の集積に向けて、企業の育成をバックアップする。18年度中に「地域協働技術センター」を開設し、「深紫外LED開発のための半導体プロセス設備」といった最先端機器を導入。研究機器を企業に開放するほか、技術支援の橋渡し役も担う。技術に関する相談窓口も一本化する予定だ。

 「オール徳島」でこの計画を推進する体制も整える。7月には飯泉嘉門知事を会長とした「とくしま大学振興・若者雇用創出推進会議」を設置。副会長には徳島大の野地澄晴学長と日亜化学の田崎登副会長が就き、阿波銀行の西宮映二相談役が事業責任者となる。近く第1回の会合を開き、計画の具体化、実現可能性の検証などを協議する。

世界の人材招く

 18年度に創設された内閣府による「地方大学・地域産業創生交付金」で全国から応募があった16事業のうち、徳島県の計画を含む7事業が選ばれた。富山県の「くすりのシリコンバレーTOYAMA」創造計画、広島県の「ひろしまものづくりデジタルイノベーション創出プログラム」とともに、徳島県には6億円超の交付金が決定。国も全面支援する姿勢だ。

 この計画を通じて、光関連産業の製造品出荷額は17年実績比で27年に38%増の6200億円に拡大させるほか、関連産業の雇用者数も同約5割増となる16500人を目指す。人口減少、若者の県外流出に悩む徳島県では「国内だけでなく世界からも学生や研究者が集まる地域にしたい」(県政策創造部)と期待を高めている。

(徳島支局長 長谷川岳志)

【表】「オール徳島」による次世代光の新市場創出の目標
                                 2017年実績  2027年目標
光関連産業の製造品出荷額                     4500億円   6200億円
光関連産業による雇用者数                     11200人   16500人
LEDなど応用製品の新規開発                   −        累計60件
専門人材育成プログラムを受講した学生の地元就職および地元起業数  −        累計125人
研究支援人材の総人数                       4人       20人

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