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ドローン、空中で固定制御、香川発、インフラ点検用。

[ 2019年4月9日 / 日経産業新聞 ]

 【高松】技術力を生かしたイノベーターが地方都市で奮闘している。ドローン販売を手掛ける佐竹技研(高松市)は、インフラ点検での活用拡大に向けて壁に固定する特許を取得。香川大学の岡本研正名誉教授はトランジスタの代わりに発光ダイオード(LED)を使った音響装置を試作した。地方に根付く知恵が技術の普及を支えている。

 ドローンが宙に浮く。プロペラの回転音とともに、強い風が顔の横を吹き抜ける。「橋などインフラの近くで飛ばすと風が発生し、ドローン自身があおられてしまう」と話すのは、佐竹技研の佐竹洋輔社長だ。

 機械メーカーで10年ほど設計や開発を担当した後、地元香川にUターン。注目の集まっていたドローンに自身の知見を生かそうと、ドローンや関連商品の開発・販売を手掛ける会社を一人で始めた。オフィスが入るビルには共用の3Dプリンターがあり、部品などを自分で設計して試作する。

 ドローンは点検中に風にあおられてしまうと、構造物に接触し墜落する危険がある。そこでドローンが壁に張り付くよう制御する特許を開発。ドローンの外側に保護枠をとりつけ、構造物に接触し続けるようにした。

 長時間の飛行を可能にするため、有線で飛行中のドローンに給電するシステムも開発した。充電式のリチウムイオン電池だと30分の飛行が最長だった。50メートルのケーブルで給電し、上空40メートルでも飛行させることができる。照明を取り付けることで、災害現場での夜間照明にも活用できるという。

 LEDの用途拡大に挑むのは香川大学の岡本名誉教授だ。様々な電化製品に使われているトランジスタの代替品開発に取り組んでいる。

 トランジスタは電気信号の増幅や回路のオン・オフの切り替えを担う。岡本氏はLEDと太陽光パネルを組み合わせ、パネルが発電することでLEDがより明るく発光し循環する仕組み「ダイスター」を、トランジスタの代用として使えないか研究している。

 オーディオアンプや電動カートにダイスターを搭載するなど、試作機の開発を進めている。オーディオアンプでダイスターを使用した場合、電気信号の増幅によって生じる雑音が少ないため、音質が良くなるなどのメリットがあるという。

 高松市内の研究室には電動ノコギリなどの機材が並び、素材の加工や組み立てまで一人で担う。トランジスタを切断し分解するなど「自分で手を動かすからこそ、新しい技術が生まれる」と岡本氏は述べる。ダイスターに使うLEDも、海外から取り寄せる。

 ネットや機材の発達により、個人でも研究に取り組みやすい環境が生まれ、情報発信も容易になった。その恩恵は広く波及し、新たな開拓者を支えている。

(桜木浩己)

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