日経メッセ > ライティング・フェア > ニュース > 九州大・安達教授、有機材料でレーザー、顔認証の光源に活用。

日経の紙面から

九州大・安達教授、有機材料でレーザー、顔認証の光源に活用。

[ 2019年9月2日 / 日本経済新聞 朝刊 ]

 有機材料による発光素子でレーザーの発振を目指していた九州大学のグループがこのほど、この目標を実現させた。研究を率いる安達千波矢教授が日本経済新聞の取材に応じ「着想から30年かかった。産業化を念頭に応用製品の開発に挑みたい」などと語った。

 発光する有機材料はスマートフォンの画面に採用された有機ELがあり、安達教授はこれまでに様々な材料を開発してきた。波がそろって真っすぐに進むレーザーを目指す意義について「分野の違う応用が広がる」と解説する。

 レーザー発振には高密度の電流を流しても壊れない丈夫な材料が必要で、有機材料の弱点だった。九大は光を増幅する複雑な素子構造を考え、効率よく光を出す格好の材料を見つけて有機半導体レーザーを開発した。安達教授は「達成を信じて研究を継続した。言い続けることが大切だ」と強調する。

 有機材料は様々な組み合わせが可能で、青色発光素子で実用化された窒化ガリウムなどの無機材料にはない「設計の自由度の高さ」が魅力だ。現在のレーザーはまだ青色しか出せないが「これから幅広い色で実現を目指す研究が増えていく」と展望している。寿命がまだ10〜20秒と短いが、もっと長時間にできるとみている。

 素子は無機材料より小さくでき、製造コストも安くて済みそう。面で発光しているため、例えば顔を認証する光源として利用できるという。そのほか通信やディスプレーなどで思いも寄らない使い方が登場する可能性があると期待している。

 この研究成果を実用化する大学発のスタートアップ企業を福岡市に設立し、安達教授はアドバイザーとしてかかわる。基礎研究から応用開発までを一貫してできる仕組みを確立したいと願っている。

ニュースの最新記事

PAGE TOP